【月刊全労連連載・国際のページ】ベトナム解放50年 新たな連帯、交流の発展へ
全労連は10月27日から11月1 日まで、秋山正臣議長を団長にベトナムのナショナルセンター、ベトナム労働総連合(VGCL)に代表団を派遣しました。全労連とVGCL は全労連発足直後の1990年代初頭から定期交流を重ねています。今回の代表団には寺園通江事務局次長と松本俊一奈労連議長と布施の合計4 人の代表団でした。
新型コロナウイルスパンデミックで中断していた交流が、2024年12月のVGCL グエン・ディン・カン議長(他5 人の代表団)の訪日(全労連、金融労連、奈労連訪問)を受け、今回の全労連代表団の訪問で本格的な再開の軌道に乗ることになりました。2025年はベトナムがフランスと日本による植民地支配から解放されて80年、南ベトナム解放から50年の節目の年であり、その年にベトナムを訪問して交流と連帯の強化を確認したことの意義は大きいと思います。
今回のベトナム訪問はハノイとホーチミン、そしてホーチミン市の隣のドンナイ省にも短時間でしたが訪問できました。ハノイではベトナム電力労組の職場訪問と昨年来日した委員長はじめ産別執行部との会談を行いました。ベトナムは電力の安定供給がこの10年余りで大きく改善し、以前はよくあった停電や工場地帯での電力不足などの問題は激減していました。一時期原子力発電を導入しようという計画がありましたが、水力発電を中心に火力と再生可能エネルギーを組み合わせた発電をおこなっているそうです。全国に散らばる組合員の活動参加組織の苦労や労使交渉の様子などを聞きました。
正式会談での率直な意見交換
ナショナルセンター間の定期協議は、VGCL 本部でカン議長をはじめとするベトナムVGCL の本部役員、昨年訪日した電力と金融労組の代表も参加しました。
正式会談では、日本側からは秋山議長から日本の労働運動の役割や課題について最新の情勢を報告・共有しました。VGCL は政府機関の組織再編に伴い、公務員の組合員の減少を経験しています。政府機関、組織の再編、変更が進んでおり、労働組合もそれに伴った一定の変化を強いられていると報告がありました。公務員の労使関係に関する法律の変更で、労使交渉の枠から外れた公務員を除外したためだと後から国際部の同僚から詳しく説明を受けました。行政職に近い公務員=Public Servant と教員や医療、電力などのCivil Servant というカテゴリーが異なる公務員制度があり、Public Servant の範囲が労働組合の組織対象から外れたということでした。
その後キプロスで建設労組の委員長が、建設と運輸労組が合併して新組織になったと教えてくれました。日本でいう省庁再編や自治体合併が進んでおり、それに対応した組織形態への移行が図られているようでした。

課題を学びあう討論に
討論では健全な労使関係の構築に向けた努力や課題、AI やデジタル形式の労働契約書に関するもの、最低賃金などでも意見交換しました。最低賃金は26年から約7 % の引き上げが実現します。三者構成の国家賃金協議会ではVGCL はもっと引き上げるよう主張したそうですが、それでも7 % は大きな引き上げと言えます。
今後の課題として、引き続きハイレベルでの交流を維持すること、政策や組織など部門別の意見交換や、単産など加盟組織間の交流の機会の模索などで合意しました。核兵器の廃絶を含め平和の課題での協力も再確認しました。また日本で働くベト
ナム人労働者の権利の保護に向け、両組織の協力の具体化を図っていくこと、今後も国際会議やフォーラムの場などでの意見交換や連携を強めることも確認しました。
経済成長と解放50年
ベトナムは約7 %の高い成長を維持し、韓国資本などの投資が増えていること、ハノイ、ホーチミン市などの都市部やその周辺でのインフラ整備も急速に進んでいることを改めて実感しました。ハノイは外資系のショッピングモールなどが市街地の外側の新興地域に増え、高層アパートの建設が進み地下鉄もできていました。ハノイもホーチミン市も道路はバイクの洪水であることは変わりませんが、公共交通のインフラ整備も進んでいると感じました。
経済成長を進め、外資を含めて市場の開放を進めつつ、ASEAN やその他の国との貿易関係を重視しているベトナム。市場経済を取り入れながら社会主義へ至る道を模索しているベトナムが、WTO などの自由貿易の枠組みの中で、今後どのような政策を取るのかが気になります。
トランプ関税では高率の関税を押しつけられており、ベトナム経済には大きな痛手のはずです。労働者国民の生活の向上に向けて労働運動が果たす役割は大きく変化していくと思います。

ベトナム人の戦争の記憶
ベトナム反戦運動は、全労連の先輩たちの多くが参加した運動であり、ベトナムも日本を含む各国からの支援に感謝を表明されます。ハノイの戦争博物館は以前はハノイ中心部にあり、高射砲が置かれた塔、撃ち落とした米軍の戦闘機なども展示されている博物館でした。しかし解放50年に向けて、同博物館は郊外に移転し、戦争史博物館として生まれ変わっていました。
ベトナム戦争のことが中心だと思って訪問したのですが、越王朝の頃からの東南アジアの周辺国や、主に中国王朝とのたたかいの歴史から丁寧に解説されていました。フランスや日本の植民地支配を経て、最後の方にベトナム戦争の展示が集中していましたが、ベトナム人民の平和を願う気持ちが歴史上長く戦争をしてきたこの記憶と結びついているのだと感じました。「平和と自由ほど尊いものはない」というホーチミン主席の言葉を思い返しました。
ハノイの資料館以外にも、フランス植民地時代に作られ初代のVGCL 議長が処刑されたハノイのホアロー刑務所への訪問や、ホーチミン市での戦争博物館、統一会堂などを見学しました。ベトナム反戦運動に取り組み当時から多くの課題を共有した日本の労働運動への連帯の強さを感じました。
(全労連事務局次長 布施恵輔(全労連国際委員会))
(月刊全労連347号 2026年1月発行)
- 国際連帯 (40)
- 月刊全労連 (69)
- 女性部 (15)
- ぜんろうれんラジオ (22)
- 全労連新聞 (64)
- 事務局長談話 (23)
- 対話と学びあいスクール (3)
- わくわく講座 (1)
- ゆにきゃん (11)
- 調査・報告 (17)
- 宣伝物 (48)
- 春闘 (115)
- 秋年末闘争 (24)
- メディア掲載 (17)
- ストライキ (16)
- 被災地支援 (10)
- 署名 (12)
- 動画 (19)
- 大会記録 (1)
- 集会・学習会 (98)
- 賃金・最低賃金 (93)
- 労働法制 (77)
- 憲法・平和 (136)
- 社会保障 (83)
- くらし (110)
- 選挙 (34)
- 学習・教育 (8)
- 非正規労働者 (68)
- 青年 (45)
- 女性 (50)
- 原発・気候危機 (8)
- ジェンダー平等 (118)
- 非正規センター (11)
- 国民大運動 (22)
- レバカレ (65)
- 対話と学びあい (68)