3月5日 郵政ユニオン本社前集会 連帯あいさつ
「郵政産業労働者ユニオン」が主催した、同社で働く非正規労働者の均等待遇や正社員化を求める集会で、連帯あいさつをしました。(3月5日、東京都千代田区の日本郵便本社前)
全労連議長 秋山正臣
郵政ユニオンの本社前集会にご参加のみなさん、たいへんご苦労さまです。連帯のごあいさつを申し上げます。
春闘も本番を迎えていますが、全労連は、「たたかう労働組合のバージョンアップ、対話と学びあいで」「すべての労働者の大幅賃上げ・底上げ、労働時間短縮の実現」「憲法をいかし、軍拡増税でなく公共の再生」をスローガンに、3月12日を統一指定回答日、翌13日を統一行動日として、すべての産別に結集を呼びかけています。
多くの産別が呼びかけに応え、ストライキを構えて要求実現に向けた交渉を進めています。
ご参加のみなさん、非正規労働者は、雇用の調整弁として、企業の都合に合わせられてきました。リーマンショックの際は、真っ先に職が奪われ、住まいを失うなど、多くの人々がまさに路頭に迷う事態となりました。そのために派遣村が設置されたことを覚えておられるでしょうか。
非正規労働者が失業した際のあまりの保障のなさに、大きな声が上がり、政府は政策の修正をせざるを得ませんでした。
しかし、それ以降も非正規労働者は増える一方です。少なくとも、定年までの雇用が保障される働き方ではなく、多様な働き方、自由な働き方だとして非正規労働が正当化され、増やされ続けています。
こうした状況が続いていいはずがありません。将来に展望を持つことができなければ、結婚して家庭を持ち、子どもを産み育てるなど誰が考えるのでしょうか。自分が生きることで精一杯になるのは当然です。
人口減少が進む中、少子化対策が叫ばれていますが、根本的な雇用問題は不十分極まりありません。
安定した雇用を拡大し、非正規労働者といった臨時的な労働は、限定的にすべきです。だいたい、仕事があり続けるにもかかわらず、契約期間だけが決まっていることはおかしいのではないでしょうか。それは試用期間であり、試用期間が過ぎれば期間の定めなき雇用に転換するのが当たり前ではないでしょうか。
時期が来たら別の人を雇うといった発想は、人間を機械のように扱っているからとしか思えません。人間は機械ではありません。非正規という働き方をなくし、期間の定めがない雇用が当たり前の社会に変えようではありませんか。
さて、賃金引き上げのたたかいでは、国立病院の労働者を組織する全医労が2月28日にストライキを実行しました。
国立病院は、国の独立行政法人であり、賃金などの労働条件が人事院勧告に左右されます。春闘は、労働協約改定闘争とも密接に連携し、次年度、4月1日からの賃金を改定させることにありますが、先般のストライキは24年度の人事院勧告による賃金改定が決着していないことに対する抗議の行動です。
なぜこんなことになるのか。それは、国立病院機構が昨年の賃金改定について、人事院勧告を無視し、ゼロ回答を行ったからです。このような回答が許されるのでしょうか。わたしはまず、この回答に厳しく抗議したいと思います。
多くの企業が内部留保を積み増しています。日本最大の利益を上げているトヨタだけでなく、日本郵便の内部留保も増える一方です。
企業利益が労働者に分配されないため、労働分配率が低下し続けています。加えて、下請単価も抑えられ続けています。
内部留保は、こうした労働者・下請企業の犠牲の上に成り立っているのではないでしょうか。
政府が進めてきた政策により、物言う株主によって行われてきたことは、労働者を犠牲にすることではなかったでしょうか。まさに資本主義による弊害が現れています。
重ねて申し上げます。内部留保をこれ以上積み増すのではなく、ステークホルダーの一員である労働者に還元するよう強く求めたいと思います。
ところで先般、賃上げが貯蓄に回っているという記事が東洋経済に載っていました。賃上げを行っても、将来不安から貯蓄に回り、消費拡大への影響が弱いとコメントしています。
将来不安になるのはどうしてでしょうか。わたしは、国に対する信頼がないからだと思っています。将来に希望が持てる医療や年金制度、ローン漬けにしない住宅政策、事故などで深刻な障害を負っても生活できる福祉制度があれば、賃上げ分を気兼ねなく消費に回すのではないでしょうか。
最後にもう一点申し上げます。
日本の職場には、強い同調圧力があります。おかしいと思ってもなかなか声を上げることができません。フジテレビの問題が社会的に注目されましたが、労働組合があれば、堂々と声を上げることができるのではないでしょうか。
フジテレビ労組で組合員が増えたのは、自由にものが言える職場にしたいという強い思いがあるからだと思っています。
そして、「個人的なことは政治的なこと」です。政治から目をそらすのではなく、意見を交わしながらより良い社会をつくるため、活動をしようではありませんか。
非正規で働くみなさんといっしょに、安心して働き暮らせる社会をめざし、ともにがんばる決意を申し上げ、連帯のごあいさつといたします。
