2014国民春闘共闘情報
全労連HP

第35号 2014年6月9日

2014年春闘・制度的諸要求(中間集計(3))

長時間・過密労働の是正へ!
労働時間短縮・人員増の取り組み進む

 国民春闘共闘委員会(全労連、純中立労組懇、地方共闘などで構成)はこのほど、2014年春闘における制度的諸要求(各種休日休暇、労災対策、雇用保障、各種手当など)の獲得状況の第3回目となる中間集計をまとめました。6月6日現在、20単産・4地方554組織(連合会・単組・支部などの交渉単位)から報告が寄せられ、1237件の条件改善を獲得しています。

【正規雇用で働く仲間の諸要求改善】
 正規雇用で働く仲間の条件改善は、18単産・4地方の441組織から832件の制度改善報告が寄せられました。前回調査(5月12日時点:16単産・2地方・350組織・632件)からは、91組織200件増え、前年同期(2013年6月11日時点:435組織・762件)を6組織・70件上回っています。

時短関係
 休日休暇・残業関係・育児・介護休業など労働時間短縮に関する要求では、福祉保育労(36件)、民放労連(17件)、出版労連(15件)、JMIU(13件)、生協労連(11件)など、115組織で144件の制度改善を実現しています。前回調査(93組織111件)から22組織・33件上昇しています。前年同期(92組織125件)との比較では23組織19件の増加となっています。
 このうち、休日休暇関係での要求前進が最も多く、58組織で66件となっています。「夏季休暇2日間を復活させた」(建設関連労連)、「半日有給休暇取得回数の制限撤廃」(静岡)、「リフレッシュ休暇3日間を5日間に」(民放労連)などの報告が寄せられています。
 所定内労働時間短縮は、「土曜日休日1日増」(全倉運輸)など、前回調査同様に6組織で6件の要求を前進させています。
 週休2日制に関する要求は、検数労連が全国港湾団交で「2020年度までに週休2日制の完全実施」の回答を引き出しています。
 残業関係では、「時間外不払いの実態調査を実施」(全農協労連)、「ノー残業デーの実施」(福祉保育労)、「時間外手当の15分単位での支給」(生協労連)など、前年同期(11組織12件)を大きく上回る24組織で24件の成果を獲得しています。
 育児休業・休暇、介護・看護休業関係では、民放労連、出版労連での成果獲得が多くなっています。育児休業・休暇関係での要求前進は11組織12件となり、民放労連の組合では、女性社員のみに認められていた育児時短制度の対象を全社員に拡大させています。介護・看護休業関係では、「特別保存休暇の取得要件に介護休暇を追加」(映演労連)、「短期看護休暇(年5日)の賃金・一時金全額保障」(出版労連)など19組織が21件の要求前進を勝ち取っています。

年齢保障・初任給・格差是正
 年齢や職種による最低保障賃金の協定化や最低年収保障での要求前進は、前回調査同様に、建交労、JMIU、福祉保育労の7組織で12件となっています。福祉保育労・東京の職場では、産別統一要求「フルタイム労働者の年収300万円以上の確保」を実現させています。
 初任給増額などによる格差是正要求を実現させたのは、33組織・36件となっています。全農協労連では、「高卒初任給9,800円、短大卒初任給8,800円引上げ」など連合会・単協を合わせて9件の前進回答を引き出しています。

社会保障・母性保護・労災補償・安全衛生関係
 社会保障負担割合の改善は、前回調査と変わらず、全倉庫、全印総連での2組織2件となっています。
 母性保護関係は、前年同期(7組織8件)を上回る10組織で11件の成果を獲得しています。出産休暇日数の増日や出産休暇取得時の賃金保障、生理休暇関係のほか、婦人科通院休暇の有給化や子宮がんマンモグラフィ検診の実施などの報告が寄せられています。
 労災補償の上積み獲得は、JMIU(3件)、化学一般労連、全印総連(各1件)の5組織5件となっています。
 安全衛生関係は、前回調査(43組織・51件)から10組織・13件増え、53組織で64件の要求前進を果たしています。労働災害対策に関する要求のほか、メンタルヘルスケア関係、ハラスメント対策に関する前進報告が多く寄せられています。

人員増・雇用延長・退職金
 人員増要求では、JMIU(22件)、福祉保育労(15件)、化学一般労連(5件)、日本医労連(2件)、建設関連労連、全倉運、郵政産業ユニオン、静岡、埼玉(各1件)の計43組織49件で前進回答を引き出しています。
 定年・雇用延長関係は、定年・雇用延長関係では、高年齢者雇用安定法が改正された昨年からは、獲得件数が減りましたが、12組織で12件の成果を獲得しています。自交総連で「定年延長」を実現させ、JMIU、生協労連の2組織では協議・検討段階に入っています。
 退職金関係では、7組織で7件の制度改善を実現しています。「退職金増額」のほか、化学一般労連からは「退職金削減提案の撤回」、民放労連からは「育児休業期間の退職金算入を過去に遡って適用する」などの成果獲得の報告も寄せられています。

各種手当・職場環境改善など
 その他、311組織で490件の制度改善を獲得しています。その多くは、通勤手当、住宅手当、扶養手当、夜勤手当などの上積みや期末一時金の獲得など「各種手当の改善・新設」で、日本医労連(66件)、民放労連(64件)など198組織で286件となっています。
 また、職場環境の改善は、49組織が63件の改善を実現しています。その内容は、「空調設備の改善」、「トイレ改善」など設備関係の改善や「制服の新調」などとなっています。
 その他、多くの組織で「事前協議同意協定の前進」を勝ち取ったほか、「社内労働時間会議に組合出席を容認」(映演労連)、「労使賃金検討委員会設置」(自交総連)などの報告も寄せられています。

【パート・再雇用者など非正規雇用で働く仲間の諸要求改善】
 非正規雇用で働く仲間の条件改善は、14単産・3地方の218組織から405件の制度改善報告が寄せられました。前回調査(5月12日時点:12単産・1地方・170組織・327件)からは、48組織・78件増え、前年同期(2013年6月11日時点:195組織291件)を23組織・114件増と大きく上回っています。

パートやアルバイトなどで働く仲間の諸要求獲得(再雇用・継続雇用除く)
時短関係

 労働時間の短縮に関わる要求では、忌引き休暇の新設・改善、有給による病気休暇制度の創設、結婚休暇や誕生日休暇など「休日休暇関係」が最も多く22組織で24件の成果獲得となっています。
 育児休業・休暇関係では、「月給制契約社員の育児休暇を有給化」、「月給制契約社員の育児時短勤務を現行6時間勤務から、6時間、5時間、4時間勤務からの選択制に」(通信労組)、「パート・スタッフ職員の育児時短を小学2年修了時までに延長」(生協労連)、「育児休業の取得期間延長」(日本医労連)の4件となっています。

初任給・各種手当・社会保障・退職金
 可処分所得に関わる要求での成果獲得では、期末一時金・奨励金の獲得、通勤手当の増額など「各種手当の改善」が148組織243件と最も多く、前回調査(107組織190件)から41組織・53件増え、前年同期(108組織137件)から40組織・106件増と大きく前進しています。
 初任給増額・募集時給増額を獲得したのは、生協労連(4件)、日本医労連(2件)、全農協労連(1件)の7組織7件となっています。
 退職金関係では、「パート職員の退職金制度実施」(日本医労連)など、前回調査と変わらず4組織で5件となっています。

人員増・正規化・無期雇用化・雇用延長
 非正規雇用での人員増要求前進は、福祉保育労での1件となっています。非正規雇用労働者の正規化や無期雇用化要求では、前回調査(16組織16件)から5組織・5件増え、21組織で21件の前進となりました。このうち、正規化を勝ち取ったのは、JMIU、日本医労連(各2件)、全印総連、民放労連、日本医労連、福祉保育労(各1件)の計7件で、民放労連では、「非正規雇用20年の組合員を正社員にする」との回答を引き出しています。また、JMIUや福祉保育労の2組織では協議・検討段階に入っています。
 改正労働契約法も活用した取り組みも進み、生協労連では、検討も含め10組織で「無期雇用化」の前進回答を引き出しています。「5月の更新時から現状で3年を超えるパートは希望により無期雇用化する」(生協労連)など改正労働契約法を超える成果も獲得しています。
 また、定年延長や雇用延長関係では、前回調査と同様に、生協労連(3件)、JMIU、出版労連、民放労連(各1件)の5組織から6件の要求前進の報告となっています。

均等待遇・母性保護・労災補償・安全衛生など
 賃金引き上げや初任給増額、時短関係などを除く均等待遇の実現は、全農協労連、JMIU、生協労連、民放労連、日本医労連、福祉保育労の6組織で8件の成果を獲得。
 母性保護関係は2組織2件、安全衛生に関わる要求では4組織4件と前回調査と変わっていません。
 その他、「パート職員の賃金体系表の提示(新設)」(日本医労連)、「食堂無料開放3日間」(民放労連)など17組織から18件の成果獲得の報告も寄せられています。

再雇用・継続雇用で働く仲間の諸要求獲得
 再雇用・継続雇用で働く仲間の要求に関して、休日休暇関係では、再雇用者のリフレッシュ休暇や弔休暇増、夏季休暇新設、有給による誕生日休暇など、JMIU、民放労連(各3件)、生協労連、出版労連、日本医労連、静岡の8組織で10件の制度改善を実現しています。
 賃金保障関係では、「再雇用給与を臨時3級に引上げ」(福祉保育労)など、JMIU、生協労連(各2件)、日本医労連、福祉保育労(各1件)の5組織で6件の成果を獲得しています。
 均等待遇関係(6組織・8件)、労災補償上積み獲得(1組織1件)は前回同様の状況ですが、いずれも前年同期を上回る成果を獲得しています。
 もっとも多いのは、一時金支給・激励金支給など「諸手当の上積み・改善」で、生協労連(12件)、JMIU、民放労連(各5件)、全印総連、出版労連(各4件)、自交総連、福祉保育労(各2件)の27組織で34件の成果獲得となっています。

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