全国労働組合総連合(全労連)

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熊本地震から1カ月 一刻も早い復旧・復興へ政府交渉

2026/09/05

「徐々に」ではなく一刻も早く 被災地熊本から願い届ける

「いのちとくらし・平和を守る熊本ネットワーク」(楳本光男代表)は、内閣府防災担当大臣および関係省庁に対し、「2026年熊本地震の復旧・復興にかかる要請」に基づく政府交渉を行いました。

熊本からは、実際に被災した熊建労の組合員や県商連、熊本民商、新日本婦人の会、日本共産党の市議・町議などが参加。仁比聡平参院議員、白川容子参院議員、田村貴昭前衆院議員も参加し、発災から1か月を経ても続く避難生活や生活再建の実態、被災地で直面している課題を政府に訴えました。

全労連からは、全国災対連(災害被災者支援と災害対策改善を求める全国連絡会)の香月直之事務局長、石川敏明副議長、稲葉美奈子常任幹事が参加しました。

「徐々に」では間に合わない 災害関連死を生まない支援を

交渉では、避難所の食事や生活環境の改善が大きな課題となりました。

被災地では、発災当初、菓子パンやカップラーメン、その後もコンビニのおにぎりなどが中心となり、野菜や温かい食事が十分にとれない状況が続いたことが報告されました。

政府が避難所の生活環境について「徐々に改善している」と説明したことに対し、要請団は「災害関連死を生まないためには、これからが正念場。“徐々に”ではなく、早急に、一気に改善してほしい」と強く求めました。

避難生活が長期化するなか、被災者の健康確保は一刻を争います。

在宅避難者や車中泊避難者への支援をめぐる質疑では、安心して横になることもできない避難生活のなかで、足をパンパンに腫らしていた高齢女性の実態も語られました。

この女性の状況は、現地に入った内閣府の担当者も実際に把握していました。担当者からも、病院につなぐ必要があること、一人ひとりの状況を把握し「必要な支援につなぐ」ことが必要だとの認識が示されました。

災害関連死を生まないため、避難所だけでなく、在宅避難や車中泊を続ける人も含めて実態を把握し、医療や福祉など必要な支援につなげていくことの重要性が、要請側と政府側の双方から示されました。

ホテル避難者にも食事の保障を

ホテルや旅館などへの二次避難者への食事も大きな論点となりました。

熊本県ではホテル避難者の食事を自己負担としており、要請団からは、コンビニ弁当などに頼らざるをえず、長期化すれば栄養面からも健康悪化につながりかねない実態が示されました。

要請団は、ホテルへの二次避難も避難生活であることに変わりはなく、能登半島地震では食事が提供された例も示しながら、国の責任で食事を保障するよう求めました。

政府は、ホテル避難者への食事提供について、災害救助法上「できない」とされているものではなく、食事を提供することは可能との認識を示しました。熊本県が判断すれば国として支援するのかとの確認に対しても、災害救助法上対応可能であり、相談があれば対応するとの回答がありました。

避難場所が体育館からホテルに変わったからといって、被災者でなくなるわけではありません。要請団は、避難生活を続ける人の命と健康を守るため、栄養バランスのとれた食事を保障するよう重ねて求めました。

「物資はあるのに届かない」問題も

支援物資が広域の物資拠点までは届いているにもかかわらず、避難所や被災者の手元まで届くのに時間がかかった問題についても質疑が交わされました。

段ボールベッドなどが避難所に届くまで10日ほどかかった地域があることが示され、要請団は、停電や断水への対応に追われ、職員自身も被災している自治体だけに配送を委ねるのではなく、国が物流事業者などと連携して被災者のもとまで届ける仕組みを強化するよう求めました。

政府からも、広域物資拠点から避難所までの配送に課題があったことについて、今後検証していくとの認識が示されました。

在宅避難・車中泊の実態をつかみ、支援につなぐ

避難所にいない被災者をどう支援するのかも重要な課題です。

要請団からは、自宅や車の中で避難生活を続けている人の人数や健康状態を行政の責任で把握すること、自治体職員だけに任せるのではなく、国や県、支援団体などが力を合わせて一人ひとりの状況をつかむことが求められました。

とりわけ、車中泊では同じ姿勢を長時間続けることによるエコノミークラス症候群などの危険があり、在宅避難でも高齢者や持病のある人などの健康悪化が懸念されます。

政府からは、戸別訪問や見守りなどを通じて被災者の状況を把握し、災害ケースマネジメントの考え方で医療、福祉をはじめとした必要な支援につなげていく必要性が示されました。

罹災証明、仮設住宅、生活再建――現場から相次ぐ訴え

このほか交渉では、罹災証明書の発行の遅れ、仮設住宅、被災した住宅の応急修理、公営住宅への入居、福祉避難所、学校や体育館の空調整備、被災した子どもへの支援、文化財の復旧など、幅広い課題について要請しました。

仮設住宅をめぐっては、農業や家畜の世話、地域とのつながりなどから自宅周辺を離れることが難しい被災者がいることが紹介され、自宅敷地内や住み慣れた地域で生活を続けられるよう、地域の実情に応じた柔軟な対応を求めました。

また、生活再建のために借り入れを余儀なくされる被災者への支援についても、「被災したうえに利息まで負担しなければならないのか」との声があがり、災害時の貸付制度は原則無利子とするよう求めました。

「被災者の苦しみはどの災害でも同じ」

交渉の最後に、被災者支援制度そのもののあり方について、切実な訴えがありました。

災害の規模や被害世帯数、国による指定などによって利用できる支援制度が異なり、同じように住宅や生業を失っても、「こちらの災害では対象になるのに、別の災害では対象にならない」という格差が生じています。

要請団は、「被災者の苦しみは、どの災害でも一人ひとり同じ」と訴え、災害の規模や国が定める基準によって支援に格差を生じさせず、どこで災害に遭っても生活再建に必要な支援を受けられる恒久的な制度へ改善するよう求めました。

発災から1か月。「徐々に」では間に合わない被災者がいます。災害関連死を生まないため、命と健康を守る支援を一刻も早く届けること。そして、避難場所や被災した地域、災害の規模にかかわらず、誰ひとり支援から取り残さない制度をつくることが求められています。

全労連は引き続き、熊本県労連や全国災対連などと連携し、被災者の生活と生業の再建に向けた支援に取り組みます。

交渉後には、熊建労から参加した被災組合員にも取材しました。被災から1か月をどのように過ごしてきたのか、住宅再建をめぐって何に直面しているのか――。被災者自身の声について、熊建労の石山誠書記次長に聞きました。

生活再建へ被災者の声に寄り添った支援を――

被災者生活再建支援制度では、住宅が全壊するなどした世帯に支援金が支給されます。しかし、複数世帯が住宅を新たに建設・購入する場合でも、基礎支援金と加算支援金を合わせて最大300万円です。「300万円では家は建たない」。住まいの再建は程遠いのが現状です。

また、被災した住宅では、屋根や瓦などの修繕も必要になります。物価や建築資材の価格が上がるなか、被災した人が自らの負担だけで住まいを元に戻すことは簡単ではありません。被害を受けた住宅を直し、再びそこで暮らしていくためには、実態に見合った公的な支援が必要です。上限を引き上げることも含めて、国が主導で行ってほしいと訴えたいと話しました。

さらに、住宅だけでなく、電気や水道などのライフラインの復旧も欠かせません。建物そのものの被害が大きくなくても、電気や水道が使えなければ、それまで通りの生活を送ることはできません。自らも被災者でもある石山さんは、井戸水を使用する地域では、断水が解消されていないと話します。ライフラインは暮らしを成り立たせる「生活の基本部分」だと強調しました。

災害によって失われた住まいや生活基盤を元に戻すことを、被災地任せにせずに、いい事例は共有しながら、積極的に取り入れ、国が責任を持って支援することが必要だと訴えました。

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