2010国民春闘共闘情報
全労連HP

第 28 号  2010年04月09日

個別回答状況一覧  産業別・単産別総括表  パート等の賃上げ状況

 

 10春闘・賃上げ第3回集計 

49%が前年実績以上獲得

=単純平均、ほぼ前年並みに=


 全労連・国民春闘共闘委員会は4月8日、今春闘における第3回目の賃上げ集計を行い、新規報告の3単産を含む21単産部会(251組合)から報告が寄せられました。製造、運輸関係など、前年同期比でプラスに転じる単産もあり、単純平均(組合ごとの平均)ではほぼ前年並みとなっています。


 1.回答状況について
   第3回の回答集計には、別表の21単産部会から報告が寄せられました。
   表中のおもな数値は以下のとおりです。

 
(1) 登録組合数 791組合    
(2) 回答組合数 251組合 全体の 31.7%
  うち金額・率回答 167組合 全体の 21.1%
  うち上積み獲得 57組合 金額・率回答数の 34.1%
  うち前年妥結額以上 122組合 回答組合数の 48.6%
  うち妥結組合 67組合 全体の 8.5%
  単純平均 251組合 5,280円 1.70%
  前年同期 255組合 5,377円 1.69%
  前年同期比   −  97円 + 0.01P
  加重平均 6.9万人 5,667円 1.83%
  前年同期 6.5万人 5,900円 1.90%
  前年同期比   −  233円 −0.07P

 注) 額または率のみの報告があるため、双方は必ずしも連動しません。


 2.回答状況の特徴について

 @今回、新たに回答が寄せられたのは、検数労連、郵産労、全証労協の3単産です。このほか、15単産部会から新規または上積み回答の報告がありました。回答組合数は251組合(791登録組合の31.7%)であり、前年同期(255組合)とほぼ同数になっています。

 A回答のあった251組合中、有額回答は167組合であり、全体の21%にとどまっています。残りの84組合は「定昇のみ・ベアゼロ」が多数を占めています。とりわけ、デフレの影響をもっとも強く受けている小売業関係では、「定昇凍結」「状況によってはカット」などの不誠実回答も報告されています。

 B今回は単純平均(組合ごとの平均)で5280円(1.70%)と、前年同期とほぼ同額(マイナス97円)になりました。組合員一人あたりの加重平均は5667円(1.83%)と、前年同期比でマイナス223円になっています。
 単産別では、10単産部会が前年同期比でプラスとなり、このうちJMIU、全労連全国一般(製造)、建交労(運輸)、建交労(鉄道)は前回までのマイナスからプラスに転じました。日本医労連は、前回と同じくプラスを維持しています。
 規模別では、前回と同じく「100〜299人」のみプラス、他はすべてマイナスとなっています。ただし「29人以下」では、前回のマイナス941円から今回はマイナス101円と、マイナス幅を大幅に縮小させています。

 C初回回答からの上積みを獲得したのは57組合と、金額(または率)での回答があった組合数の3割以上に達しており、前年同期の22%から増加しています。また、前年妥結額以上(同額含む)を獲得しているのは122組合であり、回答組合数の約半数に迫りました。第2回集計時(3/25)の44%からさらに上昇し、前年同期の72組合も大幅に超過しています。

 D回答次数では、化学一般労連の組合の第5次を筆頭に、JMIU、建交労(運輸)、地方マスコミなどが2〜4次の回答を引き出して奮闘しています。なお「1万円以上」の賃上げ回答は、前回と同じく10組合報告されています(前年同期は17組合)。最高額は地方マスコミの組合で、1万2870円となっています。



時間給引上げ、平均16円台に

 3.パート等の賃上げ回答状況

 パート・アルバイト等の回答状況は、4月8日現在、9単産1地方の179組合から報告がありました。このうち時間給で回答があったのは123組合であり、単純平均で16.5円の引上げとなっています。第2回集計時を上回る数字ですが、前年同期(19.6円)からはマイナスとなっています。

 単産では、「診療報酬改定による増収をきちんと賃上げ原資に反映させよ」との要求を掲げて奮闘する医労連が、単純平均で時給35.1円の引上げを獲得しています。医労連でも10〜20円の回答が多数を占めるなか、看護師の組合が時給200円をかちとるなど、職種によって差がみられるのも特徴です。

 自治労連からは、学童保育の職場で月額5万円以上の引上げをかちとった組合が報告されています。これはもともと不当な賃金に抑え込まれていたものであり、「自治体職場からワーキングプアをなくそう」というとりくみがあげた貴重な成果といえます。生協労連は健闘していますが、デフレ不況による業況悪化のもとで引き続き苦戦を強いられています。

 4.企業内最賃の改定状況

 企業内最賃の改定については、99組合から報告がありました。前回と同じく出版労連が750円のプラスとなる一方、医労連、建交労がともにマイナスになるなど、全体でも375円マイナスとなっています。

 全体として、産業別・単産別にプラスとマイナスが混在するものの、約半数の組合で前年同期を上回る回答を引き出していることは、各単産の統一したとりくみと、実力行使も含めて当初の低額回答を押し返すたたかいが反映しています。また、建設、金融・保険関係では、これから交渉が本格化する組合も多くあります。

 国民春闘共闘委員会は、4月9日に常任幹事会を開催し、4月14日〜20日の回答引出し・行動強化ゾーンと、抜け穴だらけの労働者派遣法改定案が国会に上程されたもとで、「4・21国会集中行動」へ向けて全力でとりくむことを意思統一しました。

 各組織においても、単産の統一したとりくみを軸に、制度的諸要求の獲得も含め、回答引出し・追い上げの奮闘が続いています。

 <参考> 他団体の賃上げ集計結果
連合の第1回賃金改定集計(平均賃上げ方式・3月19日現在)は以下のとおり。

  回答+妥結 単純平均 加重平均
集計方式 組合数 人数(万) 金 額 率(%) 昨 年 率(%) 金 額 率(%) 昨 年 率(%)
平均賃上げ 431 66.8 4,701 1.70 5,092 1.86 5,369 1.78 5,830 1.94

連合の第2回賃金改定集計(平均賃上げ方式・3月30日現在)は以下のとおり。

  回答+妥結 単純平均 加重平均
集計方式 組合数 人数(万) 金 額 率(%) 昨 年 率(%) 金 額 率(%) 昨 年 率(%)
平均賃上げ 1196 128.6 4,373 1.64 4,581 1.70 5,186 1.76 5,363 1.79




日本経団連(大手企業)の第1回賃金改定集計(3月29日現在)は以下のとおりです。

注) 調査対象は東証一部上場、従業員500人以上の大手企業。金額には定昇等を含む

  回答+妥結 単純平均 加重平均
集計方式 社数 人数(万) 金 額 率(%) 昨 年 率(%) 金 額 率(%) 昨 年 率(%)
平均賃上げ 43 - 5,393 1.78 5,224 1.68 6,165 1.89 5,815 1.77





 
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