【対談】労働委員会使って要求勝ち取る秘訣

要求の結集力が解決のカギ
労働者が団結することを擁護し、公正な労働関係を実現するため労働組合法にもとづいて置かれている労働委員会。上手に活用することで、労働組合の要求を前進させることができる。今年7月に都労委(東京都労働委員会)で画期的な和解を勝ち取った回転寿司ユニオン書記長の吉田帆駆斗さんと中央労働委員会労働者委員の三浦宜子さんにお話を聞いた。

聞き手 今年7月に都労委で、あきんどスシローと時給決定方法や調整時給の決定方法のルール化、今後の労使関係の正常化などについて和解に至った事件の経緯をお聞かせください。
吉田 回転寿司ユニオンでは、結成当初から時給の改善や未払賃金などについて、会社と交渉を行ってきました。団体交渉が誠実な交渉になっていなかったので、労働委員会を活用したいと思っていました。
「経営状況」を賃上げできない理由にされ、なかなか交渉が進みませんでした。さらに、25春闘のストライキ後に組合員に対するシフトカットがあり、労働組合法7条の1、2、3号で争おうと決め、2025年4月に都労委へ救済申立しました。
要求を職場全体のものに
三浦 運動の広がり、前進があってこその都労委での和解だったと思います。何がポイントでしたか。
吉田 要求が職場全体のものだったということがあると思います。組合員は、学生、ベテランフリーター、主婦パートの人など、立場はそれぞれですが、店舗運営で欠かせない役割を担っています。会社側も露骨に切り崩すことができないのだと思います。
三浦 要求の結集力が強かったというのは納得感があります。職場で組織化するための工夫はありますか。
職場の関心ごとから浮かないたたかいを
吉田 労働相談に来た方に「職場で信頼できる人を連れてきてください」と話をしています。相談してくる労働者は、ハラスメントとか個別の課題で来ますが、他にも問題はないのかという視点で話をしています。個別の問題で解消せずに、まず職場全体の要求を捉えることがポイントです。
三浦 そのことは労働委員会を使う上でも大切です。救済申立となると、1年以上かかることもあるので、その間書面のやり取りに終始せず、職場の関心ごとや要求から離れないことがカギです。
吉田 今回、1号(不利益取り扱い)、3号(支配介入)はシフトカットとか、店長が余計な邪魔をするとか、組合員の関心ごとでありますが、2号(不誠実団交)も、組合員が団交に出席し、会社の不誠実な対応を目の当たりにすると「ひどい」と思うわけで、そういう意味で、自分たちの問題でした。役員だけで交渉していたら、不誠実団交とならなかったのではないかと思います。
三浦 労働委員会の使い方次第で和解の一部として、賃金決定や団体交渉のルール化など、組合の要求が実現することもあります。
労働委員会を上手に使うコツ
三浦 早い段階から都労委を使うと決めていたそうですが、何か注意していたことはありますか。
吉田 交渉の前に、こんな言質を取ろうとか、ここまでは進めようなどと意思統一をしています。あと、会社の主張を踏まえて、「前回の交渉ではこうだった」と組合の見解を書面に残すようにしています。申し立てする前から労働者委員に相談したことで交渉の方向性を考えられました。
聞き手 公務の民間委託や独法化によって労働関係もより厳しくなるなかで、労働委員会の役割が高まっています。来年の中央労働委員会労働者委員の任命では、労働委員会対策会議(全労連・純中立労組懇・MIC)が推薦する三浦宜子さん、東海林智さんの任命を勝ち取る必要性をあらためて感じました。
(全労連新聞603号 10月15日発行)
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