【談話】労働施策総合推進法の成立にあたって
すべての職場からハラスメントをなくし、ジェンダー平等実現に向けて奮闘しよう
2025年6月4日
全国労働組合総連合
事務局長 黒澤 幸一
6月4日、ハラスメント対策の強化や女性活躍の推進、治療と仕事の両立支援推進などを盛り込んだ労働施策総合推進法が成立した。成立した法律は、カスタマーハラスメント対策の強化や求職者等に対するセクハラ対策の強化など、一定評価できる部分もあるものの、ハラスメントのすべてを禁止するよう求めてきた私たちの要求と職場実態に照らせば、不十分と言わざるを得ない。
全労連は、ハラスメントの根絶、女性や性的マイノリティ差別撤廃キャンペーンとして、25春闘の重点項目としてたたかいをすすめ、①法案にハラスメントの包括的な定義と禁止事項、罰則規定を盛り込むことでILO第190号条約を批准できる国内法制を確立し、誰もが国際的な水準で安心して働けるようにすること②独立した国内人権機関の設置、③賃金や管理職比率の男女間格差解消にむけた実効性ある方策の具体化などを求めてきた。
具体的には、ILO第190号条約の批准を求める国会請願署名の取り組みを軸に、学習による職場内の意思統一を図るとともに、国会議員要請や実態告発、厚生労働省交渉などを精力的に行ってきた。加えて、5月29日の参議院厚生労働委員会における参考人質疑では、働く者の立場から全労連の掲げる要求項目について法律に盛り込むべきだとの意見を、参考人を派遣し表明した。
そうした取り組みの結果、衆・参それぞれの委員会で、労働者の就業環境等を害する言動や行為を仕事の世界におけるハラスメントとしてすべての禁止することについて検討すること、現行のハラスメント法制との整合性を精査した上でILO第190号条約の批准に向けて検討すること、などが付帯決議として採択された。とりわけ参議院の決議ではILO第190号条約の批准を「速やかに」検討するとされるとともに、カスハラ対策では小規模事業者への必要な支援を行うこと、対策の検討・実行にあたっては労働組合をはじめとした労働者を参画させること、サービスが途絶すると生命や心身の健康に重大な影響が及ぶ分野として「医療・介護を含む公務・公共現場」との位置づけなどが盛り込まれるなど、この間のたたかいによって全労連の意見を反映させてきた大きな到達点だと言える。
一方で、男女間の賃金や管理職比率の格差解消については、企業規模にかかわらず公表の義務化など「実効的な対策を検討する」にとどまっており、ジェンダーギャップ指数が下がり続けている状況を打開しようという強い決意や有効な方策は見受けられない。
国会でのやりとりや付帯決議などこの間の取り組みの到達点をふまえ、職場段階では労働組合として今回の労働施策総合推進法の改正法を活用し、あらゆるハラスメントを根絶するための実効ある対策の推進を進めるとともに、全労連として引き続きILO第190号条約の批准をはじめとしたハラスメントの根絶、ジェンダー平等実現に向け、全国の仲間の奮闘を呼びかける。
以 上
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