【事務局長談話】一方的な「相互関税」に抗議し撤回を求める 日本政府は主権と労働者・国民を守れ
2025年4月25日
全労連事務局長 黒澤幸一
米国のトランプ大統領は4月2日、「相互関税」として各国からの輸入品目にかかる関税の大幅引き上げを発表した。日本には合計で24%の関税が適用されるとされ、早速閣僚級の交渉が開始されている。本来関税は、相手国との話し合いに基づいて決定されるべきもので、一方的に「気に入らなければ譲歩せよ」と迫るような横暴な措置は断じて認められない。全労連は今回の「相互関税」措置の撤回を求める。
世界の国々は今回の「相互関税」を批判し、国際貿易ルールを破壊すると抗議している。グローバルサプライチェーンにより、物品からサービスまで国境を超えた企業活動が展開されている。グローバル大企業は膨大な利益を上げ、各国で労働者を搾取している。今回の措置でもさらなる物価高騰や雇用の喪失が予測され、食料や医薬品などの物品やサービスが途絶えることで特に発展途上国、紛争や戦争、飢餓や気候変動に苦しむ労働者が被害を受ける。
現在の自由貿易体制はそもそも米国を中心としたグローバル大企業によって作られた。90年代以降、米国とWTO(世界貿易機関)などの国際機関の強力なイニシアチブにより、人・モノ・資本の国境を超えた移動が可能になり、国民経済がグローバル経済に組み込まれた。それを支えたのが新自由主義に基づくグローバルスタンダードの押し付けと、関税と非関税障壁の撤廃だった。今トランプ政権は関税を武器に、非関税障壁の撤廃を強く迫っており、米国のグローバル大企業の利益のために労働者、国民が犠牲になることは許されない。
「相互関税」に反対するだけでは、自由貿易に立ち返るだけだ。日本は今こそ労働者の雇用と生活を守るために、外需・輸出大企業に頼る政策を改め、公務・公共サービスの拡充、中小企業の抜本的な支援、農業・水産業など第一次産業の支援に取り組み、国民経済を立て直すときだ。脅しに屈して米軍駐留経費、思いやり予算の増額など絶対に受け入れるべきではない。
サプライチェーンでの搾取や人権侵害を防止し、気候危機や公衆衛生の危機に対応できる、各国の主権と政策スペースを保障する国際貿易の新しいルール策定に向け努力すべきときだ。労働者の賃金や生活を守る規定、交渉の民主化・透明性が確保されたルールづくりに、全労連は世界の労働者と連帯して取り組む。
以 上