【談話】高市政権による裁量労働制「見直し」に反対し廃止を求める
2026年2月25日
全国労働組合総連合
事務局長 黒澤幸一
2月20日、特別国会において高市早苗首相は施政方針演説を行い、裁量労働制の「見直し」について言及した。「働き方改革総点検での労働者の声を踏まえ」と前置きをしたが、そもそも「働き方改革総点検」の結果は昨年11月に公表すると言いながらいまだ公表しておらず、「労働者の声」がどこにあるのかすら知らされていない。一方で、日本経団連は今年1月の経労委報告で「企業と過半数労働組合など労使で対象業務を決定できる仕組みの創設」を強く求めている。厚労省所管の労働政策審議会労働条件分科会の中でも、使用者委員が幾度となく裁量労働制の業務拡大について「役割やその成果を基軸とする処遇」「国際競争力の向上や付加価値の創出」を理由に要求している。
財界の対象業務拡大の要求は今回が初めてではない。裁量労働制が最初に導入された1987年には専門業務型のみだったが、財界の要求でたびたび対象業務が追加され、2001年には企画業務型が導入された。2018年の「働き方改革関連法」の中で企画業務型の対象業務の拡大が狙われたが、労働時間のデータねつ造が発覚し、法案撤回に追い込まれた。そのためか財界は職場の労使の合意だけで対象業務が決められることを求めている。
裁量労働制は業務の性質上、労働者に裁量を委ねる必要がある場合、あらかじめ1日の働く時間(みなし労働時間)を決め、その時間を働いたものとみなして賃金を支払う制度であり、対象業務が限られている。労働時間は労働者本人が決定できるが、仕事量は使用者に決められる。いくら働いても賃金は変わらないため大量の仕事が与えられ、今も長時間労働につながっている。裁量労働制の適用労働者と非適用労働者と比較した場合、適用労働者の方が長時間労働となっており、深夜・休日労働も多い(厚生労働省「裁量労働制実態調査」2019年)。また、みなし労働時間より実労働時間の方が長い(同調査)という問題も指摘しておきたい。
現場では対象業務以外の職種で裁量がないにもかかわらず裁量労働制が導入されているケースもある。裁量労働制の拡大でさらに違法行為が広がることが懸念される。また、財界が求めているような労使合意で対象業務が決定できるようになれば、特に労働組合がない職場では形だけの「労使」関係がつくられ、どんな職場でもどんな業種でも導入されてしまう懸念がある。そうなれば、すべての職場で長時間労働となり、労働時間も管理されない、過労死が蔓延する恐ろしい社会がつくられてしまう。
これまでも全労連は、裁量労働制の廃止を訴えてきた。裁量労働制は「見直し」や「拡大」ではなく、廃止すべきものであることを改めて強調したい。
全労連は廃止を求めて全力で運動を広げ、同時に労働法制の規制強化で長時間労働根絶・労働時間短縮を実現するため賃上げとセットに取り組む決意である。
以上
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