全国労働組合総連合(全労連)

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26国民春闘方針(第二次案)

2025/12/18

対話と学びあいで仲間を増やし
すべての労働者の大幅賃上げ・底上げを実現しよう

みんなで一緒に「賃上げ交渉」しよう

賃上げはもとより労働時間短縮の要求実現は、労働者が使用者や政府、富を独占する大企業に対して、要求し力を合わせて交渉することなしに実現させることはできません。労使の力関係を変えるたたかいです。半世紀以上に渡って困難な生活が強いられる労働者をたたかう労働組合に組織化することが最もその解決の早道です。「対話と学びあいで仲間を増やし、すべての労働者の大幅賃上げ・底上げを実現しよう」(案)をスローガンにたたかいます。
ケア労働者の低賃金や公務公共職場の疲弊した状況の打開、戦争をなくし、戦争準備をさせないことは、労働者・国民の生きる権利を守り、その地域に住み続けられる条件をつくることです。一人ひとりの労働者が団結し住民とともに手を取り合ってたたかうこと以外に守ることも充実させることもできません
26国民春闘は、すべての労働者に、労働組合に入って、みんなで一緒に「賃上げ交渉しよう」をテーマにたたかうことを呼びかけます。めざすは、賃上げ交渉を文化にする最初の春闘です。日本の労働組合組織率は16.1%(前年比▲0.2㌽)と、圧倒的な職場では賃上げ交渉は行われていません。この流れを国民春闘共闘・全労連のすべての組合員の力を引き出し、変える最初の一歩を踏み出す春闘にしましょう。

ストライキや統一闘争強化「たたかう労働組合のバージョンアップ」が動かしている

国民春闘共闘・全労連のストライキや統一闘争強化などの「たたかう労働組合のバージョンアップ」(①ストライキ、②統一闘争、③仲間増やし)をはかるたたかいが、労働者の生活を守り、日本経済の再生には「賃上げが欠かせない」こと、最低賃金は、「時給1,500円をめざす」(2023.8末)と政府にも言及させるなど、春闘の大きな流れを変えるたたかいを構築してきました。公務・民間の共同のたたかいの推進をはかる中で、公務員賃金(人事院勧告)でも34年ぶりの水準をつくり出しました。さらに、ケア労働者の賃金をめぐっては25秋闘で、賃上げ・物価上昇に対する医療機関への支援など、「医療・介護等支援パッケージ」1兆3649億円を盛り込ませるとともに、介護報酬を1年前倒しの2026年6月に臨時改定することを公言させました。水準は極めて不十分ですが、たたかいによってつくり出した変化です。
一つは、人間らしい生計費が賄える賃金要求を掲げたたかっている成果です。ここに確信と自信をもって26国民春闘に臨みましょう。二つに、「職場での労使交渉による賃上げ」と「社会的な賃金闘争(最低賃金、公契約、公務員やケア労働者の賃上げ)」をともに前進させ労働組合主導の賃上げ闘争をつくりましょう。三つに、単産と地方・地域組織の共同による「地域春闘」の強化でたたかう労働組合の本領を発揮しましょう。

ケア労働者、非正規労働者の賃上げは急務!

26国民春闘は、労働組合の存在意義と春闘自体が問われる春闘となります。24、25春闘と賃金引き上げの流れを作り出したものの実質賃金をプラスに転換することができず労働者の賃上げ実感を得ることができていません。特に、ケア労働者の賃上げと非正規労働者の賃上げは、26春闘でも特別の対策が必要です。賃上げの水準が問われています。人間らしく暮らせる生計費や専門職などにふさわしい賃金に引き上げさせる決意が私たちに必要です。労使(資)の力関係で決まる賃金原則の形骸化に歯止めをかけ、たたかう労働組合への求心力を高める流れをつくり出すことが必要なときです。
どの職場でも「賃上げ交渉が必要だ」という世論を広げるともに、ストライキなどで果敢にたたかう労働組合を増やしていきます。職場でも社会的にも労使(資)の力関係を変えて対等にすることをめざし、30年以上にわたる賃金デフレの流れを変えて、賃金が上がる国へと転換することをめざします。
財界・大企業の意向でいっそう非正規雇用労働者(パート労働者1,667万人うち女性は1,219万人、労働組合組織率は8.8%)や細切れスポットワークなど無権利な労働者に誘導されています。それを政府が「働き方改革」と称して法律や制度の規制緩和にお墨付きを与え、促進する流れが強められています。
高市政権は、総裁選で「ワークライフバランスという言葉を捨てる」と発言し、首相として「労働時間の規制の緩和の検討」を指示しました。労政審で検討されている裁量労働制やデロゲーションの拡大を念頭に更なる長時間労働を労働者に強いいる構えです。断固として、職場からの運動で阻止し、1日7時間労働の実現など規制強化をめざします。

大企業中心の経済・社会からの転換を職場・地域からのたたかい構築で打開する

大企業の内部留保は過去最高を更新し561兆円となる一方、労働者の実質賃金は下がり続け、大企業の労働分配率は、過去最低の37.3%で統計史上最低を更新しています。企業全体の経常利益は、過去最高を更新し続けています。
物価高騰が労働者の生活に追い打ちをかける中で、労働者が声を上げ、力関係を変えて、賃金が上がる国への転換をはかるのが26国民春闘の目標となります。

戦争と極右台頭、米国・トランプ政権と高市新政権の横暴に立ち向かう春闘

世界は今、軍事ブロックの対立による緊張の高まりで平和秩序の回復か否かの岐路に立つ、大変緊迫した情勢にあります。ロシアのウクライナ侵攻は長期化し、収束の気配すら見えません。また、イスラエルによるパレスチナ自治区ガザへの攻撃では6万7千人以上の市民が犠牲となり、国連調査委員会は攻撃を「ジェノサイド(虐殺)」と認定しています。
7月の参議院選挙を受け、排外主義・移民排斥の拡大とファシスト政党の台頭という日本の政治体制の大きな変化が起きています。アメリカ・トランプ政権による横暴極まりない相互関税等と軍事費拡大の押し付けなど、私たち労働者・国民の生活と職場を直接的にも間接的にも脅かす事態です。
日本では10月21日、自民党の高市早苗総裁が第104代首相に選出され、自民党と日本維新の会による連立政権が発足しました。この政権は戦後日本が培ってきた民主主義を根底から破壊しかねない、極めて危険で国民にとって最悪の政権と言えます。全労連は高市自民・維新政権の暴走を許さず、労働者・国民のいのちとくらしを最優先にする政治への転換を実現するためにたたかいます。
平和と民主主義を守る“たたかう労働組合”が大きくなること、多くの市民、そして世界のたたかう労働者らと連帯を強めることが、この新たな政治情勢に対峙することになります。
丁寧な「対話と学びあい」を労働者の中で責任をもって広げること、地域に出て労働組合が見えるたたかいで役割を果たす、26国民春闘にしましょう。

「対話と学びあい」の推進で仲間を増やして26国民春闘を勝利しよう

組合員、労働者との「対話と学びあい」を徹底的に組織するなかで、組合員の自主的・自覚的な参加によるたたかいをつくりましょう。労働者一人の力は限られます。たたかう労働組合があることを示し、労働組合の存在と価値を職場でも社会的にも広げる春闘にしましょう。当事者自らが力を合わせて声をあげれば変えられます。10月に行われた“レバカレ2025”でも示されたように、私たちには、その変化をつくってきた確信と、多くの実践や経験があります。みんなのものにして、たたかう仲間をふやして春闘に勝利することを呼びかけます。

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