全国労働組合総連合(全労連)

ページの上部へ
お知らせ
  • ホーム
  • 憲法共同センターニュース第531号

憲法共同センターニュース第531号

2025/09/22
集会・学習会
憲法・平和
くらし

憲法共同センター第12回総会 排外主義反対!共生社会をめざす運動を 憲法を守り・いかす取り組みをすすめよう!

憲法共同センターは9月17日夜、全労連会館2階ホール(オンライン併用)で、第12回総会を開き、41人が参加しました。排外主義に反対し、人権が守られる社会の実現、改憲勢力の議席が伸長する中、憲法を守り・いかす取り組みをすすめていくことを決意しあう総会となりました。

戦争への道か、平和への道を構築するのか、世界と日本は岐路に立っている

DSC_3224

自由法曹団の山口真美幹事長が主催者あいさつ。「アメリカ第一主義を掲げるトランプ大統領が同盟国に軍事費増額の圧力をかけている。台湾有事を念頭に日本を米中戦争の前線に立たせようとしており、軍事大国化、ミサイル基地化がすすんでいる。日本がすべきことは、外交と対話の努力を尽くす、戦争を防ぐため平和の枠ぐみを構築することだ。戦争への道を歩むのか、平和への道を構築するのか、世界と日本は岐路に立っている」と指摘。参院選で右派・ポピュリズム勢力が伸長したことについて述べ、「右派・ポピュリズム勢力の危険性を明らかに、既存政治を批判する国民の声に応える取り組みが求められている。本日は学び、交流・議論し憲法を守り・いかす取り組みをすすめよう」と呼びかけました。

日本共産党の山添拓参議院議員が情勢報告。「安保法制が強行されて、集団的自衛権容認、敵基地攻撃能力保有、武器輸出解禁など平和国家を投げ捨てた10年だった。来年度の防衛費の概算要求額は9兆円に迫り、多くは長距離ミサイル配備の予算だ。今こそ安保法制廃止の必要性が強まっている。参院選で与党は過半数割れになったが、維新、国民、参政、保守の議席を足し、一致すればスパイ防止法が通ってしまう状況だ。自民党政治はダメということははっきりしているが、どこを選ぶのか。歴史の逆行を許すのか岐路にある。前進の方向にすすめるために今ががんばり時だ」と指摘しました。

外交も民主主義も、国民・市民がつくるもの

「世界政治のゆくえ――軍拡競争とポピュリズムの台頭にどう立ち向かうか?」と題し、新潟国際情報大学国際学部の佐々木寛教授が記念講演しました。はじめに、ポリクライシス(複合危機)―崩壊する世界政治として、ウクライナやパレスチナの戦争に見られる「帝国主義」への回帰、核戦争の危機、気候危機などについて指摘しました。

日本政治の危機として、立憲主義・平和主義の破壊と国家主義をあげ、「安保法制強行採決から安保関連3文書閣議決定の後、軍拡財源法(防衛財源確保特別措置法)、軍需産業支援法、原発推進束ね5法(GX電源法+再エネ特措法)、改悪入管法、国立大学法人法改正、経済安保法、地方自治法改正、能動的サイバー防御法、日本学術会議法人化法など矢継ぎ早に法案ができた。アメリカ兵器の爆買い、GDP比2パーセントの軍事費、これにスパイ防止法ができれば、戦争できる国への準備は万端だ」と指摘しました。

第2の危機として、「3・11」から10 年経ってもエネルギー転換できていないこと、第3として、報道の自由度世界ランキング2024年で日本が70位、G7で最低であることとし、反知性主義―学問の軽視(専門家の政治利用)とマスメディアの堕落をあげました。第4として、1人あたりGDP23位(2020年)→38位(2024年)と長期低落しているとし、経済の劣化+「アベノミクス」の負の遺産を指摘しました。第5として日本のジェンダーギャップ指数を示し、依然としてオヤジ中心社会であること、第6として「精神的幸福度調査」が38カ国中37位として教育の失敗と若者の絶望、第7として裏金問題など政治の腐敗を指摘しました。

「では、どうしたらいいのか」ということについて、「危機(crisis)の語源は、分岐点。『危機』の認識は、『チャンス』でもあり、グローバルな危機と国内の政治危機がある」と述べ、それに対抗する例として、世界中に拡大する反戦デモの様子や国境なき医師団やペシャワール会の取り組みを紹介。憲法前文や憲法97条(基本的人権の本質)を示し、「外交も民主主義も、国民・市民がつくるものであること」と述べ、市民連合@新潟での市民と野党の共闘で選挙戦に勝利した取り組みの意義などについて強調しました。

民主主義の根っこ(下部構造)を市民の力でつくり直すための取り組みとして、「女性の声で政治を変えよう」を合い言葉に活動を行う市民連合の「フェミブリッジ」や「平和のエネルギー」に基づく社会をつくるための地域からの「エネルギー転換」の例として、「おらってにいがた市民エネルギー協議会」の取り組みを紹介し、その重要性や可能性を強調しました。

「9条改憲」阻止の一致点で共闘の前進を

全労連の五十嵐建一常任幹事が議案提案。1年間の取り組みをふりかえり、「the END 自民党政治」をめざし、学習・宣伝を強め、2月からは大軍拡反対を参院選争点に押し上げるため、大軍拡反対請願署名に取り組んだこと、参院選の結果にふれ、排外主義・極右的潮流が伸長したことでスパイ防止法制定への危険性が高まっている状況でなどについて報告しました。切実な諸要求と憲法との関係についての論議や学習を強め、地域、職場、学園で憲法を守り・いかすための学習や宣伝行動を強め、「排外主義・極右勢力の伸張」を許さず、共生社会をめざす声と運動のうねりを作りだすために力を寄せ合うこと、戦争する国づくり、「9条改憲」阻止の一致点で共闘の前進・発展に力を尽くすこと、憲法集会などの成功に尽力することなど今後の取り組みを提起しました。

参院選で参政党が伸長 憲法審査会の動きに注視を

取り組みの交流では、4人が発言。1人から文書発言が提出されました。

埼玉憲法会議の渡辺政成さんは、「参政党のポスターを貼っている家の人と対話したが、新日本憲法(構想案)を知らず、内容を話すと驚いていた。参政党の問題は関心が高く、学習することが大事。スパイ防止法案についても緊急に運動化する必要がある」と強調しました。

憲法東京共同センター・東京憲法会議の田中章史さんは、「大軍拡反対請願署名の取り組みで、大軍拡反対を参院選の争点とすることができなかった。引き続き取り組んでいくことが大事ではないか。参院選で参政党が伸長したこともあり、参議院の憲法審査会の傍聴にも取り組んでいきたい」と発言しました。

新婦人の福本心さんは、「憲法を守り、軍拡に反対する署名は9万人分を提出した。熊本の長距離ミサイルの問題では、街中に配備されるということもあり、議会の報告会に初めて参加した人が『少しでも貢献したい』と入会。中国地方5県と国会を結んでの政府交渉の取り組みの中で『直接ものを言いたい』と入会した方も。子ども版防衛白書の回収、配布中止を求め全国で運動している。平和と人権を実らせるため、全国から声をあげ運動していきたい」と決意を話しました。

全労連の石川敏明副議長は、「9月9日から13日まで、『非核平和の東アジアへ、日韓連帯代表団』に全労連代表として参加した。朝鮮半島の非核化、核兵器のない東アジア地帯をめざすことで一致したこと、日韓の被爆者支援・援護連帯を進めていくこと、日韓両国政府に核兵器禁止条約への参加を求めていくことなどについて日韓の運動体の合意が図られたことが訪問の成果だ」と強調しました。

討論のまとめを全労連の五十嵐常任幹事が行い、拍手で議案を確認。共同代表の米山淳子新婦人会長が閉会あいさつ。「学び、声をあげること、対話で一人ひとりを変えていくこと。こういう行動を地道に広げていくことが重要だ。改憲NO!、排外主義反対、くらし、平和、民主主義、ジェンダー平等を実現するため、共同を広げていこう。憲法共同センターの果たす役割は大きい。力を寄せ合いたたかっていこう」と呼びかけました。

すべて表示する