2010国民春闘共闘情報
全労連HP

第 29 号  2010年04月14日

 

 10春闘・制度的諸要求獲得状況(中間集計@) 

非正規待遇改善のとりくみ前進

―育児・介護休業などの協定化も―

 国民春闘共闘委員会(全労連、純中立労組懇などで構成)はこのほど、今春闘における制度的諸要求(パート等待遇改善、企業内最賃、時短、各種休暇など)の獲得状況をまとめました。4月9日現在、15単産部会1地方の533組合から報告が寄せられ、賃上げ要求とあわせた各組織の積極的なとりくみで、非正規の待遇改善、育児・介護休業の協定化などが進んでいます。おもな特徴を紹介します。


パート賃上げ、均等待遇実現

 特徴の第1は、この間単産・地方で重視してきたパートなど非正規労働者の賃上げ・待遇改善のとりくみが進んでいることです。
 パート等の賃金改善については、別途行っている賃上げ集計でも、引上げ額は前年を下回る厳しい状況ですが、獲得数は前年同期を上回る115組合にのぼっています。

 日本医労連では、処遇改善交付金も活用したパート介護職の時給80円引き上げや、新たに非正規の昇給制度を設けさせた組合もあります。自治労連からは保育や学童保育、給食職場などで時給30〜100円超、月額で3万弱〜5万円超の大幅賃上げを獲得した組合も報告されています。

 賃上げ以外のパート等待遇改善では、雇用調整助成金を活用した均等待遇実現(建交労)や、医労連、建交労などが非正規労働者の正規化をかちとりました。自治労連は2組合で通勤手当を新設させています。



育児・介護休業――賃金保障とセットで協定化

 第2の特徴は、改正育児・介護休業法の施行日(6月30日)を控えた協定化などが前進していることです。

 単産では出版労連、全印総連、建交労などで育児・介護休業の協定化が進んでいます。たんに法定通りでなく、休業中の賃金保障とセットでの協定をかちとる組合も少なくなく、各組織の女性部を中心に早くから学習・宣伝活動にとりくんできた成果が表れています。

 その他の母性保護関係でも、出産休暇の延長や出産一時金の獲得(JMIU)、院内保育所の新設(医労連)などを実現させています。



過去の不払残業全額支給、『査定行わない』という回答も

 その他の課題別要求では、時短・残業関係で、JMIUや建交労の組合が年間50〜100時間の所定時間短縮をかちとっています。年次有給休暇では、全印総連の組合が「入社1年6カ月」という短期での20日間付与を獲得。医労連では、不払超過勤務について経営側が謝罪し、「請求があれば過去にさかのぼり全額支払う」と約束させた組合もあります。年休の時間単位取得では、出版労連などで労使協定締結が進んでいます。

 月60時間を超える時間外割増賃金については、労基法の改定通り協定する組合のほか、月45時間以上の時間外労働について「30%割増」をかちとった組合も出ています。

 企業内最賃・年齢別最低保障では、前年同期の78組合を上回る108組合が要求を前進させており、その大半を建交労が占めています。トラックや清掃など、地域別・業種別の強力な集団交渉で、多くの組合が最低保障要求を獲得しています。
 社会保険料負担割合では、出版労連の組合が、非正規労働者について、これまでの[5:5]から正規と同じく[7:3](会社側=7割負担)にさせるという画期的な成果をあげています。(集計表では「パート待遇改善」にカウント)
 労災補償・安全衛生では、JMIUなどの組合が労災補償の上積みや、インフルエンザ休暇について協定化しています。
 雇用保障・人員増では、JMIUの組合から「希望退職の撤回」や、「閉鎖事業所の労働者の雇用確保」を約束させるなどの成果が報告されています。医労連では、55人の段階的大幅人員増や、派遣労働者を直雇用にさせた組合もあります。

 その他の要求では、各種手当の増額・新設をはじめ、「査定を行わない」という回答を引き出す(出版労連)などの成果が注目されます。

 現在なお多くのところで交渉が続けられ、4月中旬以降に交渉が本格化する組合もあることから、全体の獲得数は前年同期をやや下回る状況となっています。出足早く春闘をスタートさせた建交労、JMIUをはじめ、医労連、出版労連などが全体をけん引しています。今回は自治労連からも非正規・関連を中心に多くの成果獲得が報告され、今のところ公務単産のなかでは群を抜いています。

 地方からは、奈良の組合でパート等の賃上げ獲得が報告されました。地方・地域ではまだ報告されていない成果も少なくないと推定され、今後が期待されるところです。



(以上)



 
10春闘 パート賃上げ・最賃・時短・諸要求獲得状況(のべ組合数)

(中間集約)

2010年4月09日 集計

国民春闘共闘委員会調べ


単産名 労働時間の短縮関係 パートの待遇 企業内最賃保障 社保負担改善 育休新設改善 介休看休新改 その他母性保護 労災対策 雇用保障 退職金 その他諸要求の前進
所定時間 週休2日 休日休暇 残業関係 他の時短 賃金改善 条件改善 最低賃金 年齢保障 初任格差正 労災補償 安全衛生 人員増 雇用保障 定年延長
全農協労連 連合会                       1                 5 6
 単協                                         2 2
建交労 3   2 2 2 10 2 82 18     7 2     1 1   4 5 7 154
JMIU 1   3 1 5                 2 4 10 9     3 30 68
化学一般労連           1                               1
自交総連                               1         4 5
全倉運                               2           2
通信労組                                           集約中
郵産労           2                               2
生協労連                                           集約中
生協パート           25                               25
全国一般     1 1 8                               2 12
非正規                                           集約中
全印総連     4   1 1 5 1       5 4               2 23
出版労連     5 1 7 1 5 4 1 2   10 6 2   3 1   1 2 5 56
日本医労連 1 1 1 16   5 16 2   3     2 4     6 1 2   34 94
医労連パート           27 10                   2         39
自治労連・関連           34 9                             43
地方報告・奈良           1                               1
合 計 15単産1地方 5 1 15 21 16 115 53 89 19 5 0 23 14 8 4 17 19 1 7 10 91 533
09/4/03中間 14単産1地方 4 2 27 52 67 96 72 70 8 15 6 6 1 - 19 58 30 12 19 124 688


 *パート等の「賃金改善」は、何らかの有額回答(定昇込み)があった組合数
 *「その他母性保護」には、出産休暇等を含む
 *「定年延長」と「退職金」は、今年から分けて掲載




 
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