【談話】日本成長戦略会議労働市場改革分科会のとりまとめ(案)は撤回し、労働者保護の観点からの政策議論を求める
2026年6月1日
全国労働組合総連合
事務局長 黒澤幸一
5月27日、日本成長戦略会議労働市場改革分科会(以下、分科会)は、この間3回議論された内容のとりまとめ(案)をまとめた。
そもそも成長戦略会議は「官民連携の戦略的投資を促進し、世界共通の課題解決に資する製品、サービス及びインフラを提供することにより、更なる我が国経済の成長を実現する」ことを目的に掲げており、分科会の事務局を厚生労働省が所管するとしても、議論の視点が経済政策となることは想像に難くない。実際、分科会のメンバー構成も国際ルールである「三者構成原則」にもとづくものではなく、労働者の代表は一人のみとされ、議論も財界の求める労働時間規制の緩和が中心であった。
とりまとめ(案)は、長時間労働が蔓延している職場の実態や不安定雇用による低賃金などの劣悪な労働条件などには触れず、労働者の劣悪な処遇が経済停滞を引き起こしていることの反省は全く見えない。それどころか労働政策審議会(以下、労政審)に対して長時間労働につながる裁量労働制や変形労働時間制の緩和への見直しを議論するよう圧力をかけている。また雇用保険制度についても労政審に議論の日程を押しつけ、財界が求める制度とするよう議論を求めている。断固として認めることはできない。とりまとめ(案)は撤回し、労働者保護の観点での政策の議論を求める。
裁量労働制の緩和は許さない、廃止を
とりまとめ(案)では、裁量労働制について「対象のあり方について労政審で見直しの検討を行う必要がある」としているが、これは財界が要求している「対象業務を労使協議のみで決定」や「混在業務の適用拡大」の議論を労政審に求めていることに他ならない。労働者代表は拡大不要と主張し、他の委員らも、職場の労使協議の機能性について疑問を呈しているにもかかわらず「見直し」の必要を記載した。裁量労働制は全労連の調査でも長時間労働・賃金抑制につながる働き方であることが明らかになっており、全労連は廃止を求める。
監督署の指導は労働者の保護の視点を
労働基準監督署の指導について、「労働時間や労働者の健康確保措置に関する労使の合意に則った指導が行われるよう速やかに見直す必要がある」と記載された。これは記載こそ無いが、使用者側の「監督署の過度な指導で企業活動が萎縮している」と言う主張への対応であることは明らかだ。「労使合意に則った指導」とあるが、労働組合がない職場では使用者側の思いのままとなっているのが現状でありむしろ監督署はきちんと労使で協議され合意されたものなのかを確認し、対等な労使協議の仕方も含めて労働時間の短縮を労働者保護の観点から指導すべきである。決して使用者のための長時間労働の「抜け道を指南する指導」に変質するべきではない。
雇用保険法の改悪に反対、安定した雇用・制度の拡充を
労働移動を円滑に進めるため財界は雇用保険法の改悪を狙っている。分科会で使用者側の委員が「基本手当の所定給付日数の在り方の見直し、再就職手当の給付率の改定」を主張している。これは失業者の生活を恣意的に不安定にさせ、労働条件が悪くても速やかに就職(労働移動)させることが狙いであり反対である。政府は労働者の雇用を守り、希望に沿った就職ができるよう支援すべきである。
全労連は4月、分科会に対して意見書を提出しすべての労働者の処遇改善を議論するよう求めた。また厚生労働省に対しては労働者保護の観点で労働基準行政を進めることを要請した。しかし、このとりまとめは、その観点はほとんどない。
全労連は、労働者のいのちと健康、自由な時間の確保のため、法の規制強化や行政体制の拡充等で長時間労働根絶・労働時間短縮を政府に求めるとともに、その実現のために奮闘する決意である。
以上
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