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国民サービスを維持するために

全国一律サービスは不可欠

 政府は、民営・分社化すれば「赤字郵便局を維持することができなくなる」ことを予測し、経営とサービス維持のために郵政民営化法案に「社会・地域貢献基金」創設をもりこみました。
 社会貢献事業の維持を目的とした「社会貢献基金」は、年間で120億円です。郵政公社時代でも、盲人用の点字郵便や天災・非常災害時の郵便はがきなどの無償交付、救済用の郵便物の料金免除、第三種郵便・第四種郵便物などの費用を負担しています。過去5年間の平均負担額は、第三種郵便で230億4000万円、第四種郵便で27億2000万円です。
 郵便貯金や簡易保険の金融サービスを確保する「地域貢献基金」は、60億円です。しかし、経営実態に近い「収支相償方式」によれば、郵便局の経営は2004年度決算で「総額3611億円の赤字」の試算が公表され、90%以上の郵便局が赤字の県が北海道をはじめ全国に18自治体もあります。
 郵政事業は、民営化以前は郵政公社のもとで「郵便・貯金・保険の三事業一体」で経営され、赤字郵便局を黒字郵便局の収益で補うことによって全国一律のサービスを維持してきました。三事業一体経営でこそサービスが守られます。
公共機関からもATMを撤去

民営化による新たな負担増が発生

 民営・分社化によって発足したゆうちょ銀行では、預金保険料や郵便局会社に支払う委託手数料にかかる消費税負担などの新たな持ち出しとなる経費が発生し、その額は「骨格経営試算」によれば2007年度で1571億円にものぼります。
 日本郵政株式会社の経営見通しでは、(1)郵便事業は、通常郵便が減少する中で冊子小包が大きな伸び。郵便事業会社からの委託手数料は漸減、(2)ゆうちょ銀行が取り扱う貯金は残高・口座数とも減少が続く見込みで、投資信託等の販売増による手数料の増加は見込まれるもののゆうちょ銀行からの委託手数料総額は減少、(3)かんぽ生命が取り扱う商品は多様な医療・介護保障ニーズに対応した商品が不足。主力である貯蓄性死亡保障商品が、低金利によって新契約販売が落ち込み保有保険金額も減少が続いている。近年の新規契約の減少によって今後5年間はかんぽ生命からの委託手数料が大幅に減少するとされています。
 これまでと同様に三事業一体で運営すれば、委託手数料などの負担も発生することなく、全国一律のサービスの維持が可能です。
日本郵政グループが民営化後に計画する新規事業

附帯決議を守らせる国民的な監視が必要

 2005年10月14日に参議院総務委員会で採択された付帯決議は、「国民の貴重な財産であり、国民共有の生活インフラ、セーフティネットである郵便局ネットワークが維持されるとともに、郵便局において郵便の他、貯金、保険のサービスが確実に提供されるよう、関係法令の適切かつ確実な運用を図り、現行水準が維持され、万が一にも国民の利便に支障が生じないよう、万全を期すること」を国民に約束しました。これから必要なことは、この約束が守られるのかどうか国民のみなさんが監視・注視することです。

見直しのうごきがはじまっています

 民主党・国民新党・社民党は、10月23日に「日本郵政株式会社、郵便貯金銀行及び郵便保険会社の株式の処分の停止等に関する法律案」(郵政民営化見直し法案)を参議院に共同提出しました。法案は、「民営化開始によって、簡易郵便局の縮小やATMの撤去など、すでにサービス低下が指摘されていることをかんがみ、見直しまでの間、権利関係を複雑にさせる可能性のある株式売却を停止させる。対象は、政府が保有する日本郵政株式会社の株式と、日本郵政株式会社が保有する郵便貯金銀行・郵便保険会社の株式」(民主党ホームページより)とされています。
 見直し法案は、金融のユニバーサルサービスの義務づけは明記されていませんが、附則で「郵政民営化については、国民生活に必要な郵政事業に係る役務が適切に提供されるよう、速やかに検討が加えられ、その結果に基づいて必要な見直しがおこなわれるものとする」と規程しています。郵政民営化の見直しを行ううえで、政府および日本郵政株式会社による株式売却の停止は、不可欠です。

三事業一体運営と株式売却の凍結を

 郵政事業は、三事業一体経営によって税金の投入もなしに全国一律サービスを維持してきました。民営化の下では、「通信・金融のユニバーサルサービスの提供」を保障するうえでも三事業一体経営を維持することが必要です。そのためにも、政府保有の日本郵政株、日本郵政が保有するゆうちょ銀行とかんぽ生命の株式売却を凍結すべきです。