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消費税減税・インボイス廃止 4兆円の社会保障費削減撤回 全国一律最賃1,500円以上と中小企業支援を  突出する軍事費を削減し 教育・福祉・社会保障など 財源は国民生活予算にまわせ

2025/06/09
憲法・平和
社会保障
くらし
国民大運動
財務省に対して要請書を手交する国民大運動の石川敏明事務局長と参加者の皆さん

2025国民大運動報告 「骨太方針2025」策定にかかわる内閣府・財務省要請

「軍事費を削って、くらしと福祉・教育の充実を」国民大運動実行委員会は、6月3日に内閣府、5日には財務省に対して、翌年度の予算編成の方針となる骨太方針策定にかかわっては、長引く物価高騰下での国民生活の改善と中小企業経営の安定など、日本経済の回復に向けた方針とするよう要請を行いました。内閣府への要請は、石川敏明 国民大運動事務局長、窪田光 全生連副会長、伊吹五月 国公労連書記次長が参加し、財務省への要請は、石川事務局長、中山眞 全商連常任理事、原英彦 日本医労連副委員長、伊吹五月 国公労連書記次長、内田みどり 自治労連中央執行委員が参加しました。

 

内閣府経済財政運営担当に要請書を手交し要請する参加者の皆さん

内閣府経済財政運営担当

内閣府では要請の時間はほとんど取ることができず、「とりまとめている立場であり言及できることはありませんが、皆さんの要請は承りました」と言い述べる経済財政運営担当参事官補佐 に要請書を手交し、要請趣旨と伝えるとともに、各代表がそれぞれ申入れを行いました。

要請の趣旨

記録的な米価上昇や長引く物価高騰のもとで、実質賃金は減少し続け物価高騰に追い付かず、中小企業の「公租公課滞納」倒産も連続で過去最多を更新し、さらに法外なトランプ関税がのしかかり、国民生活と中小企業の経営は、先行きの見合えない不安とともに深刻な状況におかれています。

一方、大企業の法人税減税は年11兆円にのぼり、今国会で成立した2025年度予算は、軍事費だけが前年度比9.5%増の8兆7千億円と突出し、社会保障費や文教・化学振興費、中小企業対策費は物価上昇率以下の実質マイナス予算となり、まさに大軍拡が暮らしを押しつぶす予算となっています。こうした状況を踏まえて、下記の4点を要請しました。

要請項目

1)突出する軍事費を削減し、教育・福祉・社会保障など国民生活予算に財源を回すこと

2)「高額療養費制度」の改悪をおこなわず、3党(自公維)合意による26年度以降の社会保障費4兆円削減は撤回すること

3)物価高騰対策、国民生活改善のために消費税を減税し、インボイス制度は廃止すること

4)「全国一律最低賃金制度」を創設し、最低賃金をただちに全国一律で1,500円以上とし、そのための中小企業支援策を講じること

財務省の回答

1) 防衛費については、わが国の安全保障環境が厳しいことを鑑みて必要だ。27年度予算については、まだ何も決まっておらず、その時々の安保環境をふまえて考えていきたい。

2)高額療養費については、患者団体の方々の話を丁寧に伺いながら検討していきたい。すでに厚労省の専門委員会で患者団体の方々も含め議論されているので、厚労省中心に議論が進められていくものと考えている。3党合意については、現役世代の保険料負担軽減対策として合意されたもの。医療費4兆円削減については維新の会の改革案の中のことだが、3党合意の中ではそれぞれの党の考え方も並列して書かれており、4兆円削減ありきで取り組むものではない。まだ協議は進行中と承知している。

3)消費税減税については、高齢化が進み社会保障給付も増える中で全世代型の社会保障を支える重要な財源であり引下げは難しい。インボイス制度については、政府は負担軽減措置として激変緩和措置を講じている。引き続き課題を聴きつつ対応していきたい。

4)最低賃金については、政府として2020年代に全国平均1,500円という目標を掲げて努力するとしており、石破総理も官民で5年間最大限集中して取り組むと発言している。全国一律となると、地方ほど引上げ幅が大きくなり中小企業の負担が大きくなり、地域の経済状況も異なるので、そうした点に留意が必要になる。その上で、全国一律にするのか、最低賃金法でやるのかも含めて厚労省で検討すべきものと考えている。都市部への人口の流出、人材確保という観点から、最低賃金の地域間格差の是正は重要だと考えている。その上で、中小企業が利益を上げて賃金引上げをおこなえるよう価格転嫁の適正化、経営基盤の強化支援に取り組んでいるところだ。引き続き中小企業の稼ぐ力、生産性向上も含めて賃上げが進む環境づくりをしていきたい。

参加者の皆さんと対応する主税局税制課課長補佐、主計局防衛課主査、主計局厚労係主計官補佐の皆さん

財務省でのやりとり

国公労連は、国家公務員の賃金については民間の給与実態調査をもとに決められているため賃上げの重要性とともに、地域手当の格差是正とそのための中小企業支援策の強化と予算の拡充を求めた。

全商連は、アメリカ言いなりの大軍拡予算について、日本の低い食料自給率、エネルギーの自給率の中で日本は戦争に耐えられないことはすでに経験しているはずであり、膨大な軍備も無駄遣いであること。社会保障費4兆円削減の3党合意は骨太方針に書き込むとされており、社会保険料負担軽減のために消費税は下げずに社会保障を削るという国民だましの政府の矛盾を突き、世界の高齢化率の高い上位8か国のうち、消費税減税を実施していないのは日本だけであり高齢化は口実とならないこと。インボイスの激変緩和阻止の期間延長とともに、全国一律最賃制度についても、岩手や徳島のような中小企業への直接支援を国がおこなうべきだと求めた。

日本医労連は、自民、公明、維新の3党による社会保障費4兆円削減の合意について、高額療養費負担上限額引上げの問題や11万床もの病床削減、OTC類似薬の保険適用除外など社会保険の崩壊や訪問介護の破綻の実情を訴えた。

自治労連は、際限のない軍事費について必要とする抑止力の見通しについて問い、また自治体労働者の地域手当については地域間格差により、人口流出や人手不足による職場の疲弊などの問題、災害が発生しても対応しきれない悪循環に陥っている状況を訴え予算の拡充を求めた。

                                              2025.06.09

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