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【談話】骨太方針2026の閣議決定にあたって 「強い経済」に必要なのはそれを支える労働者が大切にされる社会

2026/07/21
事務局長談話

2026年7月21日
全国労働組合総連合
事務局長 黒澤幸一

本日7月21日、政府は「経済財政運営と改革の基本方針2026(骨太方針2026)」(以下、「方針」)を閣議決定した。

「方針」は「『強い経済』と『財政の持続可能性』をバランスよく同時に実現することにより、今生きている国民と未来を生きる国民への責任を果たしていく」としている。そして強い経済を実現するための中心課題が危機管理投資や成長投資の推進とされている一方で、労働者が「人間」ではなく成長戦略を進めるための「人材」と位置づけられている。その視点は日本経済を支えている労働者の視点とはあまりにかけ離れていると言わざるを得ない。

そして、米国や北大西洋条約機構(NATO)などからの軍事費、大幅増額要求に対して「5年以内に防衛力の変革を実現する」と前向きに応える姿勢を示した。戦争が起これば多くの労働者が犠牲になることは明らかであり、無法な戦争を続ける米国とともに戦争する準備をすすめることを絶対に許すことはできない。

「方針」では、労働市場改革、家事の負担軽減を通じた多様な「人材」の活躍環境の整備、賃上げ環境整備といった課題への対応を着実に進めていくとしている。

「方針」の中では労働市場改革の中身にふれられていないが、同日に閣議決定された日本成長戦略では、①「リ・スキリングの促進」(賃金・処遇の向上を労働者の自己責任に転嫁)、②「労働移動の促進」(リストラ促進や不安定雇用の増大)、③「労働時間規制の緩和」(裁量労働制など過労死の大きな要因である長時間労働を合法化)が「3つの柱」とされている。このことは、安価で使い勝手のよい労働者を必要なときに必要なだけ確保したいという財界の思惑を具体化するものに他ならない。

そして「方針」では多様な「人材」の活躍環境を整備するとして、教育と雇用政策を連携させた「人材」育成や「スキルアップや技能尊重の機運醸成に向けた国民運動を展開」すること、「労働力供給制約下での雇用保険制度」として早期の再就職を促すための制度見直し検討など「3つの柱」をすすめるための方策を打ち出している。これらは労働者はもとより将来の労働者に対しても「仕事中心」「能力主義はあたりまえ」といった意識を植え付け、労働への誇りも人間性をも奪うものだと言わざるを得ない。

他方で女性の活躍支援については、第6次男女共同参画基本計画などに基づいてすすめるとしているが、同計画では「働き方の実態とニーズをふまえた労働基準法の見直し」や女性の非正規雇用を前提にした待遇改善の取り組みを示すにとどまり、社会的な要請であるジェンダー平等の実現とはほど遠いものとなっている。

さらに、賃上げ環境整備については、骨太方針2025で掲げられた「2020年代に全国平均1500円」の目標を「2030年代前半できる限り早期に全国平均1500円を達成する」と先送り、後退させるとともに、「賃上げは単なる分配ではなく」と位置づけ、労働者や中小企業経営者に対して「稼ぐ力」を強化せよと自助努力を強いるものになっている。しかし、とどまることを知らない物価高騰の下で労働者の生活は悪化する一方であることに加え、非正規雇用労働者を中心に最低賃金近傍で働かざるを得ない労働者が増加していることをふまえるなら、最低賃金を1,700円以上へ直ちに引き上げるとともに2,000円をめざすこと、全国一律最賃制を確立することを強く求める。

また、労働者にとって「第2の賃金」とも言える社会保障について、「現役世代の保険料率の上昇を止め、引き下げていく」一方で、高齢層に医療費負担増を強い、「女性・高齢者の就労増加に対応し、働くことが報われる社会保障制度を目指す」として、高齢者層に自己責任を押しつけようとしている。このことはいずれ高齢期を迎えることとなる現役世代にも大きな影響を与えるという点を見過ごすことはできない。

一方で「方針」では、医療・介護・障害福祉分野における労働者の処遇改善や、官公需における適切な価格転嫁などにも言及している。このことはこの間全労連が主張し、その実現に向けて取り組みを進めてきた成果でもあるが、その水準は極めて不十分だと言わざるを得ない。とりわけ医療、介護、障害福祉、保育、学童など、いわゆるケア労働者の賃金水準は、生計費原則はもちろん業務の専門性に照らしてもそれにふさわしい水準とは到底言えない。加えて16時間に及ぶ夜勤など非人間的な働き方を解消する必要がある。したがって、早期の要求実現に向けて引き続き取り組みを強める。

「方針」の冒頭では、日本の現状をふまえ「経済社会を発展させて国民生活を守っていくためには、従来の発想のままでは限界がある」としている。そうであるなら「安上がりの労働力確保」や「長時間働かせ放題の実現」、「使い捨て自由な労働者づくり」といった財界の要望実現や、アメリカの要求に応えるために軍事的緊張をあおりながら大軍拡計画を進めようとする「従来の発想」を転換すべきである。「強い経済」をめざすのであれば、最低賃金の大幅引き上げや全国一律制の実現をはじめとした生計費原則にもとづいた賃金水準の実現、過労死の不安におびえることなく自分のための時間が確保できる労働時間規制、解雇・雇い止めなどの雇用不安解消など、この国を支える労働者が大切にされる社会を早期に実現するべきであり、そのために政府としての責任を果たすよう強く求める。

以 上

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