第96回日比谷メーデー 中央メーデー実行委員会からの連帯あいさつ

全労連事務局長 黒澤幸一
第96回日比谷メーデー集会の成功を願い中央メーデー実行委員会から連帯のメッセージを述べさせていただきます。全労連・国民春闘共闘委員会 事務局長 黒澤幸一です。
なぜ、いま労働組合が私たちや社会にとって大切なのか。世界経済や国際秩序に大きな影響を与えるアメリカのトランプ大統領は公然と「労働組合つぶし」を始めています。大きな情勢変化の下で考えてみる必要があります。
私は、1998年に北海道勤医協労働組合から専従となり27年になります。日本医労連出身です。こうして労働組合の専従を続ける原点ともなった事件があります。
「自分が大嫌いで、何を考えて、何をしたいのか、何ができるのかわからなくて。
苦しくて、誰に助けを求めればいいのか、助けてもらえるのか、全然わからなくて。
考えなくていいと思ったら、幸せになりました。甘ったれでごめんなさい」
2012年12月。当時23歳で過労自殺した札幌市の新人看護師、杉本綾さん(当時23)の遺書です。
国家公務員共済・KKR札幌医療センターに4月就職し、呼吸器病棟に看護師として配属になり8カ月後のことです。
時間外労働は、2012年5月が、約91時間。6月以降も“時間外“は続き、6月は85時間、7月は73時間、8月は85時間、9月は70時間、10月は69時間、そして11月は65時間の時間外勤務を重ねました。さらに、一人暮らしを始めた自宅に帰り、毎日、振り返りと翌日までのレポート提出が科せられ、睡眠は2時間、3時間という日々。
12月、一人暮らしのアパートで、自ら命を絶ちました。労災認定に8年かかりました。
お母さんとともに、医労連はたたかいました。
ここの病院には、日本医労連の労働組合がありましたが、組織が小さくなり、こうした過度な時間外労働にも対処は不十分になっていました。あるいは、労働組合が相談先として見えていれば、違った結果があったと思うと、悔しくてたまりません。
この事件が私の労働組合を続ける原点となっています。
もう10年以上も前の話と片付けるわけにはいきません。先日の朝日新聞でも報道がありましたが、セブンイレブンの店長・労働者が2020年に「半年休めず」過労自死しています。36協定はあるが事実上、半年にもわたって連続勤務が可能な仕組みにハンコを押しています。
フジテレビの性加害をめぐる対応が社会問題となっていますが、女性労働者の尊厳が守られない事態が、長期に渡り放置されてきた結果だと思います。多くの職場で、ジェンダー差別、ハラスメントが繰り返されています。
このように、いまも、労働者の働き方は日々劣悪さを増しています。
いまこそ、労働組合がたたかう組織として機能すること、仲間が増える必要があると心から思います。
25春闘は、昨年並みの賃上げを皆さんとつくり上げて来ていますが、残念ながら昨年並みでは、実質賃金をプラスにできないばかりか、物価高騰は加速していますので、さらに厳しい生活が強いられている。特に、ケア労働者の賃上げが極めて低額にとどめられています。日本医労連の集計では、少なくとも他産業では1万円を超える5桁の回答となっているにも関わらず、医療や介護は5000円台にずっと据え置かれている。物価高騰は、医療従事者だって同じです。『ガイヤの夜明け』でも紹介されていましたが、一つの病院から30人を超える看護師が退職するなどはざらに起きている状況です。
ケア労働者の賃上げへ、総力を上げければいけないと思います。
全労連・国民春闘共闘の25春闘でのストライキは、324組合が471回のストライキで抗いながらたたかっています。回数は、昨年の2.5倍に上ります。
「非正規春闘」にも結集する、回転ずしユニオンは、宮崎県のスシロー店舗では1000円の時給を1200円に引き上げろとアルバイト・労働者など11人を組織しストライキを決行、その場で3人が組合加入しストに結集。このGW中にも3度目のストライキを構えています。
政府と財界・大企業は、労働基準法を骨抜きし、解体にもつながる、規制緩和、労働者保護のためという理念を投げ捨てようとしています。デロゲーションの拡大を許す訳にはいきません。
そして、トランプ政権は、「20数省庁における労働協約破棄」「国家安全保障への懸念から団体交渉権を停止」を一方的にサインしました。労働組合を一歩的に攻撃してきています。このトランプに、日本の石破政権は、農産物と軍事費・大軍拡で応えようとしています。
要求でたたかう労働組合の大結集が必要な時だと思います。
当事者である労働者が自覚的・能動的に「声を上げる」「上げられる」職場や地域、社会をつくり上げて行くことが解決の道です。私たちは労働者と労働者同士の「対話と学びあい」が文化となるほどに広げることで、「声を上げる」「上げられる」社会へと変えられると思っています。エンパワーメントされた労働者ほど強いものはありません。
第96回メーデーは、労働組合の行方を確認する歴史的に大切なメーデーだと思います。たたかう労働組合をこの日本で主流にする大同団結を行おうではありませんか。
そのことを呼びかけて、メーデー中央集会からの連帯のメッセージとさていただきます。
がんばりましょう。
以上