【月刊全労連連載】 いっちょかみが行く「阪神淡路大震災から学んだこと」(2025年9月号)
第6回目となる今回は、 ローカルセンター の役員として、阪神淡路大震災からの復興に向けたとりくみの経験をお話ししたいと思います。
震災の概要
平成7年1月17日5時46分、タン路 北部の北緯34度36分、東経135度02分、深さ16kmを震源とするマグニチュード7.3の地震が発生した。この地震により、神戸と淡路島洲本で震度6を観測したほか、豊岡、彦根、京都で震度5、大阪、姫路、和歌山などで震度4を観測するなど、東北から九州にかけて広い範囲で有感となった。また、この地震の発生直後に行った気象庁地震機動観測班による被害状況調査の結果、神戸市の一部の地域等において震度7であったことがわかった(防災白書より)。
この災害による人的被害は、死者6434人、行方不明者3人、負傷者4万3792人という戦後最悪の極めて深刻な被害をもたらした(消防庁調べ、平成17年12月22日現在)。施設関係等被害の概要について住家は、全壊が約10万5000棟、半壊が約14万4000棟にものぼった。
復興県民会議の結成
震災発生の翌々月の 3 月 4 日、45団体代表と学者・研究者、医師、弁護士など75人が参加して、「県民会議」(阪神・淡路大震災救援復興兵庫県民会議)が発足しました。代表世話人は菊本義治兵庫県立神戸商科大学教授、合志至誠兵庫県保険医協会理事長、宮崎定邦弁護士(元神戸弁護士会会長)の 3氏(肩書は当時)。事務局長は兵庫労連の森事務局長が担いました。そのほか、兵庫県商工団体連合会、兵庫県保険医協会、新日本婦人の会兵庫県本部、自由法曹団兵庫県支部、兵庫県民医連、日本共産党兵庫県委員会、その他の県レベルの代表で世話人会を構成しました。
また、震災復興のためのシンクタンクとして兵庫県震災復興研究センター(以下、「震災研」)が同年4月22日に設立されました。これで、理論と運動・実践の車の両輪が出来上がり、住民本位の震災復興をめざす運動が本格的に走り出すことになりました。
公的支援を求め
復興県民会議の結成を受け、被災者に対する公的支援を求める運動が始まりました。当時は、全国から寄せられた義援金が配分されただけです。政府は私有財産制を「タテ」にして、住宅再建に対する公的支援を行おうとしませんでした。
県民会議は被災者の悲痛な声と切実な要求実現のために「雲 ・ 並みの公的支援を」と住宅・店舗の再建に500万円、生活再建に350万円を求める要求署名を集めるために、多彩な行動を展開しました。
こうした活動の一環として、1998年5月15日、衆議院で自民党案の「被災者生活再建支援法案」が可決成立する目前、1998年2月9日から5月29日までの約100日間、東京でアパートの1室を借り、県民会議加盟の各団体から交代で複数の代表を派遣し、連日、政府、国会議員への要請行動を展開しました。
議員会館に日参して
当時のわたしは、この県民会議のとりくみに参加し、中央行動をはじめとする各種の行動に参加しました。上述のアパート暮らしも経験しました。初の東京生活です。それよりも以前は、採用後に行われた研修(埼玉の研修所)で 2 週間過ごしたことが、地元以外での長期生活の最初で、 2 度目となる東京生活でした。現在は、東京に居住していますが、当時はまさか東京に住むことになるとは夢にも思いませんでした。
このアパートを拠点とした要請行動では、毎日発行されるニュースを議員会館に配付していました。建替前の古い議員会館の各議員室にニュースを配りましたが、 1 週間ほどの滞在だったので、その他のことはあまり記憶に残っていません。なお、当時たいへんお世話になったのは、日本共産党の穀田恵二衆議院議員と事務所の秘書・岡部孝次さんでした。
提言づくりにも参加
震災復興のためのシンクタンクとして設立された震災研の活動にも参加をしました。そうそうたるメンバーに交じって、合宿研究会などに参加してきました。合宿研究会でよく行ったのが沼島です。ご存じの方は少ないかもしれません。淡路島の南に位置する小さな島で、漁業を生業にする人々が暮らしています。そこで捕れる「鱧」は絶品です。こうした研究会から県民会議代表世話人の菊本義治神戸商科大学教授と仲良くなり、いっしょにお酒を飲みました。遊んでいたように思われるかもしれませんが、合宿研究会では真面目に議論していました。
そういえば、合宿は夏に行っていたので、台風の影響により、島に渡れないということがありました。急きょ予定を変更し、淡路島島内で宿泊先を確保し、慌ただしく移動したこともありました。
これらの活動を通じ、震災からの復興に向けた住民運動を大きく広げ、支援法の設立にこぎ着けたことは良かったのですが、阪神淡路大震災の被災者は適用外となったことが残念でなりません。多くの災害が続いています。支援金額を増額させるなど、とりくみはまだまだ続けなければなりません。
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