映画『女性の休日』から学ぶジェンダー平等
そして日本版女性の休日【3月6日】へ
ジェンダーギャップ指数で16年連続1位のアイスランド。
半世紀前の1975年10月24日、全女性の90%が仕事や家事を一斉に休んだ前代未聞の運動、「女性の休日」が転換のきっかけだった。女性がいないと社会が回らないことを証明し、女性の置かれた差別的待遇を可視化した。本作はその1日への過程を描く。

ジェンダー平等に踏み出すきっかけ
最初に声をあげたのは女性団体「レッドストッキングス」の女性たち。クリスマス準備に疲れた母親を模した人形をツリーにつり下げ、美人コンテストに白い牛を連れていくなど、社会に問題提起をした。1975年6月、国連の国際女性年を受け、女性団体などの代表が集まった会議でストライキを提起。反発に配慮して「女性の休日」とした行動に、賃金差別や女性の政治参加の遅れへの抗議が呼びかけられ、準備が始まった。
「できるのか?」 全国で女性が準備を開始
映画ではさまざまな職場、地域や家庭での議論と準備、女性たちの声、男性の反対や戸惑いが描かれる。歌が作られ、シンボルマークが国中に広がった。首都レイキャビクの集会には2万5000人(当時の人口の約20%)の女性が参加。銀行や企業、公共交通も止まった。
『女性の休日』は公開後から大きな反響を呼び、日本でも実現が望まれている。全労連も3月6日を「女性の休日」とし、多様な取り組みを呼び掛けている。全国で映画を観る会や学習会が計画されている。

Ⓒ2024 Other Noises and Krumma Films.
映画『女性の休日』推薦のメッセージ(寄稿)
ラグナル・ソルバルダルソンさん 駐日アイスランド大使館 参事官

ドキュメンタリー『女性の休日』は、ジェンダー平等の進展が上から与えられることは稀だと強く想起させる。むしろ多くは人々が集団で組織化し、自ら声をあげ主張して実現する。アイスランドの観客には映画で描かれる出来事は非常に身近なものだ。日本を含む国際的な視聴者にとっては、示唆と実践的教訓の両方をもたらすだろう。
過去50年、アイスランドの男女平等への道のりは決定的な瞬間によって刻まれてきた。最も象徴的なのは1975年の女性ストライキだ。全国の女性の90%が有償労働と家事労働の両方を拒否し、国は文字通り停止した。この日、女性の労働がいかに深く経済と社会を支えているかが明らかになった。重要なのは、これが単なる象徴的抗議ではなかった点だ。この行動は永続的な政治、文化的変革を引き起こし、わずか5年後に世界初の民選の女性国家元首の誕生につながる。
この進歩を可能にしたのは、一つの改革や指導者ではなく、草の根運動、強固な市民社会組織、そして政治が要求を法と政策に反映させる意思が相互作用したことだ。労働組合、女性団体、社会運動は、平等が二次的な問題ではなく、民主主義・経済的公正・社会的結束の核心的課題として扱われるよう、粘り強く働きかけた。
同時に、このドキュメンタリーは平坦で必然的な道程を示したわけではない。アイスランドは時に抵抗や反発に直面してきた。ジェンダー平等改革は「行き過ぎ」と批判され、成果は常に守らねばならなかった。今日でさえ、国際的な高い評価にもかかわらず課題は残る。ジェンダーに基づく暴力、企業経営層の不平等な代表性、特定分野での持続的な賃金格差。映画が明らかにするように、進歩は到達点ではなく継続的なプロセスなのだ。
この過程で労働組合は中心的な役割を果たしてきた。アイスランドでは労組が歴史的に、同一賃金・育児休暇・労働安全衛生を強力に進め、男女平等賃金・雇用安定・ワークライフバランス・職場の尊厳に関わる労働問題と位置づけ、平等を議論の周辺から経済政策の主流に押し上げた。団体交渉、データの透明性、政府機関との連携は、ジェンダー格差の縮小と使用者の責任追及に不可欠な手段だと証明されている。
日本の視点から見ると、アイスランドの経験は模倣すべき例でなく、他国にも通じる可能性のある事例研究である。日本もアイスランド同様、教育と人的資本に多大な投資をしてきたが、女性の指導的地位への完全参画や賃金格差の是正には、依然構造的な障壁が残っているようだ。『女性の休日』は、持続的な変化には社会の多様な主体間の協力が不可欠だと教えている。
草の根の行動と制度は重要で、何よりも平等が特別な利益ではなく共有された社会的責任として理解される時、最も効果的に進展するのだ。
(全労連新聞594号 2026年1月15日発行)
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