全国労働組合総連合(全労連)

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対話と学びあい

【ゆにきゃん発 実践レポート ①】さよなら不安定雇用! 非正規公務員あんみつキャンペーン

2025/02/15

当事者主体で処遇改善をめざす
「さよなら不安定雇用! 非正規公務員あんみつキャンペーン」

きっかけ――雇い止めが怖くて声をあげられない

非正規公務員あんみつネットワーク(後援:国公労連)は、2024年11月27日に「署名スタート集会」をオンラインで開催し、「さよなら不安定雇用!非正規公務員あんみつキャンペーン」をスタートさせました。本稿は、どのようにキャンペーンの準備をすすめてきたのかを報告します。

国公労連は2021年に「組合員(当事者)を主体としたキャンペーンの支援」を運動方針に掲げました。当事者が主体となって、当事者も組合役員も一緒に運動をすすめていこうという提起です。ここにいう「キャンペーン」とは、ある一定の目標(戦略的ゴール)を実施期限までに達成するための一連の活動を意味します。

この提起から約2年後、国公労連の加盟組合である全厚生(厚生労働省で厚生行政を担う職員でつくる労働組合)の組合員たちが、非正規公務員の処遇改善をめざすキャンペーンにとりくみたいと手を挙げたのが、「あんみつ」の始まりです。

2023年11月、厚生労働省の非正規組合員4人、ゆにきゃんを学んだ全厚生本省支部の専従役員1人、国公労連の専従役職員3人の計8人で初のミーティングを実施し、職場で困っていることやおかしいと思っていることについて、語り合いました。

まず出されたのは、病気休暇の有給化など、休暇制度の改善でした。
さらに、「ものすごく頭に来ることや、悲しいこと、不安に思うことなどはありますか?」と問いかけると、メンバーのあすかさんがここぞとばかりに、「こないだ仕事のやり方について上司に説明を求めたら、『いいからとにかくやれ。なんでもやるって言うから採用してやったのに』って言われたの!雇い止めが怖くて何も言えなかったけど、悔しい」と話してくれました。
他のメンバーは、「ひどい!」「それってパワハラじゃないの?」といった反応とともに、公募についての発言が続きました。「雇い止めの理由がまったく分からないから、気に入らない人の首を切るために公募をしているように感じる」「同僚が切られて自分が残った場合も、『何の差だろう』と考えてしまう」など語り合ううちに、最も払拭したいことは日常的に蔓延している雇用の不安であり、雇い止めを恐れて言いたいことも我慢し、声もあげられない…そうした職場の状況が浮き彫りになりました。

チャレンジ――いつでも中心にあるのは当事者の発想と多彩なアイデア

このチームで何をめざしてどんな活動をするのかについて、ミーティングを重ねました。

そして、「2025年8月までに、①民間と同様の無期転換ルールを公務職場にも導入させること、②病気休暇を正規職員と同様の制度(有給化)にすること」を戦略的ゴールに設定し、これを達成するために職場の声を集めて発信し、多くの人たちの共感を広げて人事院や政府にその声を届けようと、オンライン署名をすることにしました。

職場に安心・安定・安息を求める「あんみつ」(「安」が3つであんみつ)も、署名の呼びかけ文をみんなで考えているときに、当事者のメンバーたちから飛び出た発想(アイデア)でした。

チーム内での役割分担をみんなで決めたときのメモ

2024年11月に開催した「署名スタート集会」は、みんなが参加しやすいように、家事などで忙しい終業後の時間帯ではなく、昼休みに短時間で開催しようと決めました。

集会では、顔や名前を出せない当事者に代わって全厚生専従でメンバーのとなちゃんが、当事者の職場実態を涙ながらに語りました。激励スピーチもあり、30分間という短い集会でしたが、当事者の思いがたくさん詰まった集会になりました。

これから――チーム力を高めているのは、何でも言い合える関係づくり

署名スタート集会の開催までは、常に順調だったわけではなく、ここでは書ききれないほどの紆余曲折がありました。意見がぶつかったこともあれば、ミーティングの日程調整がうまくいかず、モチベーションが下がってしまった時期もありました。集会の2週間前には、開催中止の危機にも直面しました。でも、どんなことがあってもみんながそれぞれの意見を尊重し、本音で意見を交わしていくうちに、メンバー同士の距離も縮まり、思っていることを遠慮せずに言い合えるチームに成長していったと思います。
あんみつのメンバーは、明るくて楽しい人ばかり。ミーティングではいつも笑いすぎて腹筋が痛くなるほどです。これからも、固定観念にとらわれずにいろんなアイデアを出し合いながら、ゴールの達成をめざして楽しくとりくみをすすめていきたいと思っています。

1ヵ月で2万筆を超える賛同が寄せられたあんみつ署名

(月刊全労連2025年3月号 通巻337号掲載)

「ゆにきゃん発 実践レポート」 
参加者が始めた職場や地域で、変化を起こすチャレンジをレポートする『月刊全労連』の不定期連載。
ゆにきゃんとは、困難に直面する当事者が仲間と共に解決を目指すコミュニティオーガナイズの手法を学ぶ全労連主催のワークショップです。2020年の開始から500人以上が参加し、各地でキャンペーンがうまれています。

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