大会決議

アメリカの軍事行動に自動参戦する「日米防衛協力指針=ガイドラ イン」見直し反対。有事法制を許さず、職場とくらしに憲法を

国民犠牲の「財政構造改革法」反対、人勧の凍結・抑制は断じて 許さないたたかいに官民一体で全力をあげよう


アメリカの軍事行動に自動参戦する「日米防衛協力指針=ガイドライン」見直し反対。有事法制を許さず、職場とくらしに憲法を

橋本内閣はさる6月8日、「日米防衛協力のための指針=ガイドライン」見直しの「中間報告」を発表した。これは昨年4月、橋本・クリントンによる「日米共同宣言」で明らかにした合意事項−@安保条約の適用範囲をアジア・太平洋への拡大、Aアメリカの軍事行使への全面協力、B21世紀まで米軍基地の固定化−にもとづく共同作戦計画・相互協力計画である。今秋9月には最終報告が出される。

 1978年に策定の「ガイドライン」は日本が武力攻撃を受けたときの日米共同作戦計画であったが、今回は「日本周辺」有事にたいして「危険発生前から危機終了後の全段階」での日米共同作戦計画になっている。先の通常国会で政府側は「日本周辺とは日本の平和と安全に影響を与えうる事態を生じうる地域」で、その範囲は「時々の国際情勢によって変動しうる(外務大臣)」「武力行使は基本的には米軍が決める(外務省・北米局長)」というもので、アメリカが引き起こす軍事行動に自衛隊が自動的に参戦していくしくみが明らかになった。しかも「中間報告」は、この共同作戦計画に「政府、地方公共団体の権限と能力を適切に活用する」として有事の際には民間空港・港湾が米軍の優先利用のために閉鎖され、米軍への物資の補給、輸送、整備、医療警備、通信などの協力や関係労働者、医師・看護婦、民間業者の動員、新たな基地の提供など国民生活や労働者の権利にとっても重大な影響を及ぼす内容となっている。さらに自衛隊の米軍への後方地域支援や、機雷掃海、情報交換など武力行使そのものにも踏みこもうとしている。政府はこれらの軍事行動を「憲法の枠内」と強弁しているが、憲法の平和原則を真っ向から踏みにじる暴挙であることは言をまたない。

 事態は重大である。すでにカンボジアの邦人救出を口実にした自衛隊機の派遣や沖縄・米海兵隊の本土移転演習に民間企業が動員されるなど「ガイドライン」見直しの先取りが強行されている。有事法制提出の動きも強まっている。

しかし、国民の圧倒的多数は50年をむかえた憲法の平和的・民主的原則を生かし発展させることをなにより望んでおり、この願いを踏みにじり、アジア・太平洋諸国の平和を脅かす「ガイドライン」見直しに必ずや国内外の大きな批判・反撃が巻き起こることは必至である。

全労連は平和と民主主義を願う広範な労働者・国民、民主勢力と共同し、日米政府が企てる「ガイドライン」見直しや、有事法制づくり、憲法改悪策動などの危険な動きをくいとめるために全力をあげてたたかう。  

「ガイドライン」見直し反対、有事法制許すなの「職場決議運動」を職場・地域から直ちに起こそう。

「ガイドライン」見直しのねらいや内容、労働者・国民におよぼす影響を明らかにし、旺盛な宣伝、職場学習を草の根から巻き起こそう。

 臨時国会にむけて、日米政府、財界、各政党、国会議員、地方議会などへの要請行動をひろげよう。

いまこそ職場に、くらしに憲法を生かすための歴史的なたたかいの先頭にたって奮闘しよう。 右決議する。

 1997年7月25日
 全国労働組合総連合第16回定期大会

 アピール

国民犠牲の「財政構造改革法」反対、人勧の凍結・抑制は断じて 許さないたたかいに官民一体で全力をあげよう

 政府・与党は、秋の臨時国会に「財政構造改革法案」を提出し早期成立を図ろうしている。その内容は、大企業・ゼネコン本位の630兆円もの公共投資見直しはまったく行わないまま計画期間延長で総額を確保、また不要不急の軍事費を維持しかつ総額1兆円もの沖縄米軍基地関連事業は別枠化する一方で、社会保障費は自然増分を5,000億円も大幅に削減し、年金給付水準引き下げや医療制度改悪、教育費、中小企業対策費、地方自治体への補助金削減などなど国民生活関連分野には大なたを振るうものとなっている。

 同時に重大なことは、「財政構造改革」に関連して公務員賃金について、不当な人事院勧告の「凍結・抑制」を含めた総人件費抑制が打ちだされていることである。

 改めていうまでもなく、人事院勧告制度は公務員の労働基本権制約の代償措置であり、それを「凍結・抑制」することは公務員労働者の生活改善、労働基本権を全面的に否定し使用者たる政府の責任を放棄するものである。「財政構造改革」強行のスケープゴートとして人勧「凍結・抑制」がねらわれていることは、絶対に認められない。

 人事院勧告は、地方公務員、特殊法人職員、私立学校・病院職員、農協・社会福祉関係職員など3,500万人に直接・間接に影響を与えるものであり、もしも人勧「凍結・抑制」が強行されるような事態を許せば、広範な労働者・国民の生活と地域経済、そして98春闘に与える悪影響は計り知れない。

 いま求められているのは、むだ使いの象徴でもある諌早干拓事業など大企業本位の公共投資、在日米軍への思いやり予算や中期防衛力整備計画などを抜本的に見直し、年金・医療・福祉・教育の改善・充実など国民生活重視の「財政構造改革」である。人勧完全実施はもちろんすべての労働者の大幅賃上げと減税、社会保障拡充など消費購買力拡大による国民本位の景気回復である。

 全労連は、すべての労働者・労働組合に、第16回定期大会の名によって呼びかける。

 国民犠牲の「財政構造改革法」反対、人勧の凍結・抑制は断じて許さないたたかいに、職場・地域から官民一体で全力をあげよう。

 「年金、医療、教育などの切りすてに反対し、国民生活重視の財政再建を求める」国会請願署名を早急にやりあげ、秋の臨時国会に集中しよう。

 すべての労働者・労働組合との共同、広範な国民的共同を大きく広げよう。

 1997年7月25日
全国労働組合総連合 第16回定期大会