2027年国民春闘方針構想案
スローガン案
対話と学びあいで仲間を増やし、
平和と民主主義が大切にされる社会と大幅賃上げ・底上げの実現で、
すべての労働者の生活と権利を守ろう
はじめに
1、27国民春闘に対するかまえ
(1)国民春闘は、さまざまな産別と地域の労働組合が統一闘争を配置し、未組織労働者や地域住民なども巻き込みながら、労働者の賃上げと生活改善をはじめとした要求を実現するという役割を持っています。「大幅賃上げを実現してほしい」「働きがいのある仕事がしたい」「ジェンダー平等など個人が尊重される社会であってほしい」「安心・安全な社会・地域を実現してほしい」といった要求はすべての労働者が持っている要求です。
私たちが毎日普通の生活を送ることができるのは、幸福追求権を定めた憲法13条や生存権を定めた25条があるからです。また、労働組合が賃金引き上げをはじめとした労働条件改善を要求・交渉できるのは、表現の自由を定めた憲法21条や労働基本権を保障する憲法28条があるからに他なりません。そして憲法で保障された基本的人権が守られ戦争のない社会が続いているのは、市民と労働者の不断の努力によるたたかいがあったからです。
しかし、現在の状況をみると高市政権の下で、成長戦略を進めるとして、最低賃金について「2020年代に全国平均1,500円」とされていたものが「遅くとも2030年代前半できる限り早期に全国平均1,500円を達成する」と大幅に後退させられたり、労働基準法を「解体」し使用者にとって安上がりで使い勝手のよい労働者をつくろうとしています。
さらに、高市首相は、軍事費の拡大や自衛隊基地の強靱化、軍需産業を成長戦略17分野のひとつとするなど「戦争する国づくり」を進める一方で、2027年春頃には憲法改正発議のメドを立てたいとするなど、この国の形を大きく変えようとしています。
こうした状況をふまえれば、憲法改悪にストップをかけ平和な社会をつくること、生活改善につながる大幅賃上げをはじめとした労働条件改善を実現することの2点が27春闘における中心的な課題となります。そしてそれらを実現することが将来に希望の持てる社会への道を開くことにつながります。
先述した春闘の意義・役割に照らせば、憲法改悪阻止と大幅賃上げなど労働条件改善の課題をすべての組合員にとって「一致する要求」にし「自分ごと」としてたたかえるようにしていく必要があり、そのために職場で働くすべての労働者との「対話と学びあい」が不可欠となっています。「対話」は一方的な押しつけではなく、お互いが同じ目線で疑問や意見を出し合い、一緒に考え、理解を深めていくことが重要です。そしてそのことを労働組合の「見える化」や、ジェンダー平等の実現につなげ、一緒にたたかう仲間・自覚的にたたかう仲間を増やし、すべての労働者が賃上げ交渉することをめざします。
そうした労働組合組織の基礎を固め、要求書の提出・交渉の実施など賃上げをはじめとする「一致する要求」の実現に向けて運動を積み上げることはもちろん、要求実現にとって重要な局面では、スト権という労働者・労働組合が持っている武器を最大限活用してたたかうことを呼びかけます。
(2)高市首相は2026年4月12日におこなわれた自民党大会で、憲法改正が党是であると強調し「憲法改正の発議について、『なんとか目途が立った』と言える状態で、来年の党大会を迎えたい」と発言しました。自民党は公約で自衛隊の明記を掲げているとともに、2012年にとりまとめた憲法草案では国防軍の創設が盛り込まれていることをふまえれば、自民党が狙う憲法改正は、当面「戦争できる国づくり」に必要な憲法9条「改正」や緊急事態条項が中心であると言えます。27年4月には統一地方選挙が実施されることとあわせて考えれば、憲法改悪や「戦争する国づくり」にストップをかける取り組みは27春闘における重要課題と言えます。
2026年2月の解散・総選挙以降、武器輸出の全面解禁、憲法審査会の常態化、国家情報会議の設置、国旗損壊処罰法の成立などが数の力を背景に進められ、10月5日からはじまったの臨時国会では国会議員定数の削減法案が提出されるなど、「戦争する国づくり」やもの言えぬ社会への転換が進められています。他方、戦没者追悼式典では首相の式辞から「反省」という言葉がなくなり「戦争の惨禍を繰り返させない」とするなど、戦争責任をあいまいにするなどの姿勢をとっています。
高市首相はアメリカとイスラエルによるイランへの攻撃について批判せず、ICCの所長を制裁対象としたことに対しても「大変残念」とコメントするにとどまるなど、法を無視し力による支配を進めようとするトランプ大統領のいいなりとも言える姿勢をとり続けています。
こうした中、高市政権は武器輸出の全面解禁や、自衛隊基地の強靱化、「敵基地攻撃能力」を持つ長射程ミサイルの配備など「戦争準備」を進めています。7月に閣議決定された日本成長戦略では、17の戦略分野の1つに防衛産業が位置づけられ、小型無人航空機(ドローン)を防衛省が大量に取得することや、「新しい戦い方」に対応できる生産・技術基盤の確保、航空・宇宙、AI・半導体などのデュアルユース(軍民両用)の分野で、防衛省の運用ニーズを踏まえた戦略的投資を官民一体で実行することが盛り込まれるなど、「経済成長」の名目のもとでの軍拡も進められています。
イスラエルによるガザへの侵攻は2025年10月の停戦発効から一年が経過したものの、断続的な攻撃が続いています。他方、ロシアによるウクライナ攻撃は開始から4年半、アメリカとイスラエルによるイランへの攻撃は8月末で半年が経過しました。どちらの戦闘でも戦闘員はもとより、女性や子どもも含めて多くの民間人が犠牲となっており、ひとたび戦争が起きれば、日常生活が大きく破壊されることは明らかです。また、中東情勢を原因とするナフサ不足などの影響は、原材料価格の上昇や生産コストの増大など中小・零細企業の経営に大きな影響を与えており、そのことが労働者の労働条件改善の足かせにもなっています。
(3)厚生労働省が7月31日に発表した26春闘結果は、平均18,167円(前年比△462円)、率にして5.18%(前年比△0.34ポイント)とされ、「妥結額は2年連続して18,000円台、賃上げ率は3年連続して5%台であり、高水準の賃上げ」と評価しています。他方で26年度最低賃金改定をめぐって、「骨太方針2026」では、最低賃金について「遅くとも2030年代前半できる限り早期に全国平均1,500円を達成する」と「骨太方針2025」で掲げた「2020年代に全国平均1,500円」という目標を大幅に後退させた結果、今年度の最低賃金額は全国加重平均で1177円となりました。引き上げ額は過去最高だった昨年の66円を10円下回る結果となりましたが、全労連が各地で取り組んでいる最低生計費調査の結果に照らせば、最低でもあと600円程度の引き上げがなければ、人間らしい生活が送れない水準となっています。
加えて「骨太方針2026」では「2029年度までの間で、日本経済全体で、実質賃金で年1%程度の上昇を賃上げのノルム(社会通念)として我が国に定着させる」としていますが、2026年中には18,000品目を超える食料品が値上げされるとともに、電気・ガス料金の政府支援が終了するなどの状況をふまえれば、今後実質賃金はマイナスとなる可能性があることが指摘されています。
政府は9月の月例経済報告で、国内の景気判断を「緩やかに回復」という見方を25カ月連続で維持しました。しかし、大企業は650兆円を超える内部留保をためこみ、自社株買いによる株主への分配を増加させつつ「黒字リストラ」をおこなう一方で、労働分配率は2020年以降下がり続け47.3%となるなど労働者に犠牲を強いています。そうした下で、2024年における貧困線は2021年から11万円上がって127万円となり、相対的貧困率は15%となっているなど、貧富の格差が大きく広がっています。したがって27春闘ではこうした利益優先・株主優先の姿勢を変えさせ、労働者の賃金を大幅に引き上げることによってこの国の経済を立て直していくことが求められています。
とどまるところを知らない物価高騰が労働者・国民の生活を直撃している下だからこそ、この間の最低生計費試算調査の結果に確信を持ち、生計費原則に基づく大幅賃上げを要求し、誰でも、どこでも、どんな仕事でも誇りを持って働き、安心して暮らせる賃金水準への引き上げを実現しましょう。また、中東情勢の影響による原材料価格の高騰によって、中小企業のコスト負担が大きくなっていることをふまえれば、中小零細企業の経営を後押しするための国や自治体による支援の強化についても労働組合として取り組むことが求められています。
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