【談話】いのちのとりで裁判(生活保護基準引下げ訴訟) 最高裁判決を踏まえた早期全面解決を求める
2025年7月1日
全国労働組合総連合
事務局長 黒澤 幸一
6月27日、最高裁判所第三小法廷(宇賀克也裁判長)は、2013年から3回に分けて行われた史上最大の生活保護基準引下げ(以下「本件引下げ」)は違法であるとして、各処分の取り消しを認める画期的な判決を言い渡した。
本判決は、生活保護法8条1項に基づく厚生労働大臣の生活保護基準設定権限につき、同条2項を正しく解釈して裁量の範囲を限定した上、先例となる老齢加算訴訟で最高裁判決が示した判断過程審査を採用し司法審査を行った結果、本件引下げの主要な根拠とされた「デフレ調整」について、「専門的知見との整合性を欠き、厚生労働大臣の判断の過程及び手続に過誤、欠落があり違法」と断罪した。
このような違法な裁量権の濫用の原因は、 2012年の衆議院議員総選挙において自由民主党が「生活保護給付水準の10%引下げ」を公約に掲げて政権に復帰したという政治的背景により、厚生労働大臣が引下げありきで「法」を軽視した点にある。生存権を侵害する2013年改定に至った事実経過と原因について、検証委員会を設置して調査と検証を徹底的に行う必要がある。
厚生労働大臣は、本判決に従い、全ての生活保護利用者への謝罪、本件引下げ前の基準による保護費との差額支給等必要な被害回復措置を直ちに講じるべきである。
また、生活保護費の支給水準算定にあたっては、「健康で文化的な生活」が保障されるよう水準を引き上げることを求める。全労連が行った最低生計費試算調査によって、生計費には地域差がほとんどないこと、今の生活保護水準では足りていないことが明らかとなっている。生活保護制度においても、級地区分をなくし、全国一律の制度へ改めるよう求める。
なお、最高裁判決後も、生活保護制度が憲法25条に基づく国民の権利であるにもかかわらず、心ないバッシングが相次いでいる。厚生労働省に対し、生活保護制度が憲法に基づく国民の権利であることを周知し、権利行使を阻害しない環境を整備するよう求める。
全労連は、この「いのちのとりで裁判」をたたかい通した原告をはじめとするすべての仲間のみなさんに敬意を表する。今後は、原告・生活保護利用者とともに、すべての国民に「いのちのとりで裁判」の意義、最高裁判決の内容を伝え、「生活保護基準引き上げ」を圧倒的な世論にしながら、国に対して憲法にもとづく権利としての生活保護制度の改善を求めて奮闘する決意である。
以上
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