全国労働組合総連合(全労連)

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あらゆるハラスメントと女性や性的マイノリティ差別の根絶をめざすキャンペーン

2026/03/12

働組合の力でハラスメントと性差別の根絶をめざすキャンペーンを開始。職場での学習とともに国会に向けたILO第190号条約の批准と包括的ハラスメント禁止法制定を求める働きかけを強め、昨年は署名3万人分を提出した。26国民春闘でも取り組みを継続している。

2019年に採択されたILO第190号条約は、仕事の世界における暴力とハラスメントを包括的に禁止する条約で、暴力・ハラスメントを国際条約として明確に定義している。
条約批准国には、被害防止や救済、予防を義務づけており、保護対象とその場所と状況は、仕事に関わる全てが対象となる(下図)。

ILO第190号条約が対象とするもの

保護対象条約の適用対象となるもの
〇正規/非正規労働者
〇インターンや見習いを含む訓練中の者
〇雇用が終了した労働者
〇ボランティア
〇休職中の者や仕事への応募者
〇使用者側の権限・任務・責任を行使・遂行する個人
〇顧客や取引先、一般の人々
〇外国人技能実習生
〇移住労働者
〇職場
〇休憩・食事をとる場所または衛生・洗浄・更衣設備
〇出張・移動・訓練
〇親睦行事
〇SNSを含む仕事関係のオンライン上のコミュニケーション
〇使用者から提供された住居
〇往復の通勤時

「被害者にも加害者にもならない」労働組合の力であらゆるハラスメントと性差別をなくそう!ステップアップミーティング

「仕事の世界におけるハラスメントと性差別を根絶させるためにできること」と題して、太田啓子弁護士が記念講演(2月12日、都内)

職場に持ち込まれる性的役割分業

全労連は、キャンペーンを前進させるための集会を2月12日に開催した。記念講演では、太田啓子弁護士が、性暴力やハラスメントが起こる構造とILO第190条約批准の必要性を語った。女性や性的マイノリティが性差別とハラスメントの標的になりやすい理由を、社会に根付く性的役割分業や権力構造の偏りが職場に持ち込まれているからだと強調した。

つくられた「性差別的価値観」

民間企業で働く女性の平均給与は316万円と男性596万円の6割未満で、賃金格差は年齢とともに拡大する(政府調査)。結婚や出産でキャリアが断絶され、正規雇用で働くことが困難になるからだ。加えて世界的にも日本の女性は無償労働の時間が長い。圧倒的な経済格差の構造が性暴力・ハラスメントを生む、「性差別的価値観」を再生産していると指摘。
この構造のなかで、マジョリティ側にいる男性は自身の立場の優位性に無自覚なまま加害者になると指摘。力を持つマジョリティは自分の優位性・力を自覚し、この構造に積極的に抗う責任があると強調した。また、「性差別的価値観」を次の世代に再生産しないことも重要だと語った。

190号条約の批准 一刻も早く

職場や地域でも取り組みが広がっている。岐阜県労連の平野竜也さんは、増え続けるハラスメント相談の対応には限界があるため、一刻も早く190号条約の批准をと訴えた。
映演労連の飯野高司さんは、春闘でハラスメント根絶宣言の発表を会社に求め実現させたと紹介した。
全厚生の渡名喜まゆみさんは、全労連の「ハラスメントをなくす第三者介入ワークショップ」(※)を組合で実践したことを報告。「第三者介入を学ぶことは労働者を守ることにつながる」と話した。全労連幹事会でも第三者介入ワークショップを2月18日に実施。各地でのさらなる開催が期待される。
全労連は、職場や労組のハラスメント対策や被害実態を明らかにし、法改正に繋げるためのアンケートに取り組んでいる。

※ハラスメントをなくす第三者介入ワークショップ 学習キット&動画
ハラスメント予防と被害拡大防止を身に付けるワークショップを職場で開催できます。短い動画を視聴してからワークシートを使って学ぶことができます。所要時間は30分~3時間。
詳細はこちらをご覧ください。

「被害受け続けるのは強制労働」 終らせよう マスコミの構造的性暴力

シンポジウム「もう終わらせよう、メディア・芸能・芸術の構造的性暴力〜フジテレビ問題から1年、消された声を聞く〜」のパネリスト(2月7日、都内)

民放労連などメディア業界で働く労働者がフジテレビ問題から1年を機に、マスコミの構造的性暴力を考えるシンポジウムを開催した。長崎市性暴力訴訟や参議員秘書を相手どった国賠訴訟の経験から、被害者を泣き寝入りも孤立もさせないことが労働組合の役割だと語られた。
パネリストの中野麻美弁護士は、ハラスメント被害に遭うと認識しながら働き続けるのは、ILOが禁止する強制労働だと指摘。社会の公共財であるメディアが性暴力を黙認することは市民の権利に関わる問題であり、構造に切り込むことが重要と強調した。

(全労連新聞596号 2026年2月15日発行)

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