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【月刊全労連】「集会をやって意味があるのか?」からのスタート 名古屋市職員労働組合執行委員長 磯村 和佳子

2025/08/22
月刊全労連
非正規労働者
女性
ジェンダー平等
対話と学びあい

ちょこまか隊!始動~現場から生まれるつながりと変化~

「集会をやって意味があるのか?」からのスタート

2年ほど前の本部執行委員会でのこと。コロナが明け、4年ぶりに本庁舎前決起集会を再開するかどうかが議題となった。決起集会を経験したことのない執行委員からは、「何のために集まるのか?」「集まって意味があるのか?」といった疑問が出され、そこからの議論で始まった。決起集会は「集まるもの」と思っていた役員も含め、改めて考える機会となった。
せっかく集まるなら、「楽しい集会」「みんなの要求がつまった大切な集会」にしたい。集会の時間は30分、挨拶やスピーチはひとり1 分。女性部はキラキラ光るスティックを参加者に用意。各支部は集会後に懇親会を設定したり、区役所協議会はハロウィンのお菓子を参加者へ配布するなど、様々な取り組みを企画した。そして、最後の最後まで声かけを続けてくれた。結果2 年連続800人が集まった。


集会後、組合員からは「フェスみたいで楽しかった」「30分だから帰宅途中に参加できた」「みんなの熱気がすごかった」「こんなに組合員がいたんだ」などの声が寄せられた。組合員の要求の強さが市側に伝わったと思う。また、フォトコンテストを開催したことで、素敵な写真が多数集まった。

「ちょこまか隊」の結成

昨年秋から「たくさんの新人を迎える4 月1日」について、本部執行委員会組織部を中心に話し合い、各支部と共に準備を進めた。特に力を入れたのは、現場の組合員の力をどう引き出すかという観点からの取り組みである。
ある区役所支部では、役員の異動により職場に機関紙等が配付できなくなった。そこで、組合員が「何とかしたい」と、機関紙を仕分けするチーム「ちょこまか隊」が会計年度任用職員2 人を中心に5 人で結成された。「『ちょこまか隊』という名称は隊員が命名した。隊名からもご想像の通り、『ちょこまか』動く、フットワークの軽さと責任の軽さをかけて名付けた」そうである。


「ちょこまかと堅苦しくない雰囲気で臨機応変に活動。最初は月に2 回、活動の曜日に目処をつけ、ゆるい気持ちでスタート。作業自体はひとりでもできそうなものだが、孤独に作業を行うことは『苦』になってしまうかもしれないし、『作業』になりそうな新聞の仕分けもみんなで行うことで作業時間の短縮はもちろん、仕分けには関係ない業務上の悩みなども相談しあえる『活動』の場になっている。単なる集まりの場所であれば面倒になって行かなくなってしまうかもしれないが、『仕分けをする』という役割があることで、無理なく足を運べる。お互いにできる範囲で関わることができていると感じている。隊員間の交流が深まり、情報交換もでき、各職場の課題も見えてくる。作業にとどまらず、有意義なものになっている」と語ってくれた。

どの話も、まずは共感するところが「ちょこまか隊」の良さである。このメンバーが新歓の取り組みにも関わってくれ組織拡大につながった。


ある日、隊員の会計年度任用職員が、毎日の業務量が多く時間内に終わらず、毎日サービス残業をしているという話になった。ひとりで考えていた時は「課長に伝えると人事評価に影響するかもしれない」と思い言えなかったが、隊員みんなと話す中で「上司に伝えてみよう」となり、話したところ、時間になったら正規職員に業務を引き継げるようになり、残業がなくなった。ひとりで抱えていた悩みを共有することで、「それっておかしいよね?」と気づけた瞬間である。
「最初は、本部の方々が入れ替わり立ち替わり様子を見に来てくださって応援してくれたことも、隊員の活動の継続を支えています」と話してくれた。

別の区役所では、役員の異動により支部の活動が停滞していた。そこでは世話人会を月1 〜 2回、お弁当を食べながら職場の状況を共有する場とした。ベテラン役員がいなくても、学習動画を活用し、春は賃金制度、秋は勧告、冬は確定交渉、会計年度任用職員の賃金学習も行うなど、「組合の見える化」を職場で進めた。
4 月1 日の組合説明会の会場や弁当の手配、若手職員の参加確保、説明内容の役割分担、言葉の統一、夕方のフォロー体制など、細部にわたる準備を重ね、組織拡大が実現している。職場の組合員の協力があってこそ実現した取り組みである。

「役員だけで頑張る」からの脱却

こうした組織拡大の背景には、「役員だけで頑張る」のではなく、「職場の仲間が力を発揮できる場をどうつくるか」が大きなカギであったと感じている。組合活動が見えること、学習する場があること、対話の積み重ねがあることが、未加入者の心を動かすものだと実感した。

昨年は本庁に勤務する組合員に声をかけ、 9 人が集まり勤通大を受講した。昼休み、お弁当を食べながらテキストを読み進め、日頃の職場での出来事や自分の生活の様子に関わる対話は、非常に楽しいものとなった。学習会に参加したメンバーが、この夏から本部執行委員や女性部常任委員になった。今年も新たなメンバーを誘い、受講が始まっている。
組合は、職場の声をひろい、希望をかたちにしていく場である。その力を仲間とともに、これからも広げていきたい。

(月刊全労連2025年9月号掲載)

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