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【談話】自民党残業規制の指導見直しの提言の撤回を求める

2026/04/23
事務局長談話
労働法制

2026年4月23日
全国労働組合総連合
事務局長 黒澤幸一

自民党・日本成長戦略本部は4月15日、「日本成長戦略本部提言(労働市場改革・人材育成関係)」を高市首相に提出した。この提言は「強い経済」を実現するため労働者が活躍できる社会を目指すことが前提で、そのために労働時間制度を活用促進し運用も改善するとなっている。具体的に求めていることは、労働基準監督署(以下、監督署)の時間外労働の削減を求める一律指導の「見直し」や、36 協定・特別条項が未締結の企業へ訪問し締結に向けた支援をすることなどだ。

全労連は、労働者保護法制としての労働法の精神をゆがめ、長時間労働を指南するこの「提言」に強く反対である。自民党に撤回を求める。厚生労働省には受け入れないよう求める。

監督署は、法律に基づき労働者のいのちや健康を守るため長時間労働の是正を監督指導してきた。特に過労死が大きな問題となり働き方改革関連法が成立してからは健康被害・過労死の確率が高まる時間外労働月 45 時間を上限時間として規制し抑制してきた。その結果、労働者・労働組合、企業および国の努力もあって意識は変わりつつあり、厚生労働省の働き方改革総点検においても「妥当だと考える1月あたりの時間外労働等の時間」の問いでは93%の人が 45 時間以下と回答している。しかし、現実には過労死は増え続けており、日本の労働時間はドイツの1.5 倍と先進諸国と比較しても長時間であることは変わっていない。

全労連が取り組んだ労働時間に関する本音を語る緊急アンケートでは労働時間を「減らしたい人」は 57%おり、一方「自身のスキルアップや顧客のために増やしたい」と回答した人は 1.5%しかいなかった。「増やしたい人」は 11%いたが、その多くの理由は収入が低いためであり賃金の問題である。先ほど示した総点検でも同じような結果であった。労働者は自分にあったワークライフバランスを求め、生活できる賃金があれば決して時間労働を増やしたいとは思っていない。

加えて、全労連女性部が実施したアンケート(7942 人が回答)では70.2%の女性が「仕事をやめたい」と思っており、その理由のトップは「多忙で身体的・精神的にきつい」だった。睡眠時間は74.6%の人が「6.5時間程度以下」で非常に短時間の睡眠であることが分かった。多くの働く女性のいのちと健康が脅かされている。

財界は「働きたい人は一定いる」「労基署の監督指導において、時間外労働が 45 時間を超えた場合には適法であっても指導対象となるなど、過度な指導が企業活動を委縮させている」として長時間労働の必要性や、あたかも監督署が企業の経営を妨害しているかのような発言をしている。このような財界の意向を踏まえて自民党が、今回監督署の指導の「見直し」を提言したことは、これまでの「働き方改革」で長時間労働を是正してきた国の方針と矛盾する。また、この「見直し」や 36 協定などが未締結の企業に監督署が「抜け道を指南」することになるこの提言は、労働者を守るため長時間労働を是正し、時短を指導してきた労働基準行政を企業の支援機関に変質させることを迫るものだ。1日の労働時間は8時間までであり、例外として月5時間・年360時間までの上限規制が設けてあるのであって、残業は当たり前ではない。その認識がこの提言には決定的に欠けている。全労連は、この提言を放置することはできない。撤回を自民党に求める。

そもそも、自民党政権時を含め歴代の政府が国家公務員の削減を続けてきたため、監督署も慢性的な人手不足に陥っており、事業所の調査・指導監督も一部の企業しか実施できていない。法違反の摘発も氷山の一角にとどまっており、職場・企業ではサービス残業など違法状態が蔓延している。自民党は職場の実態を知り、労働者の声を聞くべきである。また、政府・厚生労働省に対しては企業の支援ではなく、労働者を守る観点を貫き、この提言を受け入れないことを要望する。あわせて、労働行政を拡充し、長時間労働根絶・労働時間短縮政策の推進をはじめ労働者の権利を守るために役割を果たすべきである。

全労連は労働者の権利、いのち・健康を守るため労働法制の規制強化、長時間労働根絶・労働時間短縮を実現に向け、賃上げとセットで取り組む決意である。

以上

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