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【月刊全労連連載・国際のページ】権威主義とたたかう米国労働組合

2025/12/15
国際連帯
月刊全労連
大会中シカゴ市内でデモンストレーションも行われ、大富豪に対して大幅な減税がされていると訴えるカール・ローゼン委員長

全労連と長年友好関係を築いてきた米国の電気無線機械労働組合(UE)の第79回全国大会が、イリノイ州シカゴで、2025年8月24日から28日まで開催されました。

UEは、1929年に始まった世界恐慌の真っ只中の1936年に結成された労働組合です。 当時の米国では、それまでのアメリカ労働総同盟(AFL)が熟練工中心の職能別労働組合のやり方に変わって、女性、有色人種などを中心に増え続ける不熟練工を労働組合に組織するべきだという考えがひろがり、1938年には産業別労働組合会議(CIO)という全国組織が結成され、米国労働運動が大きく盛り上がった時代でした。

第二次世界大戦後、米ソ冷戦がはじまると、米国内では共産党員の追放運動が始まり、労働組合運動も弾圧を受け、多くの組合が反共主義の立場を取りました。 しかし、そんな中でもUEは反共主義の立場をとらずたたかう労働組合の姿勢を取り続けたため、政府と財界からの徹底した弾圧を受けることになります。

こうした激しい弾圧の歴史を潜り、近年では政府関連企業、生活協同組合、大学院生などさまざまな分野の労働者を組織するようになっています。 また、UEは現場の組合員の力を基礎にした労働組合運動に徹底してこだわっている点も特徴です。

全労連とのながい友好関係

全労連結成以来、全労連とUEは友好関係を深めてきました。 NPT(核兵器不拡散条約)再検討会議の際に、全労連や日本原水協などの訪米団と共同行動を続けています。 また、米国で行われるレイバーノーツ大会では全労連からの参加者とUEからの参加者同士が交流を続け、お互いに刺激を受け合っています。

昨年のレイバーノーツ大会の交流では、UEからは組合結成がすすむ大学院生労働者が、大学での労働条件改善のたたかいについて語り、全労連の参加者からは、春闘の取り組みについて紹介し、注目を浴びていました(ちなみにですが、今回の大会に参加中、最もよく質問されたのが春闘での統一回答指定日など、春闘のたたかい方とトランプ関税の影響についてで、米国の労働者たちの関心が2028年5月に呼びかけられている統一ストライキにあることが伺えました)。

また、今年2025年の原水禁世界大会には、ペンシルバニア州エリーにある506支部からジョン・マイルズさんが参加されるなど、その時時の原水禁世界大会に代表参加を派遣されています。

「権威主義とのたたかい」の最前線に立つ労働組合

大会には、米国中のさまざまな職場支部から代議員が集まり、半数以上の代議員が初めての参加だと語っていたのが印象的でした。 大会開始前の会場では、19世紀の曲から最近の曲までさまざまな労働歌がライブで演奏され、雰囲気を盛り上げようとする運営側の努力を感じました。

大会の初日は、歓迎行事と全国議長による活動報告が行われました。 連帯のあいさつは、地元シカゴから、元シカゴ教員組合(CTU)の活動家で、現シカゴ市長のブランドン・ジョンソン氏が行いました。 ジョンソン市長の連帯のあいさつは、自身のCTU活動家としての思い出から始まり、トランプ政権による移民排斥政策が、シカゴの移民コミュニティに恐怖と不安をもたらしていることを批判。 とくにトランプ大統領が「治安対策」を口実に、州軍を投入するとほのめかしていることを、トランプ大統領は、「危機」を煽り違法に州軍を展開しようとしていると強く非難。 一緒に民主主義を守ろうと訴えました。

続いて、カール・ローゼン議長がUEのたたかいについて報告を行いました。 ローゼン議長は、前回大会が行われた2023年までの2年間とは、米国内の政治・経済情勢が大きく変化していると指摘。 トランプ政権の登場により、労働組合への攻撃が再び強まり、また移民排斥政策によって、海外からの留学生の不当な収監や国外退去が行われるなど、大学院生の労働者に対する直接的な攻撃となっていることなどに言及。 また、いわゆるトランプ関税によって、米国内の景気も悪化する懸念があるなど、労働者にとって、いっそう厳しい政治・経済状況にあると指摘しました。 その一方で、東西冷戦下でも粘り強く団結を守り労働者のたたかいの先頭にたって来たことが、今日のUEの発展の基礎にあることを思い出そうと訴えました。

労働者が労働者を組織する

初日の午後には「組織化」「軍国主義とのたたかい」「国民皆医療保険」「排外主義とのたたかい」など様々なテーマに分かれて決議案起草委員会が行われ、代議員は事前登録した委員会に参加し、議論を行います。 組織化の課題では、「労働者が労働者を組織する (worker to worker organizing) 組織化のモデル」という、2023年の大会で提起された組織化の方針が、この2年間で一層深まりを見せたということが議論されました。

当初大学院生など若い世代の労働者の組織化で使われた「労働者が労働者を組織する組織化」が他の職種や業種でも有効に機能していることが、大学、製造現場などの支部から報告されました。 この組織化モデルの特徴は、組織化の訓練を受けた専従オルガナイザーが職場に入って対話をする従来のやり方ではなく、職場の労働者に労働者との対話や組織化の戦略を任せるという点に特徴があります。 起草委員会の司会を務めたマーク・マインスター組織部長は、「正直に言えば、最初は戦略も労働者に任せるのは、どうなるか怖かった」と振り返りつつ、労働組合のスタッフの手が届く範囲で組織化をしている限り、社会に影響をあたえる大きな変化は起こせないと強調していたのが印象的でした。

排外主義・軍国主義を転換し平和を実現するたたかいともに

国際連帯の課題では、全労連とメキシコの労働組合が連帯あいさつしました。 私のあいさつでは、「対話と学びあい」を全労連の組織文化にしようとチャレンジしていることで、春闘のストライキや最低賃金闘争で成果を生み出しつつあること。 その一方で、日本でも排外主義を煽る右派政党が伸張し、全労連に加盟する移住労働者の生活が脅かされている状況があり、ロシアのウクライナ侵略やイスラエルによるガザ侵攻などで高まる核兵器の危険などに対して一緒に平和を実現するたたかいをすすめようと訴えました。

会場からは、マイルズさんが日本での世界大会参加の経験を「とても印象的で、平和と核廃絶の重要性を改めて考えさせられた」と発言されたのをはじめ、メキシコとの国際連帯活動に参加した代議員がその経験を語るなど、国際連帯の重要性が現場の組合員の経験から語られていたのが印象的でした。
(全労連常任幹事 名取学(全労連国際委員会))

(月刊全労連346号 2025年12月発行) 

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