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【談話】最低賃金に関わる中央最低賃金審議会2025年度改定の目安答申を受けて

2025/08/05
事務局長談話
賃金・最低賃金
くらし
非正規労働者
青年
女性

2025年8月4日
全労連事務局長 黒澤幸一

中央最低賃金審議会は8月4日、2025年度の最低賃金について、全国加重平均を63円(6.0%)引き上げる目安を厚生労働大臣に答申した。このままの引き上げが行われれば、全国平均1,118円(前年度1,055円)となる。過去最高の引き上げ額で、全ての県で1,000円を超えたとはいえ、私たちが求めてきた要求からも、政府目標の「2020年代に平均1,500円を実現する」のに必要な年7.3%の引き上げにも及ばない低水準であり極めて不満である。

答申(公益委員見解)は、その理由を、労働者の生計費の関連指標として、消費者物価指数のうち、「『頻繁に購入』する品目に次いで購入頻度が高く」「食料、電気代、通信料などの生活必需品で構成される『1か月に1回程度購入』する品目」の「平均6.7%」という数字をあげ、「最低賃金に近い労働者の購買力を維持する必要がある」こと、「賃上げの流れの維持・拡大を図り、非正規雇用労働者、中小企業・小規模事業者にも波及させること」、最低賃金法第1条の最低賃金制度の目的に留意したとしている。

また、「各ランクの引き上げ額の目安」としてA・Bランクを63円、Cランクを64円引き上げることとした。目安が、Cランクが1円ではあるがA・Bよりも高い額としたことは、はじめてのことであり、地域間格差の解消を求める強い声が反映されたものとして評価できる。その根拠として①「消費者物価指数(持ち家の帰属家賃を除く総合)の対前年度上昇率」がAランク3.8%、Bランク3.9%、Cランク4.1%となっていること、②賃金改定状況調査結果(第4表①②③)における賃金上昇率がCランク、Bランク、Aランクの順に高くなっていること、③雇用情勢としてB・Cランクが相対的に良い状況にあることをあげている。

全労連は最低賃金の2025年度改定を審議する中央最低賃金審議会に向けて「今すぐ全国一律1,500円以上の実現、1,700円をめざす」ことを求めている。石破政権は、最低賃金を「2020年代に平均1,500円にする」としたが、「5年後では遅すぎる」といますぐ1,500円を実現するように重ねて求めてきた。

地方最低賃金審議会での審議が始まっている。中央審議会では、データ重視といいながら、生計費については根拠不明な「標準生計費」しか示されておらず、全労連と地方組織が実施している最低生計費試算調査に注目が集まった。地方審議会では、新潟で新潟県労連が調査結果を説明、愛知では正式資料として全国初採用された。秋田県労連からは「この一年、時給951円の全国最下位で悲しく、辛い思いをしてきたが、他県が最下位になれば良いという問題ではない」と地域別最低賃金の問題点を鋭く指摘する声が届けられた。徳島、京都では、大学生が「低賃金でバイト漬け。勉強する時間がない。」と意見陳述を行っている。

中央最低賃金審議会が示した目安では、最低賃金近傍で働く労働者の生活はもとより、労働者全体の実質の賃金底上げにつながらない。賃金を抑制し、低賃金の非正規雇用を増やし、企業が活力を失ってきた、「失われた30年」の流れから脱出する具体的なメッセージにもなっていない。地方最低賃金審議会での目安を大きく上回る引き上げと、地域間格差を解消し、全国一律制を求める地方からの声をあげることを呼びかける。全労連も、地方最低賃金審議会での大幅な引き上げをめざし引き続き奮闘する。

以 上

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