最低賃金全国一律1,500円以上実現共同アクション 共同アピール
2025年の最低賃金の審議は、これまでにない状況の下でおこなわれる。異常な物価高が継続し、物価高を上回る賃上げは実現せず、実質賃金は連続して低下し続けている。
物価高を上回る賃上げは、政府も含めて主張しているが、それが実現する十分な手立ては打たれていない。2025年春闘も、一部大企業の正社員の賃上げはあったものの、労働市場の4割近くを占める非正規労働者や中小零細企業の正社員などの賃上げには波及していない。
全国どこでも誰もが働けばまっとうな生活が送れるだけの賃金水準にしていくことは、社会の安定にとって最低限のことだが、それすら実現できていないのが現在の日本であり、さらに危機的な状況に進みつつある。そうしたなか、最低賃金を大幅に引き上げること、地域間格差を解消し全国一律にしていくことは喫緊の課題となっている。
ここ数年、諸外国での最低賃金は大きく引き上げられており、日本の最低賃金の水準は極端に低いままである。ヨーロッパ諸国やオーストラリア、韓国よりも低くなっている。
政府もようやく最低賃金の大幅引き上げを主張するようになってきている。6月に発表された「骨太の方針」において、最低賃金は大きく位置けられるようになった。とはいうものの、「2020年代に加重平均1,500円をめざす」など、水準においてもスピードにおいても、現在の物価高に対応した方針とは到底言えない。
最低賃金近傍で働く労働者にとってだけではなく、最低賃金の引き上げは労働者全体の賃上げを押し上げる圧力にもなる。実質賃金を引き上げる上でもっとも効果のある施策であることはまちがいない。
地域経済の疲弊も深刻である。実質賃金が低下し続けていることは、地域経済にとって大きなマイナス要因となっている。地方の最低賃金が低すぎることによって都市部への若年労働者の流出が起きることで、ますます地域経済の疲弊する要因となっている。全国一律制度にかえることを目標に、中央最低賃金審議会が最低賃金の地域間格差解消への本格的なメッセージとなる目安を出すことを求める。
今年の中央最低賃金審議会は、わずか2週間程度の審議が予定されているだけである。この短期間で、十分な審議がなされるのか疑問が残る。また、目安が決定される審議の公開が不十分なことも非常に大きな問題である。情勢との関係でも、十分な審議がなされたかどうかのチェックが例年以上に重要になってきている。「知る権利」という点からも、審議の全面公開を引き続き求めていきたい。
最低賃金は、非正規雇用労働者、女性、移住労働者などの社会的弱者の生活水準に大きく影響する。最低賃金を大幅に引き上げることは、「公正な社会」「平等な社会」をつくっていくために不可欠な前提でもある。
私たちは、あらためて「最低賃金時給1,500円以上」「全国一律の最低賃金」をめざし、労働運動のナショナルセンターの違いを超えて声をあげるものである。
2025年7月1日 最低賃金全国一律1,500円以上実現共同アクション
共同アクション参加団体
国民春闘共闘委員会、全国労働組合総連合(全労連)、25けんり春闘全国実行委員会、全国労働組合連絡協議会(全労協)、最低賃金大幅引き上げキャンペーン
