【最低生計費試算調査の結果一覧】自立して生活するには1700円~1900円必要
最低生計費に地方と都市部で差はない 27都道府県で実施
全労連は、静岡県立大学短期大学の中澤秀一准教授ともに全国で調査を続ける「最低生計費試算調査」の結果をまとめました。
その結果、若者が自立し人間らしく生活するために最低必要な生計費は、時給で1700円~1900円であることが明らかになりました。加えて、東京や大阪などの大都市だけではなく、全国どこでも同様の賃金がなければ人間らしい生活はできないとの結果です。「地方は物価も安く生活費が少なくてすむ」「東京などは生活費が高い」といったイメージがよく語られますが、調査によれば、「都市部では家賃が高い一方、地方では自動車がなければ生活できない」ことから、住居費や交通費など支出を積み上げていくとほぼ同じ生計費が必要という結果です。
日本の最低賃金は、全国加重平均1051円と極端に低いままです。仮にフルタイム(月150時間)で働いても、年間190万円程度にしかならず、ここから税や社会保険料が差し引かれます。その上、地域別制度になっているため、最も高い東京都の最低最低賃金は1163円で、最も低い秋田県は951円と212円(18.2%)もの格差があり、年間では38万円もの差となります。
最低生計費試算調査の結果から最低賃金を全国一律制にして格差を解消することと、その水準を直ちに1500円以上、1700円をめざしていくことが必要となっています。

最低賃金の2025年度改定審議はじまる
厚労省の中央最低賃金審議会で7月11日、最低賃金の2025年度改定に向けた審議がはじまりました。すべての労働者が人間らしい生活が保障される水準にただちに引き上げることが求められます。最低賃金法は、その決定あたって、いわゆる「最低賃金決定の三要素」、①労働者の生計費、②労働者の賃金、③事業の賃金支払い能力を考慮して定めるとしています。しかし、実際の審議では、労働者の生計費については、物価動向などを見るだけにとどまっているのが実態です。労働者が人間らしく生活することができる水準の「生計費」について正面から議論されることはほとんどないのが現状です。
最低賃金の第一の目的は労働者が生活できる賃金を保障することです。最低生計費をまかなえる全国一律の最低賃金制度が求められます。
最低賃金法
第1条(目的)
この法律は、賃金の低廉な労働者について、事業若しくは職業の種類又は地域に応じ、賃金の最低額を保障することにより、労働条件の改善を図り、もつて、労働者の生活の安定、労働力の質的向上及び事業の公正な競争の確保に資するとともに、国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。
最低生計費試算調査とは
最低生計費試算調査は、全労連とその地域組織によって、これまで27都道府県で実施されています(2025年5月現在)。約4万9000人の生活実態、持ち物をアンケート調査で収集し、商品・サービスの価格調査、生活スタイルのヒアリングなどを行い試算します。「最低生計費=節約を極めた生活」ではありません。健康で文化的な「人間らしい暮らし」のことです。
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