労働法制中央連絡会NEWS(2025年5.12号)
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4月25日、労働法制中央連絡会は、政府が求める労基法「改正」とは何かをテーマに学習会を開催しました。南山大学教授の緒方桂子氏が講演。100人がオンラインで参加し、労働基準関係法制研究会の報告書(以下、報告書)を中心に政府の狙い、労組として議論すべき課題を学びました。
緒方氏は報告書に記載されている「法的基準を調整・代替する仕組み」について、労使協定を介した労基法が定める原則から逸脱する仕組みであると指摘。「調整・代替」は現行制度において労働者の健康や安全に危害を加える可能性が低いもの(有休の時間単位付与など)から非常に高いもの(高プロ制度など)まである。「調整・代替」の必要性はあるが、労基法1条の「労働条件は人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきもの」と書かれているように、「人たるに値する生活」の幅を超えてはならないと述べました。報告書は「多様な働き方を支える仕組みが必要」と強調しているが、これは労働者の健康や安全に危害を加える可能性が高いものについて規制を労使に委ね、国による監督を後退させようとしているのではないかと主張しました。一方で労組の活性化について記載があるがリップサービス的なもので、研究会の関心は(労組がない職場での)過半数代表制であると指摘し、その存在価値は無視できないため今後過半数代表制の意義など労組として議論してほしいと提案しました。あわせて、報告書では、使用者の応答義務について記載がされていない、不当労働行為事件の大多数は団交拒否だと批判しました。
労働時間規制について、テレワークに新たなみなし労働時間制を導入しようとしているが、現在実施されている労働時間の報告(PCでのログなど)での対応ではなぜだめなのかと指摘しました。また、「副業・兼業」の通算時間の割増賃金制度廃止については、「 副業・兼業」を政府が激推しする中での廃止であることに言及。流行しているスポットワークの問題点(低賃金・日雇い派遣の疑いなど)にも触れながら、パート労働者らの労働条件の引き下げにも繋がるのではないかと、「『 副業・兼業』は長時間労働の問題だけではない」ことを明らかにしました。
最後に、報告書は多様化の中で選択できる働き方を支えるスタンスであるが、それに対抗する軸は「人たるに値する生活」の形について議論することではないか。「『 調整・代替』で長時間労働を広げようとしているが、家族はどうなるのか、自分の将来は?などの視点が必要で、労組として人生の豊かさなどについて議論する場があればもっと強い力になるのではないか」と私たちに投げかけました。
行動提起をした土井労働法制中央連絡会事務局長は、学習や署名(ページ末にリンク)、宣伝行動の取り組みを行い、労基法解体阻止の実現とともに、職場で長時間労働根絶・時短の要求し、まずは職場から労基法を守らせることを実現していこうと提案しました。
緒方先生の講演はYouTubeで限定公開しています。ご覧になりたい方は全労連までメールで御連絡ください。
全労連政策グループ wage@zenroren.gr.jp
署名用紙(個人・団体)は緒方先生のレジメとともにこちらからダウンロードできます。
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