【月刊全労連連載】It’s Union Time「『非正規公務員への不当労働行為』を許さない」(2026年6月号)
非正規公務員が労働組合を結成したことや職場での労働組合活動を理由に人事評価を「C」判定にするという稚拙で卑劣な不当労働行為が、今年
3 月、愛知県のある自治体で行われました。私たち全労連の組合員に対してです。
東京新聞が「自治体が『妊娠で雇い止め』『組合つぶし』の悪質な人づかい/非正規雇用「会計年度任用職員」制度が温床に」を見出しに報じま
した( 4 月12日付)。いまは、この新聞報道の内容以上のことを書くことはできませんが、あまりに看過できないことであり、ここに記します。

「組合つぶしの人事評価だと思った。怖かった」
愛知県の自治体にある公立保育園で、保育士として20年近く働く会計年度任用職員の組合役員の話です。賃金も低く、この自治体には労働組合が
ありませんでした。特別休暇なども取りにくい会計年度任用職員の待遇改善を求め、2024年に同じ立場の女性職員と「もう黙っていられない」と労働組合をつくり、中心を担って自治体側(当局)と交渉してきました。2025年には「育児短時間勤務」「部分休業」の所得実績ゼロ件の悪しき「運用基準」を撤廃させてきました。
そうしたなか、3 月26日に自身の「人事評価報告書」を受け取り、驚いたと言います。保育業務に関する人事評価のはずが、「全体講評」には、女性の組合活動への批判的なコメントばかりで、「勤務時間外の労働組合活動」までを理由に書かれ、「保育業務に専任していただくようお願いします」などとも書かれていました。「総合評価」は、「求められるレベルを下回る」とされ、雇い止めとなる「D」評価の一歩手前の「C」とされました。「C」評価は、次年度の経験年数加算がされないなどと賃金の不利益を含む評価です。
この組合員は、2007年から働いていますが、評価はほぼ毎年、最高評価の「A」でした。ところが、2023年度に、この自治体初の労働組合を結成すると、それ以降2 年連続で「B」評価を付けられ、今年は「C」とされました。
「組合つぶしの人事評価だと思った。怖かった」
「非正規職員への脅しや差別をやめて正当な人事評価をしてほしい」
と東京新聞の取材に応じています。
「黒澤さん、全国レベルの運動が必要です」
私も、ご本人から話を聞きました。「私と同じ目に合っていても、何ともできずに悔しい思いをしている人たちが大勢いるのだろうと想像できま
す。愛知県の一自治体で行われた、馬鹿げた幼稚なやり口の嫌がらせを、しっかりと発信していかねばならないと思うのです。会計年度任用職員に対しては、人事評価を悪用しての雇い止めも嫌がらせも職種の変更も処遇の変更も自由自在です。どの自治体でも、正規職員は大事にしますが、会計年度任用職員などはただのコマ扱い。そもそも国の制度設計がそうなんですから。会計年度ごとの任用で、毎年の雇い止めが前提なんですから、もう本当にこんな制度ダメです」「労働組合って本当に魔法のツール! 全国にはまだまだ声を上げられず、ひとりで涙し、泣き寝入りしている人たちがたくさんいるでしょう。労働組合の魔法の力が必要なのに、まだその力を知らない人がいる。全国の魔法(労働組合)が必要な人に、魔法の力を届けたい」と、この理不尽な攻撃に対して徹底的に向き合う意思を話してくれました。
「人事評価を悪用させない! 会計年度任用職員制度の制度設計の見直し! そんな全国レベルの運動に発展させなくちゃと思っています。黒澤さん、そんな機会があったらいいと思います」
泣き寝入りしない。全国の仲間とたたかう
この自治体当局が行った行為は、人事評価という、力と権威を使って「労働組合活動をやめろ。さもなければ、働き続けられないぞ。賃金下げる
ぞ」との脅しです。しかし、逆に言うと、労働組合をつくられたことの効果が存分に表れています。怖がっているのは、自治体当局の方です。対
等に物を言われることがなかった職場組織で、労働者の立場で真っ当なことを言う者たちが現れたことで、慌てふためいているように見えます。また、団体交渉によく参加する組合員の人事評価も「B」評価にされている節があります。中心人物を「C」評価にすれば、ほかの組合員を萎縮させられると見せしめ的な効果でも狙っているのでしょう。
労働組合の組合員であることや労働組合への加入・結成等を理由として職員に対し不利益取扱いをすることは不当労働行為として当然に禁止され
ています。対抗策は、職場で「“おかしい”と声を上げる人を増やす」ことです。逆に労働組合が大きくなって「失敗した」と言わせることです。
私は、全国の仲間の力も引き出して、この問題に立ち向かいたいと思います。
全労連事務局長 黒澤幸一
(月刊全労連2026年6月号掲載)
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