2005国民春闘共闘情報
全労連HP

第 32 号(確定版)  2005年6月28日

産業別・単産別総括表    妥結組合 産業別・単産別総括表    個別回答一覧へ

 

最終平均は6,298円、1.99%

 定期昇給分を確保  4年ぶり前年比プラス

最終集計結果の特徴について

2005年6月28日 国民春闘回答集計センター

 1.春闘回答集計センターは6月28日、国民春闘共闘委員会(全労連、純中立労組懇など)の各単産と地方より05春闘賃上げ回答状況の最終・第7回目の報告を受けた。今回は、登録している全35単産部会・10地方から報告が寄せられた。

 2.回答+妥結状況は各々集計表のとおりで、その特徴はつぎのような諸点である。

 
(1) 登録組合数 885組合 回答組織数は 35単産・部会と10地方  
(2) 回答組合数 599組合 回答引出し率 67.7%  
  うち金額・率回答 498組合 ほか101組合は 「定昇のみ」などで未計算  
  うち上積み回答 144組合 回答上積み率 28.9%  
  うち前年実績以上 268組合 回答組合数の 53.8%  
  妥結組合数 345組合 解 決 率 39.0%  
(3) 単純平均 498組合 5,457円 同率 1.90%
  前年同期 491組合 5,304円 同率 1.76%
  前年同期比   +  153円   +0.14P
  加重平均 11.1万人 6,298円 同率 1.99%
  前年同期 10.5万人 5,866円 同率 1.86%
  前年同期比   +  432円   +0.13P


 4) 回答状況と産業別の特徴について
 05春闘の賃上げ回答状況は、ここにきて金融関係各単産、医療・福祉、私学の組合が新たな回答を引き出してきた。多くの組合は夏季一時金の回答引き出しとともに奮闘しているが、有額回答数は498組合で、引出し率にして56%にとどまっている。このほか、「ベアゼロ」「定昇のみ」や「業績給で計算不能」など数字にならない日本語回答が通信労組(NTT)、全損保、特殊法人労連などの101組合(前年は99組合)に見られ、計599組合の実質的な回答引出し率は68%になる。それでもなお約3割の組合がいまだ回答を引出せないという状況である。

 こうしたなか、最終的な特徴は、
(1)、ひとり当りの加重平均が6,298円、1.99%となり定期昇給分(2%弱)を確保できたこと、
(2)、前年同期比で432円増、引上げ率では0.14ポイントのプラスとなり、4年ぶりに増額をかちとることができたこと、
(3)、計144組合(29%)が第2次、第3次と回答を上積みさせてきたこと、
(4)、268組合(54%)が前年実績以上をかちとったこと
などである。
 なによりも、大企業における春闘が一時金交渉にシフトするという本格的な春闘変質・解体攻撃が展開されたなかで部分的な歯止めをかけることができた。

 産業別にみると、前年実績を金額・率ともに超えているのは全農協労連、建交労建設、JMIU、化学一般労連紙パ、建交労製造、全国一般製造、検数労連、全労連全国一般、全証労協、銀行労連、民放労連、出版労連、映演共闘、日本医労連、地方マスコミ(新聞)の16組織(04年は8組織)で、金額又は引上げ率の一方がプラスになっているのは化学一般労連、繊維産労、合同繊維、建交労運輸、広告労協、全国私教連の6組織である。このほか、平均額が7,000円を超えているのは全国私教連の11,407円(1.41%)、全証労協の10,350円(3.21%)、民放労連8,043円(2.27%)、出版労連8,029円(1.95%)、地方マスコミ7,879円(2.33%)、5組織である。引き上げ率が2%を超えている(定昇以上を獲得)のは、これらに加えて映演共闘2.44%、広告労協2.40%、日本医労連2.18%など計7組織である。

 5)最高額・率を獲得したのは全証労協の組合の2万4922円、7.04%(大幅賃下げを取り戻し中)。最高回答次数はサンテレビ労組(民放労連)と工場保健会労組(日本医労連)が第6次の上積み回答を引出した。「1万円以上」の回答は計36組合(04年は33組合)になった。


 3.妥結組合の状況について
 1)妥結数は345組合で前年比46組合増えたものの、全体ではなお39%(前年は33%)の低水準である。解決がすすんでいるのはJMIU、化学一般労連などの製造業と、自交、運輸などの交通運輸業、民放、出版などのマスコミ関係業で、逆に未解決が多いのは全農協労連、建設業、卸売・小売業と金融業の各単産と、医療・福祉、私学関係、地方登録組合など。未解決組合の多くは、夏季一時金回答とセットで解決をはかるものと思われる。


(2) [妥結・妥結方向]数 賃上げ額 同率 前年同期比(額) (率)
単純平均 345組合 5,502円 1.85% −106円 +0.07P
加重平均 6.7万人 6,578円 2.04% +137円 +0.09P

 4.各団体の賃上げ最終集計の結果は、以下のとおりである。
1) 連合の妥結状況(8月03日、第7回最終集計)は以下のとおり。

  妥結組合数 加重平均 単純平均
集計方式 組合数 人数(万) 金 額 率(%) 昨 年 率(%) 金 額 率(%) 昨 年 率(%)
平均賃上げ 4617 197.0 4,908 1.68 4,577 1.62 3,723 1.49 3,461 1.42
35歳P 69 6.2         4,115 1.55 4,022 1.47
30歳P 56 6.3         5,735 2.13 4,706 1.59

 2) 日本経団連調べの妥結状況(6/8大手最終、7/20中小最終)は以下のとおり。

  回答+妥結 加重平均 単純平均
集計方式 社 数 人 数(万) 金 額 率(%) 昨 年 率(%) 金 額 率(%) 昨 年 率(%)
大手企業 141 - 5,504 1.67 5,378 1.64 5,109 1.63 4,871 1.57
中小企業 612 - 3,743 1.47 3,576 1.41 3,470 1.39 3,271 1.32

3) 厚生労働省調べの妥結状況(8月25日発表)

 加重平均   主要251社  5,422円 1.71% + 74円 +0.04P



 5.04春闘・賃上げ闘争をふりかえって
 05春闘をふりかえってみると、
第一の特徴は、
製造業を中心とした業況回復が一部の中小企業にも波及し、春闘共闘組合の賃上げ交渉にも反映して、粘り強いたたかいで4年ぶりの増額をかちとったことである。
第二に、大企業が史上最高益を達成しているにもかかわらず、大企業労組の多くが要求を見送り、一時金交渉にシフトするなど賃上げ交渉を放棄したことが、我々の交渉にも否定的な役割を及ぼしたことである。
第三は、交通運輸、商業・サービスなどでは長期にわたる消費不況の影響で賃金抑制攻撃が止まらず、産業間格差が拡大していることである。
第四の特徴はこうしたなか、パート・非常勤の賃上げ、企業内最賃や雇用保障・定年延長、育児・介護休暇、サービス残業の根絶など組合員の切実な要求の実現をめざして前年に匹敵する成果を収めてきた。

 国民春闘共闘は来る7月7日、第2回単産・地方代表者会議をひらき「05国民春闘の到達点と課題(中間総括案)」について討議する。ひきつづき夏季一時金、最低賃金の大幅引上げ、公務員賃の改悪・引下げ阻止や「郵政民営化反対」大運動など夏季闘争強化のために奮闘するものである。

(以 上)




* 8/25厚生労働省が主要企業の賃上げ状況を発表し、すべての団体の集計結果が出揃いました。



 


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