職場からハラスメントをなくすとりくみを求め 法務省・厚労省要請
全労連は5月29日、職場からハラスメントをなくすため、厚労省と法務省への要請と記者会見を行いました。

ILO190号条約批准とハラスメントを包括的に定義し罰則付きの法制定、人権擁護機関の設立、行政における対応強化が必要
厚労省と法務省への要請は、両省の担当者が同席して行われました。全労連が昨年秋から今年3月まで取り組んだ職場のハラスメントと性差別の実態調査(WEBアンケート)をもとに、日本政府としてILO第190号条約の批准と、罰則規定付きの法制定を含めてそれが可能となる法律・規則の整備を求めました。同時にハラスメントは人権侵害であることを明確に位置付け、相談窓口の強化や連携強化、相談者に寄り添った対応と事業所、加害者への指導など行政としての対応強化を求めました。
全労連の九後健治副議長は、冒頭、「現在、職場ではパワハラ、セクハラ、カスハラなど多くのハラスメントが存在しており、多くの労働者が苦しんでいる。 改正労働施策総合推進法では、『職場におけるハラスメントを行ってはならない』ことを明確にしたうえで、社会における規範意識醸成に取り組むとされ、附帯決議の内容など一定の前進面はあったがなお不十分だ」とハラスメント対策の不備に言及しました。
全労連調査結果からも法整備の必要性明らかに
全労連が行った調査結果から、ハラスメントを受けても「相談せずに我慢した」人が25%強存在することが明らかになったと述べました。さらに、ハラスメントを実際受けた人が求めるハラスメントの予防措置として、「就業規則にハラスメント禁止と罰則を明記する」ことを求めた人が48.4%、「ハラスメントを法律で定義し、罰則付きで禁止する」45.3%、職場や行政などに対し「相談しやすい窓口を設置する」50.3%などが挙げられことを示しました。
「最も必要なのは、日本政府としてILO第190号条約の批准と、罰則規定付きの法制定を含めてそれが可能となる法律・規則の整備であることは言うまでもない。さらに日々ハラスメントが発生していることをふまえれば、行政における対応強化も極めて重要だ」と述べ、以下の要請書を手交しました。
職場からハラスメントをなくすための取り組みを求める要請書
厚生労働大臣 上野賢一郎 殿
2026年5月29日
全国労働組合総連合
貴職におかれましては、日頃から労働者・国民の権利を守るための行政運営を推進していただいていることに敬意を表します。
現在、職場における各種のハラスメントが深刻な状況になっていますが、ハラスメントは人権侵害であり、どのような場面でも許されるものではありません。
厚生労働省がとりまとめた「都道府県労働局へのハラスメントに関する相談件数の状況」(2024年第73回労働政策審議会雇用環境・均等分科会資料)によれば、パワーハラスメントにかかる相談件数が年々増加しているとともに、他のハラスメントにかかる相談も依然として高い水準となっています。また法務省が発表している「令和6年における『人権侵犯事件』の状況について(概要)」でも、「パワーハラスメントなど『労働権関係』の事案が増加し、最多となった」とされています。こうした結果、2024年度の労災請求は3780件で過去最多となり、過労死全体の労災認定件数が1304件と過去最高を記録しています。その中でも、とりわけうつ病などの精神障害で1055件(うち自殺・自殺未遂が88件)と初めて1千件を超えるなど顕著な増加傾向となりました。
ILOで2019年6月21日に採択された「「仕事の世界における暴力及びハラスメントの撤廃に関する条約」を日本政府として批准するよう求め、2026年の第217回通常国会で「「職場でのあらゆる暴力とハラスメントをなくすためにILO第190号条約の批准を求める国会請願署名」(5万6000筆超)を提出するとともに、労働施策総合推進法にかかる国会審議では5月29日に行われた参議院厚生労働委員会で参考人として意見を述べるなどの取り組みを重ねてきました。その結果、附帯決議ではカスタマーハラスメント対策の検討・実効における労働組合の関与など一定の前進面もありましたが、私たちが掲げる要求であるILO第190号条約の批准には至りませんでした。
私たちが昨年末から3月にかけて取り組んだアンケートの回答や全労連の労働相談センターの窓口には「何も変わらない、ひたすら耐えている」「対象者が退職した」「加害者側の処分を徹底してほしい」といった声が寄せられるなど、依然として職場におけるハラスメントの深刻な実態が明らかになっています。憲法では労働者には基本的人権をはじめ個人の尊重や生存権、勤労権、労働基本権などが保障されており、安全で安心して働ける職場環境を確保することは国の責務ですが、ハラスメントに関わる法律・規則が現在のままでは問題を完全に解決できません。したがって、職場からあらゆるハラスメントを根絶するためにILO第190号条約の批准と包括的にハラスメントと暴力を禁止する罰則規定付きの法律を制定することが求められています。
貴職におかれましては、私たちの要望を真摯に受け止め、下記の事項について履行されるよう強く求めます。
記
1.ILO第190号条約を批准すること。当面、現行の各法律についてもハラスメントの定義を明確にし、あらゆるハラスメントについて基本的人権を侵害する行為として明確に位置づける改正を行うとともに、相談窓口の充実など行政体制を確保すること。
2.職場からあらゆるハラスメントと暴力をなくすため、包括的にハラスメント・暴力を禁止する罰則規定付きの法律を制定すること。
以上
厚労省あて要請書はこちらから

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法務大臣 平口 洋 殿
(前文は同じ)
記
1、あらゆるハラスメントについて基本的人権を侵害する行為として明確に位置づけ、それを包括的に禁止する罰則規定付きの法律を制定すること。
2、法務局などの人権相談窓口の体制を充実させ、仕事の世界における人権侵害・ハラスメントの解消をはかること。また、必要に応じ他の行政などと連携して事件の解決にあたること。
以上
法務省あて要請書はこちらから

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