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 国民生活に不可欠の郵便・貯金・保険のサービスを提供してきた郵政事業は、10月1日に日本郵政株式会社のもとで、(1)郵便事業会社、(2)郵便局会社、(3)ゆうちょ銀行、(4)かんぽ生命の4つの会社に分割され、136年間にわたる国営の幕を閉じ民営化されました。
 民営化を推進した小泉純一郎元首相は、「郵便局はへらさない」「国民へのサービスは維持する」と公言し、むしろ「サービスをよくするための民営化だ」とまで強調しました。はたして郵便局はどうなったでしょうか?
政府・与党は何をきめ、何を約束したでしょうか

「郵政民営化法」が約束したことは

  政府・与党は、民営化法を成立させるときに、(1)国民の貴重な財産であり、国民共有の生活インフラ、セーフティネットである郵便局ネットワークが維持される、(2)郵便局において郵便の他、貯金、保険のサービスが確実に提供される、(3)関係法令の適切かつ確実な運用を図り現行水準を維持する、(4)万が一にも国民の利便に支障が生じないよう万全を期す、(5)簡易郵便局についても万全の対応をする(参議院附帯決議・2005年10月14日)ことを国民に約束しました。
日本郵政

サービス維持のための「地域貢献基金」

 2004年9月に閣議決定された「郵政民営化の基本方針」は、郵便局の設置自体が努力義務とされるなど、金融のユニバーサル・サービスは不要との立場に立つものでした。ところが郵政民営化反対の運動の広がりのなかで、「努力義務」とされた郵便局の設置が日本郵政株式会社法では、「会社は、社会・地域貢献資金の交付の財源をその運用によって得るために社会・地域貢献基金を設け」るとされ、郵便と金融のユニバーサルサービスを維持するための基金制度を盛りこまざるをえませんでした。

誰のための民営化だったのでしょうか

 福田康夫首相は、民営化初日の祝典で「国民の貴重な財産である郵便局ネットワークを一層有効に活用して国民の利便性向上を図っていくことになります」とあいさつしました。しかし、くしくもこの日全国で簡易郵便局が68局一斉に閉鎖されました。
 日本郵政株式会社の西川善文社長は、三井住友銀行時代に金融商品の不当販売で金融庁から処分を受けた営業を推進した前歴があります。
 それぞれの会社の役員は、日本の財界を代表するトヨタ・三菱商事・東京海上・住友生命・イトーヨーカドーなどのトップ経験者が占め、事業運営について日本通運との新会社設立、住宅ローンや医療保険分野への参入、不動産開発など国民生活重点から利益目的の経営に舵をきりました。
日本郵政グループ

郵政事業を知る人は一人だけ

 郵政事業は、日本郵政株式会社(持株会社)の下に郵便局会社・郵便事業会社・ゆうちょ銀行・かんぽ生命の5社に分かれました。新しい5つの会社の取締役・執行役員は、全体の102人のうち郵政関係出身者は1人だけで、101人は日本経団連役員経験者がずらりと名前を連ねています。この陣容を見ただけでも、総資産340兆円の郵政グループ企業の経営そのものが、財界が求めていた「郵政民営化の狙い」を明らかにし「誰のための民営化」なのかを示しています。

すでに「郵政事業」が財界の食い物に

 日本郵政株式会社の社外取締役を出しているトヨタと郵政公社の契約実績は、2004年度から2007年度の「JPS展開のためのコンサルティング」委託で2億2597万円余りになっています。
 職場では、取集用の自動車をトヨタ自動車に切り替えたことをはじめ、局内のパレット運送作業車をトヨタ製に変更、郵便局舎のエレベーターの保守管理を日立系からトヨタビルテクノサービスへ切り替えるなど新しい癒着構造が見え隠れします。
 郵政公社は、「契約は原則競争契約」とするといっていました。しかし、実態は、トヨタから来た高橋副総裁が調達委員長を努め、一定基準額以上の調達はこの委員会が「事前審査し経営委員会に報告する」方式です。
 ザ・アールと郵政公社の契約実績は、「接遇・マナーのレベル認定の実施」の委託など、2003年4月1日〜2007年2月23日までの35件で6億8362万円にものぼっています。
新聞記事 ザ・アールと契約した「接遇・マナーのレベル認定の実施」に関する入札では、結果的には2社しか応札がなくわずか87万2千円ほどの差でザ・アールが落札し、その後は「追加」という形をとり2007年度では「前倒しの契約」だという理由で委託が増えています。

地方の切りすてが現実に

 郵政民営化論議が国会ですすめられた2005年の夏、全国の自治体では「郵便サービスが後退する」「郵便局がなくなる」「国民のための郵政事業をまもろう」と47都道府県のすべてと2616の市町村議会で郵政民営化反対や慎重審議を求める意見書が採択されました。
 山間地の高齢者からは、「これまでは郵便配達の人に貯金通帳を渡して、『年金が入ったから少しおろしてきて』と頼んでいたが、それができなくなるのではないか」と不安をかかえていましたが、分社化による職員の切り分けによりその不安が現実になりました。このように郵 政民営化は、日本全国にあらたな“金融難民”を生み出しました。銀行や農協の撤退がすすんだ地域で、郵便局がなくなる現実はまさに「地方切り捨て」による「格差の拡大」であり、「構造改革」の痛みがひろがっています。

「こんなはずではなかった」の声が全国で

 新聞に掲載された利用者の声や新聞記事をいくつか拾ってみましょう。
「無集配局増加これで改革か」「郵政民営化でなぜ値上げが」「民営化だれが賛成した」「郵政民営化で値上げは困る」「局の仕切り何のためなの」
 どれもが、郵政民営化によるサービス後退と利用者負担に対する怒りがこめられ、事実に基づいて「民営化」そのものを告発しています。

新聞記事