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【月刊全労連連載】 いっちょかみが行く「単産ブロックの専従役員としての経験」(2025年11月号)

2025/11/14
月刊全労連

今回は、単産の専従役員として経験談をお話しします。時代は21世紀に入ったところです。中央省庁再編などが実行され、公務員制度改革の波が押し寄せてきた頃です。強い公務員バッシングもあり、労働組合に対する激しい攻撃もなされていた時期でもありました。

人事では断らない

わたしの所属単組は、単産の中で中心単組といわれていたこともあり、地方組織へも中心的な役員を派遣していました。単産でブロック組織のトップを担っていた単組の先輩役員が退任することとなり、調整の結果、単組から専従役員を派遣することが確認されました。その時に単組支部の書記長を後任に譲る方向が確定していた私に白羽の矢が立ったのです。

わたしは、働き出してから職場の「人事」を「ひとごと」ととらえていました。配属の希望は伝えるものの、打診されたら断らないことを基本としてきました。また、労働組合としての役員人事に関しては、単組の時から苦労していたので、断ることはできません。

だいたいの場合において役員の交代は、後任の見込みなどを見計らいながらタイミングを図っています。先輩役員の退任も、後進としてわたしを認知していたからでしょう。こうして、単産の専従役員となることが確定したのです。

なお、人生でたった一度だけ、人事に関する要請を断ったことがあります。いわゆるヘッドハンティングのようなもので、いったんは受け入れました。しかし、所属組織の反対と説得、家族の反対もあり、要請を断りました。断っていなければ人生は大きく変わっていたことでしょう。

免許はないんか

単産の専従役員となることが確定した際、先輩役員に「宣伝カーは運転できるのか」と確認されました。実は当時、運転免許を持っていなかったのです。「とってこい」との指令が飛び、わたしは自動車学校に通うこととなりました。

その頃、自宅には車がありましたが、妻が使用するだけでした。子どもができたこともあり、妻からも強く推奨されました。ちなみに免許を取得してからは車の運転は私が奪い取り、妻はペーパードライバーとなってしまいました。

免許を取得すると、宣伝カーを運転することができます。当然、初心者マークを貼らなければなりません。1年間、初心者マークをつけた宣伝カーが大阪を走り回りました。当時の宣伝カーは単産本部から譲渡された古いものでしたがATでした。とはいえ、大きさはいまの全労連の宣伝カーと同じです。同乗した役員のみなさんは、さぞ怖い思いをしたことでしょう。

【戸惑いながら会計処理】

地方組織の専従役員は、書記がいなければあらゆることを一人でこなさなければなりません。単産のブロック組織は都道府県組織の事務所を間借りしていたため、賃貸料やお手伝いをお願いしている書記の賃金を一定支払う形となっていました。そのためブロックの役員は、自営業者のようなものだと受け止めていました。

そこから会計を含め、ほとんどの業務を一人で担いました。しかし、大阪国公が雇用する書記にも手伝ってもらう必要はありました。基本的なことを知っておかなければ円滑に運営できません。そのため加盟組織への加盟費請求、日常的な出納処理、自分の給与計算、所属職場の給与担当者とのやりとりなど、労働運動以外のことも行っていました。

給与支払いを行う組織は源泉徴収義務者ではなかったため、私は確定申告を行っていました。おかげで今も確定申告のノウハウを持っています。さらに大阪国公や単組書記局の書記に関わる労働保険の申告事務を手伝ったこともあります。

単産のブロック組織は地方労連に加盟費を納入しないため、会計処理は比較的楽でした。いろいろ行動はありましたが、節約して基金を貯め、将来への備えをつくりました。

泥棒に入られました

当時の思い出で最大の出来事は、泥棒に入られたことです。書記局に行くと荒らされていました。大阪国公の専従者が通報しており、警察官が現場検証に来ました。立ち会い、事情聴取を受ける経験は初めてで驚きました。若いころ、終電を逃して歩いて帰る途中に職務質問を受けて以来の経験でした。

泥棒には、書記局に置いてあった現金をほぼ根こそぎ持っていかれました。被害が大きかったのは大阪国公の専従者で、もらったばかりの賞与を机に入れていたようで、大きな損害でした。

その後、ビルのオーナーがセキュリティを強化してくれました。こんな経験はもうしたくありません。室内の指紋と照合するため指紋を採られたことも嫌な思い出です。

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