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自治体改革と社会保障改革のダブルパンチ

 夕張市にみられるような財政破綻は、ほかの自治体にとっても他人事ではありません。同市特有の事情・問題はありますが、背景には国が進めてきた地方自治体構造改革のもとでの地方財源吸い上げがあります。

 夕張市は全国でもっとも高い市民税、さらにもっとも低いサービスとなり、結局しわ寄せは住民へ。住民への影響はすさまじく、全国では「行政サービス制限条例」を制定する自治体が広がっています。これは、取れるところはもはや住民だけとばかりに、税金を払わない住民に対してサービスをストップする酷な条例です。

 財政難に陥った自治体は、多くの公務・公共サービスを民間委託しているという現実もあります。2006年7月に起きた埼玉・ふじみ野市の市営プールでの女児死亡事故は、さらにこの委託費さえも切り詰め、監視員の人件費にしわ寄せされているなどの実態が明らかになりました。監視員は十分な安全教育を受けていなかったといわれています。

 さらに顕著な例では、国と自治体が責任をもってきた保育制度で急速な民営化が進んでいます。日本の公的保育制度は児童福祉法のもと、市町村が公立・民間の認可保育所の整備と運営の費用を税金などで負担し、保育料は保護者の所得によって決めるという「応能負担」の原則がとられてきました。これを料金の支払いと引き換えにサービスを買う市場型の保育への転換にむけ、保育所との「直接契約」精度への移行が検討されています。営利目的の民間企業の参入を許したことで、さまざまなオプション料金負担増ばかりか採算の合わないサービスの切り捨てなども起こっています。

 この突破口になったのが2000年に始まった介護保険制度でした。高齢者介護はそれまで、税金を財源に公費でまかなわれてきましたが、この制度によって国民は保険料負担が求められ、さらにサービスを利用すれば1割の負担をしなければならなくなりました。こうした流れを受けて、障害者福祉でも利用料負担が求められることになりました。

 生活保護や国民健康保険では、とにかく金を出し惜しむ姿勢から、申請拒否や保険証取り上げが相次いでいます。

 財源を縮小させる地方自治体改革と社会保障構造改革があいまって、住民の福祉サービスはやせ細るばかりです。