全国労働組合総連合(全労連)

ページの上部へ

26年中央審議会始まる 最低賃金「全国一律」への転換と大幅引き上げを求める声、物価高騰で地方の生活も困窮

2026/06/26

2026年の最低賃金の改定を議論する中央審議会が、6月26日から始まりました。

これに先立ち、中央の審議会は、昨年の地方審議会における最低賃金の先送り・分散化や、地方における目安を大幅に上回る改定について検証し、新たな指針を打ち出しました。

指針の中で、地方審議会において「目安を大幅に上回る引き上げを行う際に、発効日を過度な交渉材料とするべきではない」とし、また企業の準備期間を理由に発効日を遅らせる場合は「その判断理由を公益見解等でできる限り明らかに示した上で決定すること」としました。

また、目安を大幅に上回る改定について、近隣県との金額のみで金額を決めたり、最下位を避けたいという動機から引き上げ額を決めるのは「適切でない」として、法定3要素(地域の生計費と賃金、企業の支払い能力)のデータを総合的に考慮して決定すべきとしました。
しかし、この新たな指針のもとでは、地方審議会が今後、目安を大きく上回る引き上げを行うことが、萎縮・抑制されるのではないかとの声があがっています。
また、高市政権が「2020年代までに平均1500円達成」という政府目標を「2030年代前半」に後ろ倒しにすると報道されています。苦しい生活を強いられている最賃近傍で働く労働者にとっては2030年代前半では遅すぎます。地方自治体にとっても賃金が高い大都市への人口流出や地域経済の疲弊がさらに進むということは地域の存続にかかわる深刻な問題です。

全労連は6月25日、現在の最低賃金制度が抱える地域間格差や生活困窮の現状を訴え、国に対して「全国一律制度」への法改正と、物価高騰に応じた大幅な引き上げを求める第4次最賃デーに取り組みました。厚労省、中小企業庁への要請と中央最低賃金審議会への意見書提出後、厚生労働省前で約70人が宣伝行動を行いました。

203円の地域間格差、「地方も時給1,900円必要」試算も

全労連の黒澤幸一事務局長はマイクを握り、現在の最低賃金の全国平均(1,121円)について「今の日本の経済状況や物価高騰を考慮すると、働いても食べていけない、生きていけない水準である」と指摘。今回の改定審議においては、労働者の「生存の危機」を最優先の議題として議論すべきだと主張しました。

さらに、最高額の地域と最低額の地域の間に203円の開きがある現状について、地域間格差が激しすぎると懸念を示しました。 全労連が実施している最新の「最低生計費試算調査」によると、最低賃金が特に低いとされる宮崎県であっても、現在の物価高騰を踏まえると生活の維持には時給1,895円が必要であるという結果が出ている。これは東京都北区での調査結果とほぼ同水準であり、「地方だから安くていいという状況ではない。格差是正のために国は法律を変え、4〜5年かけてでも『全国一律』に移行する決断を下すべきだ」と国に強く求めました。

「生きていく権利保障しろ」と声を上げるためここに

郵政産業労働者ユニオンの船山良成さんは、日本郵政の内勤の非正規職員はほぼ最賃近傍に賃金が据え置かれ、そのほとんどが勤続20~30年の女性だと訴えました。
物価高騰に対し、春闘で200〜300円の時給アップを求めているが、日本郵政は非正規職員に対して「ゼロ回答」を続けており、非正規職員の賃金は最賃に連動して引き上がるだけです。これに対して、労働組合は、まともに生活できるために仕事ぶりを評価して支払えと要求を続けています。
船山さんは「非正規労働者の生活が悲惨だから頂戴というのではなく、生きていく権利を保障しろと声を上げるためにここに来た」と訴えました。

秋田県 最賃発効半年遅れで「約8万3000円の賃下げ」

秋田県労連の幹事で市立横手病院に勤める千葉崇仁さんは、秋田県の最賃改定が例年の10月より半年以上遅れて3月31日になったことによる労働者への影響を語りました。
2024年改定で秋田県は「最賃最下位」のレッテルを張られ、最下位になりたくないという思いから2025年は80円という大幅引き上げにつながりました。ところが、発効日は2026年3月31日と、例年(10月中旬〜下旬)から約半年遅れたため、結果として10月発効の他県と比較して年間で約8万3,000円(お米5kg換算で約20袋分)の差が生じてしまいました。

千葉さんは「『最下位脱出』という順位ばかりが優先され、労働者の実利が犠牲になった」と訴え、秋田と他県で生計費(生活に必要な費用)に地域差はなく、地方に若者を引き留めるためにも、最低賃金は「全国一律」かつ「大幅引き上げ」にするべきだと訴えました。

最賃大幅引き上げは、中小企業への経営支援策とセットで

東京地評事務局次長の中村修一さんは、昨年東京地評が行った生計費試算調査によって、東京で生活する若者の生計費がアップデートされたことを紹介しました。
「東京で若者が普通に暮らす(家賃を払い生活を営む)には「1,900円台」の時給が必要であるとの結果が出ており、現在の東京の最低賃金(1,126円)では物価高騰に追いつかず、生活がままならない」と大幅賃上げを求めました。

また、宣伝前に行われた中小企業庁への要請で、同庁が「最賃引き上げに経営者の状況加味した引き上げとしている」と回答したことに対し、現在の業務改善助成金は生産性向上が要件であることがネックになっていると指摘しました。そのうえで、中小企業への経営支援策(業務改善助成金など)とセットで、時給1,500円、1,700円、そして2,000円を目指すロードマップを作るべきだと訴えました。また、助成金の要件(設備投資の縛りなど)を緩和し、賃上げに直結する仕組みに変えるべきと強調しました。

同じ企業でも地域間で賃金差

生協労連の渡辺利賀さんは、約4万人のパート・アルバイト等の非正規労働者が働く生協の職場を代表して発言。物価上昇が続くなか、昨年発行が遅れた秋田県や群馬県のように発効が待たされる地域があることは問題だと語りました。

日経平均株価が7万円超えで過去最高値などニュースで流れているが、自分たちの生活が良くなっている実感はない。生活を維持するためにも大幅な引き上げが必要であり、厚生労働省も働く者の味方であってほしいと訴えました。

低賃金続けば、日本の医療介護は崩壊する

日本医労連の米沢哲書記長は、 医療・介護・福祉の現場で働く労働者は賃上げから置き去りにされている実態を訴えました。

日本医労連が行った春闘のアンケートでは、生活に必要な賃金に対して「4万円以上(要求としては5万円)」不足しているという回答が最も多かったが、2026年の報酬改定による財源確保の成果も、極めて不十分であると実態を語りました。さらに医療・介護職場には時給1,500円以下で働く非正規労働者も多くおり、人手不足に拍車をかけています。

宣伝に先立ち中小企業庁への要請で、日本医労連はこれらの実態を示したのに対し同庁は、「事業者に無理を強いるから実現は困難」と回答しました。米沢書記長は「労働者に無理を強いるのは許されるのか。労働者の生活立ち行かなければ、日本の医療介護は崩壊する」と訴えました。

最低賃金大幅引き上げの決断を 26日から中央審議会

6月26日から最低賃金審議会が始まります。
高市内閣は、石破茂前政権が掲げた20年代に1,500円との目標を「30年代前半早期に」と先送りする「日本成長戦略」を近くまとめることを明らかにしました。全労連は、労働者の要求と団結で、最低賃金の大幅引き上げと全国一律制の実現を迫ります。

すべて表示する