2012国民春闘共闘情報
全労連HP

第9号 2012年1月16日

第1回単産地方代表者会議で2012春闘方針を決定

内需中心の経済 今年こそ


 国民春闘共闘委員会(全労連、純中立労組懇、地方共闘などで構成)は12日、全労連会館ホールで第1回単産地方代表者会議を開催し、満場一致で2012年国民春闘方針を採択しました。激動する情勢のもと、労働組合が内需拡大で景気回復を実現する国民的運動の先頭に立とうと、熱心な討論がおこなわれました。

 代表者会議には、25単産9地方から82人が参加しました。
 大黒作治代表幹事(全労連議長)は開会あいさつで、賃金の続落で内需が縮小し、経済が成長しないもとでも、大企業は内部留保を266兆円にも増加させたと指摘。このばく大なため込み金を賃上げなどで労働者と中小企業に還元し、内需主導の景気回復を実現することが必要だと強調し、政府のねらう公務員賃下げはこの方向に反するものだと批判しました。野田政権がすすめようとしている消費税増税を柱とする「社会保障と税の一体改革」反対、被災者本位の復興、原発なくせの運動をすすめようと訴えました。
 小田川義和事務局長(全労連事務局長)が2012年国民春闘方針案を提案しました。
 生活苦と経営悪化に陥っている労働者・事業者との総対話と共同を追求し、大企業がめざす賃下げによる「国際競争力強化」が円高をよび、さらなる賃下げ圧力となってはたらく「悪魔のサイクル」を断ち切り、内需拡大の世論を広げようと提起。生計費原則による賃金闘争をすすめようと呼びかけました。
 「雇用と仕事の確保、賃上げ、社会保障拡充で、内需中心の経済・震災復興を」のメインスローガンと、だれでも月額1万円以上、時給100円以上の賃上げ要求を掲げ、3月14日の集中回答日と翌15日の全国統一行動日を軸に、13日の重税反対行動とあわせ、「99%のための安心社会めざす総行動」にとりくみ、職場・地域で「目に見え、音が聞こえる春闘」状況をつくり出そうと提起しました。

転換点の春闘 全力で

 討論では、各組織の代表13人(民間6、公務4、地方3)が発言しました。
 建交労の代表は、今年の春闘は、公平・公正な社会実現へ向かうのか、新自由主義のさらなる加速を許すのか、今後の世界と日本の行方を左右する転換点の春闘だとのべ、あくまで「全組合員参加」でとりくむ決意を表明。運動の積み重ねで政府にトラック運転手の確保対策を打ち出させ、委託雇用の労働者性をめぐって各地で勝利判決をかちとるなどの成果を確信に、国民的課題とあわせ、賃金権利闘争に全力でとりくむとのべました。
 「本気で春闘再生を!」のスローガンを掲げるJMIUの代表は、一人ひとりの労働者の思いをどう引き出して物理的な力にしていくか、その思いにこたえる責任が組合にはあると指摘。地域で宣伝やアンケート、「一言メッセージ」運動に本気でとりくみ、職場の力関係を変えていくこと、統一行動日には必ずストをうちぬき、地域に打って出ようと呼びかけました。生協労連の代表は、流通業界ではデフレのもと大手を中心に吸収合併・再編が進んでおり、多くの労働者がリストラされ、手取り賃金が減っていると告発。消費税率引上げに難色を示す経営者団体にもウイングを広げ、増税反対を求める議員要請など「選挙戦並みにとりくむ」決意をのべ、賃金底上げ、最賃時給1000円めざすとりくみとともに、7000人の組織拡大を目標に奮闘すると語りました。
 全教の代表は、就学援助を受けている児童数は大阪がいちばん多いという事実を紹介し、橋下・大阪市長率いる「維新の会」が推し進める2つの条例案(職員基本条例案、教育基本条例案)は、「子どもが置かれた状況から出発していない」と厳しく批判。石原都知事がこれに呼応するなど、危険な状況にあるとのべ、2月投票の京都市長選とあわせ、政治による教育への介入を許さないたたかいに全力をあげると語りました。
 「公務員賃下げ法案は庶民増税のための露払いであることが明らかになった」「民間春闘に結集してともにたたかう」(国公労連)、「賃金確定闘争では、(マイナスを)遡及させない、一時金に反映させない成果をかちとった単組もある」「定年延長問題では、職種によって反応はさまざまだが、人員闘争を中心にして展開したい」(自治労連)、「多摩市で公契約条例制定をかちとった。一人親方を含め適用範囲が広く、水準の高いものだ。首長のトップダウンでなく、組織の枠を超えた運動の成果。今春闘でも全自治体キャラバンにとりくむ」(東京)などの発言が続きました。
 討論のまとめで小田川事務局長は、春闘のたたかいの本格化を前に(1)“今年こそ”の決意を固めること、(2)企業内闘争と国民的課題・地域のとりくみを結合すること、(3)被災地での経験にも学び、たたかいのなかで組織を拡大・前進させていくことを強調し、労働組合がたたかいの先頭に立とうと呼びかけました。まとめ発言の後「2012年国民春闘方針」と「春闘闘争宣言」を満場の拍手で採択しました。
 この日は代表者会議に先立ち、「暮らしと経済研究室」主宰の山家悠紀夫氏が『野田政権の経済・社会政策と2012春闘の課題』と題して講演。大震災・原発事故後の日本社会の課題、日本経済の復活のために労働組合に求められることなどについてわかりやすい語り口で解明し、好評を博しました。(おわり)

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