全国労働組合総連合(全労連)

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2026年国民春闘討論集会「労働組合の真価問われる春闘」

2025/12/15

みんなで交渉して 賃上げを

全労連・国民春闘共闘委員会は11月26~27日、2026年国民春闘討論集会を全労連会館(オンライン併用)で開催し、182人が参加した。24・25国民春闘でつくり出した賃上げの流れを、26国民春闘ではすべての労働者に広げ、「労働組合に入り、みんなで一緒に賃上げ交渉をしよう」をテーマにたたかうことが呼びかけられ、ケア労働者や非正規労働者の大幅賃上げ、最低賃金の要求基準などを示した一次案について熱心な討論が行われた。

ケア労働者の大幅賃上げ急務 すべての労働者の賃上げを

国民春闘共闘の矢吹義則代表幹事(東京地評議長)が主催者を代表してあいさつを行い、来春闘でのすべての労働者の大幅賃上げ、とくにケア労働者の処遇改善は急務であると述べた。また、高市首相の存立危機事態に関する発言の撤回を求め、武器輸出拡大を許さず、軍拡ではなく暮らし・福祉・教育の充実を強く訴えようと呼びかけた。
政府・財界による労働基準法改悪の動きに対し、労働者保護を強め、解雇の金銭解決や労働時間上限規制の緩和など、労働者の団結でストップさせ、26国民春闘を旺盛にたたかうことを訴えた。
続いて黒澤幸一事務局長(全労連事務局長)が、26国民春闘方針(第一次案)を提案。賃上げの要求基準では、率換算で月額10%以上、時間額で約17%以上とし、最低賃金を「今すぐ全国一律1700円以上、めざせ2000円」と掲げ、大幅賃上げと底上げをめざすことが示された。
実質賃金がプラスに転じない状況に、「労働組合の真価が問われる」と述べ、「春闘のたたかいに確信を持つことが求められている」と呼びかけた。 
大幅賃上げの実現には、労働者自らが労働組合に入り、要求を掲げ、団体交渉で勝ち取る流れをつくることが不可欠であり、賃金決定は労使の力関係で決まる以上、対等な力をつくり上げようと力を込めた。
職場での交渉と地域春闘、ストライキを背景にしたたたかいを結合させ、「みんなで一緒に賃上げ交渉をしよう」という春闘本来の役割を取り戻すことが重要であるとした。さらに、対話と学びあいを通じて労働組合の求心力を高め、仲間を増やすことに全力を挙げたいと強調した。

「みんなで一緒に、賃上げ交渉しよう」と呼び掛けようと、春闘ビラを紹介しながら訴える黒澤幸一事務局長

最低賃金発効日先送りは格差の 拡大まねき、法の趣旨に反する

2日間で、10単産、17地方組織、2補助組織の32人が全体討論で発言した。
最低賃金「今すぐ全国一律1700円・めざせ2000円」については、静岡・東京・愛知・生協労連などが生計費調査を基礎とする最低ラインとして歓迎する一方、高知・青森・福島・岩手・山口などからは「1500円でも壁が厚い。1700円提示には中小企業支援策など丁寧な説明が必要」と慎重意見が上がった。さらに、生協労連や複数の地方組織から、発効日の先送りについて、さらなる賃金格差の拡大と生存権を守る最賃法の趣旨に反すると厳しく批判した。
医療・介護・保育・障害福祉などケア労働では、日本医労連・福祉保育労・岩手・愛知・高知などが「全産業で最も低い賃金」「離職の連鎖」「倒産・休廃業の増加」と深刻な実態を報告。診療・介護・障害福祉の報酬改定を前倒しし、大幅賃上げ実現を、春闘の最優先課題にすべきだとの認識が共有された。

安心して意見出せる場づくりを

レバカレで学んだ「対話と学びあい」の実践が各地で広がり、高知では参加者がテーマを決める会議手法(OST)を導入。長野・福祉保育労・岩手などではグラウンドルールや「心理的安全性」を確保し、若手が安心して意見を出せる場づくりが進んでいることが報告された。
賃上げにとどまらず、暮らし・公共・平和を守る国民要求を大きく掲げてたたかうことが強調された。

(全労連新聞593号 2025年12月15日発行)

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