2009国民春闘共闘情報
全労連HP

第 45 号 (確定版)  2009年06月30日

 

世論変えた。雇用闘争の継続を

経済危機下の賃上げなど善戦

 国民春闘共闘  第2回代表者会議で春闘総括

 国民春闘共闘委員会は6月26日、東京・全労連会館で第2回単産・地方代表者会議をひらき、「09年春闘の中間的総括(案)」について討議、確認しました。討論では15単産・地方の代表がきびしかった賃金・一時金のたたかいや、雇用確保の取り組みなど成果と教訓を報告。夏季闘争で、最低賃金1000円以上、公務員賃金改善、労働者派遣法の抜本改正のために奮闘しあうことを確認しました。




「内部留保を使って賃上げも雇用も」が世論に

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 代表者会議には22単産・団体・9地方の代表ら63人が参加しました(写真)
 代表幹事あいさつで大黒作治全労連議長は、経済危機が深刻化した昨年秋以降、「大企業中心社会」を変えていくうえで、世論の重要な変化があったと指摘。失業が高止まりするなか、「雇用を守るたたかいはこれからも続く」と強調しました。
 09春闘については、「『230兆円もある内部留保を使って賃上げも雇用も』の訴えが大きな世論になった。同時に『外需頼みはだめ、内需への転換が必要』という世論が作りだされたことも重要だ」と指摘しました。
 大企業が非正規労働者の雇用を大量に打ち切ったことについて、トヨタやキヤノン、パナソニックなどでは株主配当が1000億円を超えている述べ、「年収300万円の派遣労働者を5000人雇うには150億円あればできる。人の首より株の方が重いというのか」と批判。「(株主重視をすすめた)新自由主義の破たんは明らかだが、まだ死んではいない。失業率が高止まりするなか、雇用を守るたたかいはこれからも続く」と強調しました。

 小田川義和事務局長が「09年春闘の中間的総括について(案)」を提案。1月の代表者会議で決定した「09年春闘方針」を振り返りながら、この間のたたかいによって勝ち取ってきた雇用確保や賃金引き上げなど到達点を紹介し、議論を深め合いたい論点・課題を示しました。
 統一して実現をめざした課題での到達点については、つぎのように紹介しました。
@雇用破壊に反対する取り組みが前進したこと。
 「派遣切り」で寮・社宅等の追い出しにあった労働者が、雇用の安定を求めて自ら立ち上がり、労働組合に結集する事例が増加した。そのたたかいを支える取りくみもかつてなく前進した。
A雇用を守るたたかいが政府を動かしたこと。
 「年越し派遣村」など生活・労働相談の取り組みが全国各地に広がり、厚生労働省などが住宅あっせん、雇用調整金の支給、職業訓練と貸付制度、中途契約解除について派遣先企業の責任明確化通達などを実施した。労働者派遣法の抜本改正を迫る取り組みの共同が広がった。
B賃金抑制をはね返す粘り強い取り組みを展開したこと。
 雇用破壊も賃下げもという財界の攻撃が強まるもとで、国民春闘共闘の組合が平均賃上げでは前年比減額ながら、最小限にとどめ、他団体の集計結果を上回るなど、粘り強くたたかった。
C地域での取り組みも前進し、公契約運動では新たな到達点が生まれたこと。
 2月下旬から、地域総行動などの取り組みが旺盛に展開された。3月下旬を中心に北海道、大阪などで大規模な集会が取り組まれ、社会的にアピールした。尼崎市の公契約条例案の内容にかかわる質問主意書に対し、政府は「問題なし」の積極的な回答をおこなった
D「構造改革」の矛盾を追及する国民共同の取り組みで政治を動かしたこと。
 野党4党共同で「介護労働者の人材確保に関する特別措置法」が提出され、政府は介護福祉士などの給与改定への助成金措置を講じた。同様に「タクシー適正化・活性化法案」も可決・成立した。
E改憲反対の共同の取り組みを進めたこと。
 在日米軍のグアム移転経費負担、「海賊対処法」の審議強行、北朝鮮のミサイル発射や核実験などの動きに合わせた国会行動や、憲法集会などの成功に尽力した。

 小田川事務局長はつぎに、公務員の09夏季一時金に不当な攻撃が加えられた問題を紹介し、全労連公務部会のたたかい、国民春闘共闘の民間単産の申入れ行動などを紹介し、中間的な総括としました。
 そのうえで、「09春闘の中間総括もふまえて議論を深めたい論点・課題」について、@国民春闘共闘規模での取り組み・運動課題はどのようなものが考えられるか、A2010年春闘に生かす要求課題・運動は何が考えられるか、B最低賃金引き上げのたたかいを強化するにはどのような取り組みが必要か、……E統一行動の配置をどのように考えるかなど8項目の論点と課題を紹介し、論議を呼びかけました。

 事務局長は最後に、「09年夏季闘争の強化について」を提案。@夏季一時金の追求、A最低賃金「1000円」の実現をめざす全国でのたたかい、B09年人事院勧告での公務員賃金改善を迫る取り組み、C労働者・国民生活重視の2010年予算を求める取りくみを、各々強化する方針を提案しました。


 
この夏、最賃・人勧、派遣法がポイントに

●代表幹事あいさつ−大黒作治全労連議長

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1 政局の動向について
 都議選をはさんで、麻生内閣がいつ解散するのかが取りざたされているが、政局は流動化している。しかし、どう見ても9月6日(日)までには総選挙をしなければならない。都議選・総選挙に全力をあげたい。

2 09春闘にかかわって
 「年越し派遣村」で年が明け、春闘前半では、大企業の社会的責任、とりわけ資本金10億円以上の大企業だけで230兆円も溜め込んでいる内部留保を使って、雇用も賃上げもという私たちの訴えは、大きな国民的世論となった。政府も財界に、同様の趣旨で要請に行くなど、「100年に一度」といわれている経済危機を打開する方向は、外需頼みの経済ではなく、内需中心の経済への転換は説得力を持って受け止められた。

 同時に、株主配当重視の株主資本主義についても、批判を強め、人の首は、株の配当より軽いのか、大企業は雇用破壊を止めろと訴えた。
 事実、大企業の08年度決算を見ると、赤字決算にはなっているが、トヨタ△4369億円、株主配当一株100円、総額3400億円。日産△2337億円、一株11円、総額500億円。パナソニック△3790億円、一株42円50銭、1020億円。キャノン2241億円、一株110円、1430億円。仮に派遣労働者一人300万円支払っても5000人の人件費は150億円。

 この間、新自由主義が破綻したことが明らかになった、しかし、まだ死んではいません。生きている。失業率は、高止まりしており、雇用調整金の申請は253万人分といわれていますから、「雇用守れ」のたたかいは、これからも続く。
 この間、私たちは全国で、労働・生活相談は、44都道府県、170箇所以上、京都では、21日に府下22箇所で行った。地方にネットワーク作りも広がった。労働者派遣法の改正案について、民主、社民、国民新党の間で共同提案がされたが、全労連の求めているものに近づいた内容となっている。しかし、製造業派遣の禁止、日雇い派遣やスポット派遣の原則禁止、「常時雇用」の定義が明確でなく日々派遣先が変わりうる、均等待遇について派遣先、派遣元の実効性が担保されないなどの問題点を含んでおり、これらの実現に向けてさらに奮闘することが重要である。

 09春闘での賃上げは、加重平均5926円。パートは、時間給で23.2円の賃上げに終わった。一時金も昨年比でかなり落ち込んでいる。その影響が公務員の夏季一時金にも人事院勧告の前倒しで削減された。連合の民間大手で賃上げゼロ、定期昇給凍結という影響もあることは事実。あるマスコミの方は、「役員の顔は明るい」と評しているそうだが、職場と単産や地域でどう受け止めているかについても大いに議論をお願いしたい。

3 夏季闘争について
 最賃闘争と人勧闘争、それに労働者派遣法抜本改正のたたかいが大きなポイントです。最賃と人勧は、あくまでも内需拡大、この大義に立ったたたかいが重要だ。とりわけ最賃は、財界が「それどころではない」との攻撃をつよめているが、この2年間ともそれぞれ二桁の引き上げをやってきましたから、もちろん不十分ですので、ひきつづきこの流れを大きくしたい。思い切って最賃闘争に結集していただきたい。

 労働者派遣法の問題は、お手元にも「全労連幹事会の見解」が示されているが、この3党で合意した労働者派遣法案の不十分さについて、4点にわたって記述している。@社会問題になっている製造業派遣の禁止が担保されていない。A日雇い派遣や登録型派遣の原則禁止が担保されていない、B言葉の定義、「常用雇用」か「常時雇用」かの定義を明確にして日々派遣先が変わるような不安定な就労形態を規制して、雇用の安定を確保する内容にす

4 最後に都議選、総選挙について
 私たち労働組合、とりわけ春闘共闘や全労連は、特定の政党を支持してたたかうということはしていません。しかし、どういう論点が必要なのかということを若干申し上げたい。
 一つは、私たちは大いに要求を語って、国民・都民の要求実現に向けてリードする役割が重要ではないか。二つは、自・民の二大政党が掲げる共通した危険な部分(改憲、消費税引き上げ、国会議員の比例定数の削減など)にストップをかける役割が重要ではないか。私たちは、これを職場・地域で大いに宣伝していく必要があるのではないか。特定政党を支持して、それに基づいて動けということはしていないが、労働運動として国民的にどのような観点から総選挙で政治の風を吹かすのか、ということも大いに議論していただきたいと思う。

 いずれにしても、私たちは09春闘で様々な苦難を乗り越えながら、粘り強くたたかいを強めることが重要だということは、皆さんと共通の認識になると思う。ひきつづき、粘り強く頑張りながら夏季闘争、そして都議選、総選挙へと向っていきたいということを申しあげて、あいさつとします。



 
厳しかった賃上げ、雇用・失業対策で奮闘

 官民・地方の15名が発言。総括案を補強

 討論には12単産・3地方の代表が発言に立ちました。 賃上げ、夏季一時金のたたかい(生協労連、民放労連、検数労連、出版労連、化学一般労連、愛知)をはじめ、公務員賃金、公務・公共サービス問題(自治労連)や、パート・臨時職員など非正規労働者の賃上げ(生協労連)、年金の引き上げと制度改善のたたかい(年金者組合)が報告されました。

 また、働くルール・子育て支援などの制度的要求の取り組み(全労連女性部、自治労連、大阪)、最低賃金闘争の強化、委員の公正任命、産別最賃の引上げ(生協労連、検数労連、出版労連、全労連青年部、大阪、)について報告がありました。さらに、リストラ反対、雇用確保、非正規の正社員化や、労働者派遣法の改正問題(民放労連、検数労連、通信労組、化学一般労連、自交総連、自治労連、全教、全労連青年部、東京、愛知、大阪)、憲法・9条を守る取り組み(生協労連、自治労連、全教)の報告があり、各々総括案を補強しました。各代表の発言要旨は以下のとおりです。


生協労連・清岡書記次長 パートが元気。不況下で粘りのたたかい

 回答状況は資料のとおり。正規・パートとも賃上げは額・率ともに前年を下回った。一時金も下回った。昨年、ギョーザ事件の影響から脱していないことと、秋口からの経済状況の大幅な悪化、この2つを理事者側が主張している。全国的にも共通している。これをどう克服していくかが賃上げのたたかいであった。

 しかし、パートは非常に元気で、正規は元気がない。パートは外にもよく出ている。4/12生協労連行動日に、各団体への要請。翌4/13には600人が行動参加して、パフォーマンスの銀座パレードを成功させた。団交でも100人いれば90人はパートだった。そういう中での低額回答なので、粘りにねばって、2次、3次、4次回答を引き出す単組も。4年、5年越しの要求が成果に結びついた例もある。ベア獲得は8単組にとどまったが、今後のたたかいに繋がっていく。

 働くルールの確立めざす取り組みについて。最賃は審議委員に全国で28人が立候補して取り組んできたが、今回も不公正任命で連合が独占した。現在、再審査請求、不服審査の申し立てを実施中。最賃闘争本部をつくって情報を発信してきた。6〜7月の最賃デーには最大限結集して、「誰でもどこでも1000円以上」の引き上げをかちとっていくことを目標にがんばりたい。

 憲法を守る取り組みについては、この4-5月を活憲月間として取り組んできた。4月には佐世保で憲法闘争の交流会を開催した。今後は2010年の国民投票試行、来年のNPT再検討会議にむけた取り組みを強める。機関紙などを含めて取り組みを強めたい。

 消費税増税反対については、署名 3万8000筆を集約した。署名推進のために、消費税、社会保障、税問題を考えるチラシも作成しながら進めている。

 介護報酬問題では、3万4800筆を集約した。介護労働者も組織しているので、この4月から 3%の報酬改定をキチンと労働者の賃金アップに繋げろとたたかって、広島、千葉、宮城などでは賃金改定に繋げることができた。

 組織拡大では、8万人の生協労連(現在6万8000人)をめざすこととし、秋と春に「月間」を設け、この春は1800人の増勢を勝ち取ったが、ひきつづき新しい峰をめざしたい。


民放労連・井戸書記長 人と番組を大切に、「今こそ投資をせよ」

 賃金闘争の状況について。民間放送が始まって55年。史上初の大幅な賃金の切り下げという事態になった。春夏同時闘争で半年収がどうなったかの評価をするが、−5.5%で過去最悪の下げ幅になった。基本的には一時金が大幅にカットされた。東京・大阪のキー局、準キー局が最大では55%ダウンもあった。現段階では単産の平均一時金は−12%になって、一般的な下落率に戻してきた。昨年と同水準が取れればバンバンザイという状況だ。

 民放経営は、以前から広告費の落ち込みが大きいので、昨年末の一時金から切り下げがはじまったが、制作費の削減(大手では100億円以上)にも手を付けてきた。テレビを見ていると、ナマ放送が増えている。これは制作費が安くて済むが、視聴率がダウンし、売り上げ増には結びつかず、負のスパイラルに陥っている。

 民放労連は4/14に民放連に「人と番組を大切にする緊急申し入れ」を行い、人と制作費を大切に、内部留保があるのだから、今こそ投資をしろと申し入れた。これまで右肩上がりだったので、「赤字」の財務資料を見せられると組合も震えてしまう。そこで近く、各自、自社のデータとパソコンを持ち寄り、経営分析のセミナーをやる。

 民放の構内には正規の5倍もの非正規労働者(派遣など)が働いている。制作費を下げれば、プロダクションの人件費も下がる。この人たちの人件費も制作費もともに引き上げていくことが正社員組合に付きつけられている。個別には非正規の組織化の例も出ている。京都放送ではこの間、請負や派遣の6名を正社員にし、この春闘でもカメラマン2名の正社員化を求めてたたかっている。テレビ西日本では、100%子会社に働いている専門技術者(専門26業務に指定)で、派遣期間の定めがない。ただ、専門の放送機器操作の仕事が90%以上でなければならない定めがあるのに50%くらいしかしていない。非常に怪しいのが多い。本件では社員化と損害賠償を求めて、本日福岡地裁に提訴する。


検数労連・北畑書記長 港湾の「基準賃金」を初協定、産別最賃も引上げ

 夏季一時金の団交中だ。港で外需の先頭に立っている。春闘も厳しかったが、一時金はなお厳しい。本日回答が出る予定。2社のうち、1社は冬の40%減、もう1社は80%減、10万円程度の一時金になりそうだ。

 春闘総括の特徴点について。港湾は、産別組合の全国港湾が団交権をもって初年度のたたかいとなったが、1月、2月が暇で仕事もなくなってきた中での春闘となった。産別の団交を相手が受けてくれるかどうか。今までの協定を再協定してくれるかどうかから始まった。1週間に2〜3日しか仕事がないなど大幅な取扱量の減少となり、企業収益も50%の収入ダウン。春闘どころではない、クビが心配される中での春闘となった。
 こうしたなかで、料金のダンピングが心配され、これを止める運動をすすめてきた。3/5、経団連への申入れ、規制改革会議会長への申入れを行ってきた。

 春闘の成果は、産別として「あるべき賃金」の制度をもっていたが、今年初めて「港湾作業員の基準賃金」を認めさせた。これは40歳で35万5400円を標準的な労働者の金額として定め、これをベースに港湾の料金をこれ以上は下げさせないことを確認させた。さらに、産別最賃についても15万6950円を認めさせた。
 検数の仕事がないなかで、雇用不安が広がった。正職員はもとより関連労働者から大きな不安が沸き起こった。検数労連では、「1人の雇用を奪うことも許さない」という文書を発令してたたかい、自発的に辞めた人は別にして、基本的には強制的に辞めさせることはさせなかった。

 港湾では時間外に依拠するところがあったが、手当もなくなり月収が10−15万円も下がるもとでの春闘だった。検数2社の経営分析を徹底してやったら、収入が25%減との予測がでた。経営側は30%以上で、賃上げどころではないと主張した。こうしたなかでの賃上げ要求で、定昇もできないという経営に対しては「賃金体系が崩れる」と主張して定昇実施を勝ち取った。ただし、その引き換えに、4月から賃金カット(一時期)を認めざるを得なかった。


全労連女性部・大西事務局長 改正育児介護休業法を職場に生かそう

 6/24、改正育児介護休業法が参院で全会一致可決成立した。7割の女性が妊娠・出産で辞めてしまうこと、男性の1.56%しか育児介護休暇をとっていないということで、取得促進を目的に改正されたものだ。
@両親ともに取得する場合は期間が2ヵ月延長されること、
A子どもの看護休暇は現在5日しかないが、2人以上の場合は10日とすること、
B3歳未満の子どもを養育する労働者の時間外労働の制限と短時間勤務の義務化など、
 前進が勝ち取られた法律である。審議前、今年の春にマスコミをにぎわせた「育休切り」について、不利益取扱いの場合、社名の公表、過料など罰則規定が強化されたなかでの採決となった。

 全労連女性部は、この法律の改正に向けて、審議委員・国会議員に向けての要求行動などをとりくんできた。不十分ながら、改正内容には私たちの要求も盛り込まれた。審議では、自民党議員からも「男性の育児休業補償は6割以上が必要」との発言もあった。このほか、地方分権推進会議が都道府県労働局をブロック化しようという計画を出すなかで、労働局の中にある均等室も、ブロック化されてしまうと、たとえば相談者は沖縄から福岡へ行くのかという不合理も指摘され、慎重を要するという議論もされた。保育所の待機児童問題も、与野党問わず出された。全労連女性部が要求してきた改正項目については、15項目に及ぶ付帯決議に入った。不利益取扱いの規制強化を求めて出された民主・国民新・社民党による修正案は、労働条件を書面で明示して交付するという内容だが、省令の中に盛り込むという大臣答弁を引き出した。今後、全労連としてもとりくみを強化する。

 雇用保険法の改正について。休業期間中の所得保障5割給付、次世代育成対策推進法の改正で100人以下の事業所にも行動計画の策定を義務化、補正予算では育休取得した労働者を雇用する中小企業への助成拡充もされた。職場への導入にあたっては討議が重要。女性部の調査でも、法の趣旨が徹底されていない実態がある。中小企業では、育休について就業規則に明記している企業は6割しかないという調査結果もある。労働組合がありながら、労働者が知らないということがなくなるよう、職場討議を広げていきたい。


年金者組合・田中書記次長 年金署名に、高校生からお年寄りまで

 「雇用も賃上げも」と、若い青年労働者が勇気をもって立ち上がり、組織化が進んでいることに感動し、春闘に参加している。
 @年金3%の引上げ、A無年金者には8万円程度の緊急生活支援金の支給を緊急要求として求めてきた。年金者組合は20周年を迎えるが、史上初のことである。
 3/13、全商連とともに税務署へ押しかけ、
@重税反対、消費税引上げ反対、
A最低保障年金制度をつくれ、
B社会保障制度の改善
を求めて個人請願を行った。財務省に要請に行くと、驚いたことに、6万6000人以上という、われわれが掌握している以上の数を財務省が集約していた。

 3/19、各産別が春闘要求の回答を控えた時期に、年金者組合は2000人以上で国会前(道路の両側)に座り込んだ。3月末には全国の自治体で請願行動を起こした。厳しい状況にある自治体ほど、請願を受け付ける。北海道で2市12町3村、高知県では1/3、長野県では1/5の自治体が採択した。各地で高齢者の要求の切実さと、結果として地域経済を潤すという説明が説得力をもち、請願が通り、自治体から国へ意見書が上がるという成果をあげた。

 これらの活動を通じ、1月から6月にかけて組織拡大のペースも上がり、約4000人の組合員が増え、9万4094人になった。街頭署名でも「年金を引き上げろ」という要求は、高校生からお年寄りまで受けが良かった。今の貧困の問題など、国民はお金の問題に敏感になっている。労働者のみなさんが春闘を盛り上げるもとでとりくんだことが、前進をつくり出していると思う。

 大会が一昨日終わり、「消えた年金」問題の完全解決、消費税によらない最低保障年金制度を基本要求として求めていく。財源をどうするかが問題になる。学者の助力も得て年金者組合として独自に試算したところ、28兆4000億円が出てくることがわかった。説得力を持たせてがんばっていきたい。いくつか要望を述べる。
@労働者、労働組合が真正面から春闘をたたかうこと。

ルールある経済社会、正規雇用の安定と、生計費原則の賃金を財界・大企業に突き付けてたたかう。あわせて、社会保障費、税の負担を求める世論をつくる。
Aすべての人間のいのちとくらし、生存権の基準をきちんとする。
最賃、生保水準、最低保障年金、すべてリンクしている。厚生年金は生涯賃金を基礎にして決まる。賃金と年金は、絶対に切り離せない密接な関係にある。
B地域での組合のたたかい方について。
地域で労働組合が見えない。たとえばワンコイン(500円でどこでも行ける)バス運行や、駅にエレベーター設置などの地域要求実現へ、住民と一体となって共同できないか。


通信労組・菅原中執 「50歳定年制」、明日は我が身の大反響

 NTT・11万人リストラ反対、構造改革からの転換をめざすということで、6/19昼休み、NTT持株会社前で集会。その後、2台の宣伝カーで、2時から5時まで、新宿、池袋、有楽町、新橋、秋葉原で宣伝行動を行った。5000枚のビラをティッシュに入れて配布。早い段階でなくなった。お昼時で通行人に余裕もあるのか、受け取りがすごくよかった。

 6/20には中央集会を開催し、小田川事務局長にもお出でいただいた。3時間を超える報告集会だったが、退屈しない、いい集会となった。各単産の話を聞いて「組合員よりもよくわかっているんじゃないか」という感想もあり、たいへん励まされた。
 19日の行動には反響が大きく、「サポーターになりたい」というメールも届いた。52歳の方で、待ち合わせをしていたそうだが「50歳定年制は身につまされる。私のようにまじめに話を聞いている人もいるので、ぜひ続けてください」という内容であった。個々の対話でも、「明日は我が身ですね」という40歳代の人もいた。全国から両日で300人を超える組合員が参加し成功した。

 裁判は、東京・大阪が最高裁へ。何としても勝利したい。引き続きの支援をお願いしたい。東京での裁判で、現役で1人残された原告である飯野さんは、7年間にわたる長距離通勤で体調を崩し、病気休暇で休んでいる。NTT東日本社長あての要請ハガキにご協力を。


愛知・榑松事務局長 3勤4休。雇調金を勝ち取り、雇用を守る

 愛知では、トヨタ以外にも、電機での派遣切りがたくさんある。東芝、三菱電機、ソニーで争っている。今朝もパナソニック前でビラをまいてから来た。派遣切りの数は日本一で、労働相談も増えている。今日の宣伝では、派遣切りから正規切りへ広がってきていることもあり、正規労働者もかなりチラシを受け取った。ソニー・一宮工場はすでに撤退。東芝・瀬戸工場も7月で撤退。自動車に続いて電気が大量リストラに入っている。

 名古屋港はかなりのトヨタ依存で、愛知の産業の7割が自動車産業であるから、トヨタが6割減産となると、大変なことになる。下請企業はだいたい3勤4休、週休4日制、中には週休6日制、1日しか出勤しないというところもある。その中で、春闘賃上げ要求を出し、雇用調整助成金を勝ち取り、賃下げをしないで、その賃金をもとに60%を保障させる。こういうたたかいをせざるをえない。中小の経営を守りつつ「賃下げさせない」たたかいを行ってきた。なかなか回答も出てこない春闘で、要求提出も、回答も、昨年を5%くらい下回った。

 夏季闘争はゼロが多発し、本当に厳しい。6割減っているから、港から出荷する荷物がない。したがってボーナスはゼロという会社が多くある。こういう中で、公務の「0.2カ月分カットに対して、一緒にたたかおう」と声をかけられても、なかなか職場ではそう素直に受け入れられない状況にある。新聞労連では『朝日』が100万円台から50万円台に。『毎日』は第2次ストに入っているが、『朝日』の60%が相場であり、厳しいたたかいが続いている。

 この春闘をどう総括するかだが、連合は「雇用を守った」という。われわれは「雇用を守りつつ、非正規・派遣切りとのたたかいで大きな役割を果たした」という表現にした。要求を話し合い、雇調金を勝ち取り、雇用を守ってきたのは、労働組合の団結の成果だということを確認したい。このたたかいでは、JMIUと全国一般が暴風雨の中で本当によくたたかっている。JMIU愛知地本は組合員400人だが、この半年間で600人が加入した。名古屋市では、1つの区役所(中村区役所)で1日平均70件の相談、1ヵ月で約2000人の生活保護の相談が殺到し、超勤は80〜100時間に達している。中には160時間の残業もある。外では「おにぎり隊」が組織され、1月から毎日雨の日も120人分のおにぎりをカンパで支給している。いまでも区役所の周りはおにぎりをもらう人の列ができている。「カウンター越しの共同」と呼んでいるが、中では組合員ががんばり、外ではボランティアががんばる。一方で、なかなか愛労連全体のたたかいになっていない。

 夏季闘争について。雇用保険は2ヵ月延長されたが、これも切れてくる。貸付金についても、6ヵ月過ぎたら返さなくてはならず、住居も6ヵ月たったら出なければならない。このままでは8月には路頭に迷うことになる。大至急セーフティネットのとりくみをやりたい。労働者も、長く働かないとダメになる。3度派遣切りされると、人間がつぶれてしまう。憲法27条の勤労権を守るたたかい、働かせろという運動をやりたい。北部青年ユニオン、JMIU、ローカルユニオンなどが、裁判も含め、三菱など大企業を相手にたたかっている。愛労連あげて支援する。研修生問題にもとりくんでいるが、今日参院法務委員会で法案が通る予定になっている。


大阪・宮武事務局長 地域・産別・LCの共同で雇用を守り、組織化も

 はじめに。自交総連の佐野南海交通の争議(第一交通が買収して組織破壊攻撃)は、8年2カ月に及ぶたたかいをおこなってきたが、すべて勝利和解した。ご支援に感謝したい。

 大阪労連・ローカルセンターと地域労連が雇用とくらしを守るために、どう共闘するかについて報告したい。
 地域での相談会は、17か所で387件。共同実行委員会をつくって休まず実行。国も補正予算を組んでいるが、自治体向けに要望もおこなってきた。地域の雇用とくらしがどうなっているのか、生活全般に目を向けていく地域の共同、地域春闘の実践の第一歩を踏み出したといえる。

 職場復帰のたたかいは、地域から始まったが、各単産がかかわり、支援共闘会議を結成し、労働組合の交渉権をもってとりくんだことが教訓的であった。6/1、地域労連と建交労の支援で、東海ロジテムで派遣切りにあった労働者を正社員化した。組織化の上で、OBへの相談員参加の訴え、ワンコインカンパで400万円以上のお金が集まり、606件の相談、新規20組合の結成、322名の組合員増という成果につながった。また、雇用・経済PTを立ち上げ、大企業の労働者にも参加してもらい、大企業の職場実態と地域の状態を共有した中での共同のとりくみとなった。

 大阪ビクトリーマップは、記者会見で大きな注目を浴び、テレビなどでも報道され、「大企業は社会的責任を果たせ」という世論づくりに貢献した。IBM、パナソニックなど相手に、地域・単産・大阪労連が共同でとりくんだことも重要で、今後も発展させていきたい。

 自治体キャラバンで、「なくせ貧困・生活危機突破」の運動について。地区・地域協議会も独自に要請を行っている。地域の反貧困網が前進し、生活相談会の実施につながった。池田市議会では、「内需拡大のために時給1000円以上の全国一律最賃制の確立を求める意見書」が全会一致で採択された。

 公契約運動について。建交労加盟の地下鉄清掃労働者―NHKの「クローズアップ現代」で紹介された職場だが―時給760円で週6日働きながら、生活保護を受給した。マスコミも報道。ある記者が「最低賃金以上をもらっているのに、何か問題があるのか」と質問した。最賃の低さ、入札での買いたたきという実態を変えていくことが必要と訴えた。春闘から、通年闘争としてとりくんでいきたい。

 働くルール署名は、3万6000筆。組合員数はとにかく超えようと訴え、まだ半分の到達だが、大阪府職労は大阪城公園で定例化し、2800人分を集めている。地区協議会では、当初2000目標だったのが、1万1600を集めている。議論し、点検し、集約する。地域に打って出れば元気になる。それを職場に持ち帰り、要求実現のためにがんばるとりくみを続けていきたい。


出版労連・津田委員長 構造不況の中、出版「新生」をめざす春闘構築を

 リーマン・ショックの前からたいへんな構造不況で、12年来右肩下がりが続いてきた。去年の取次ベースの出荷額は業界全体で2兆円強。任天堂1社の売上と同じ規模。少し前のトヨタの純益が2兆円だった。大日本印刷、凸版印刷が出版業界に進出し、書店等を傘下に資本投入や業務提携をおこなっている。今年3月までの売上げはついに2兆円を切った。

 賃上げは苦しい状況にある。回答できるところはサッサと出してきたが、すべてマイナス。これまで夏冬の一時金も同時に出してきたところが、「経営状況を見てから」と留保する会社が出てきた。広告業界も落ちているが、それにすがっている出版業界はそれ以上の落ち込みだ。

 2社が自己破産した。ろうそくが1つ1つ消されていくような感じで、「自分の会社のことで精いっぱい」と、統一ストが盛り上がらなかった。労働条件の切り下げが提案されてきた。外資系では、労働協約を無視し、年収5万ドル以上の人は賃上げしないという提案もあった。

 均等待遇については、出版社の倉庫業などの人が対象になる。出版最賃は時給813円で、がんばっても月額13万円にしかならない。その底上げを何とかしようととりくんだが、「その前に俺たちの生活はどうなるのか」と、足並みがそろわなかった。全体として盛り上がらない春闘だった。昨年は出版労連結成50周年で、業界とも懇談してきたが、シナリオ通りにはいかなかった。産業再生でなく、「新生」せざるを得ない。


全教・北村書記長 格差と貧困を許さず、子どもの「学ぶ権利」を

 今年の春闘総括で、「たたかいが政府を動かした」ということに共感する。5つの課題を掲げてたたかった。とりわけ、貧困と格差が広がる中で、子どもたちの「学ぶ権利」を守るとりくみを重視した。昨年末から大量の労働者が職と住居を失い、中学生が高校に進学できない状況が広がる中、各県で父母と共同し、子どもの進路保障をまもるとりくみがすすんだ。中央では3月、緊急ホットラインを開設。教育費にかかわる相談から緊急要求をまとめ、中央省庁に要請し、地方では行政担当者との懇談会を果敢に展開した。

 4月以降、文科省は、奨学金返済猶予の人数を現在の2.5倍にし、無利子奨学金の枠を2倍にした。また、高校・大学授業料の軽減、幼児教育の無償化などを懇談会で検討しており、7月末までに結論を出すといわれている。国会でも、教育の無償化について政府が言及するようになった。世界でも大多数の国が、大学教育まで無償化にするという国際人権A規約を批准しているが、日本とマダガスカルの2カ国のみが一部留保している。

 近づく総選挙では、教育の無償化を求め、新しい政治の中に憲法の理念を中心に据えることが第一。第二に、夏季闘争に向けて、7.23中央行動を教育基本法闘争の構えで大きく成功させていきたい。文科省の来年度概算要求の中に、
@子どもの学ぶ権利を保障すること、
A教職員定数の問題を大きく突き出し、
B最低賃金の大幅引上げの実現・公務員賃金の改善
をトライアングルでとりくむ。


自治労連・江花中執 『沖プロ』に青年が1200人、非正規のとりくみも前進

 6/12〜14、青年が沖縄に結集し、平和・環境・行政のあり方を学び、大いに遊ぶとりくみを1200人の参加で成功させた。青年が主人公でとりくみ開始したが、当初は青年がいない、青年部は開店休業状態など困難が予想されたが、青年みずからが実行委員会をつくり、本体も次世代育成のため全面支援しようと位置づけ、1000人の目標を超え、天気には恵まれなかったが、大きな成果を上げた。終わった後も、各地で報告会を開催するなど、単組・地方組織の次世代育成・組織強化のとりくみとして引き継いでいくことを考えている。

 自治体職場にも、正規と同じ仕事をしながら、極めて劣悪な待遇におかれている非正規職員が大量に存在する。官製ワーキング・プアといわれている。総務省の08年4月時点での実態調査によれば、「期間の制限なし」が75%、「正規と同じ仕事をしている」が33%の団体に及ぶ。賃金は極めて低く、16%の団体で、最賃または最賃プラスアルファのレベル。46%が「人件費を削減するため」と答え、4割の団体で通勤費すら支給されていない。「有給休暇なし」が9%、 「産休なし」、すなわち妊娠即解雇という自治体が60%、「生休なし」63%、「看護休暇なし」80%、「忌引休暇なし」50%など、驚くべき違法・無法・劣悪な実態にある。

 08・09春闘ではこの問題を大きく取り上げ、300の単組・職種で平均3.4%、時給50円強の改善を勝ち取った。東京都の消費生活相談員は、週4日勤務で賃金月額20万円だが、3万円の賃上げとなった。しかし、本人たちは納得していない。多重債務をはじめ、さまざまな生活・消費相談に応じる極めて専門的な業務であるにもかかわらず、管理職を除くとすべてが非常勤職員だ。消費者庁が設置され、消費者行政の改善が図られようとしているなか、専門性に見合った賃金が必要だと、月額33万円を要求しいったんは合意していたが、全体への波及を恐れる当局によってつぶされ、13万円アップが3万円アップになってしまった。

 四国のある市では、正規700人に対し、非正規が500人、約4割。「非正規のつどい」や残業実態調査を行い、これまで経験加算がまったくなかったのが、1年ごとに日額200円上がる(最高3年)しくみを勝ち取った。保育士では、クラス担任手当として5000円を勝ち取るなかで、4人の組合員拡大につながるなど成果があがっている。ある町では、とくに保育園の民間委託問題が起こり、臨時保育士の劣悪な労働条件がクローズアップされ、5回の学習会・懇談会をつうじ、臨職の組合員を30人以上拡大して月額5700円アップ、また一時金がなかったのを年1.5ヶ月分支給させた。これらとともに組織拡大のとりくみを結合し、春闘期において直営非正規だけで1500人以上の新しい仲間を迎えている。より大きなたたかいにつなげていきたい。


化学一般労連・宮崎書記長 逆風の中、雇用確保と5000円台の賃上げを実現

 09年春闘、とくに賃上げについては史上最低になった。加重平均1人当たり5052円、昨年比マイナス340円。化学一般としてこだわった構造維持分確保+ベアが4支部、構造維持分確保がわずか20支部にとどまる。111支部のうち、20%程度しか確保できなかった。一方、回答が引き出せなかったのが30支部、27%ある。昨年12月から一時帰休、生産調整、賃下げの提案があり、春闘期に4割の支部で合理化提案がなされた。ここまでのことは予想していなかった。化学製品が自動車、電機に結びついていること、裾野の広さをあらためて痛感させられた。

 経理内容、財務の公表、雇用保障協定と同時に、具体的な経営対策を労組として提示し、妥協点を探るとりくみをおこなってきた。政府の緊急雇用調整助成金の勉強会も開催し、雇調金を使えと組合から提案し、賃金を100%保障したうえでの一時帰休もあった。ただ全体としては厳しく、希望退職の提案を受け入れたところもあった。産別本部としても、経営困難な支部へ指導・援助し、個別に対策チームをつくって一緒に解決にあたってきた。結果として、ベアよりも雇用確保が第一義にならざるを得なかったが、倒産・破産による全員解雇を出さなかったのは、一つの救いであり、5000円台の賃上げ確保も、中小産別の中では健闘したといえるのではないかと思う。

 派遣労働者問題について。有害物・危険物を取り扱っているため、そこへ派遣労働者を積極導入しようという経営者は少ない。産別としてガイドラインをつくりたい。労働者派遣法の抜本改正は当然だが、産別として、職場での受入れ・規制の問題にしっかりとりくむ必要がある。とりわけ請負・派遣は事前協議協定・同意約款が必要で、その段階で違法状態をなくすようにとりくんでいきたい。期間を超えて派遣労働を野放しにしないチェック機能を持つと同時に、必ず直庸化する協定をめざしていきたい。正規に対する非正規・派遣の割合を%で協定している支部や、すべて直接雇用にした支部もいくつかある。

 淀川ヒューテックの日系ブラジル人4人の派遣労働者の解雇問題が発生し、24日に大阪地裁で金銭和解した。全国から多くのカンパ・激励をいただいた。労働局の対応はまったくなっていない。調査と指導まではやるが、それ以上は何もしない、できないと繰り返す。法律の改正とともに、各地方・国民春闘共闘としても、積極的に行動提起していただき、われわれも参加していきたい。


全労連青年部・野村書記長 青年自身が派遣切り≠ニのたたかいに立ち上がる

 青年春闘は、最賃と初任給引上げを求めて奮闘してきた。
 最賃闘争については、我々のとりくみをまとめた『最低賃金で1ヵ月暮らしてみました』という本を発売し、実体験として告発した。青年と女性は、2人に1人が非正規であり、その7割が年収200万円以下のワーキング・プアだ。青年部として先頭に立ってとりくみたい。

 組合員である・なしにかかわらず、今春闘は、どう社会に影響を与えることができたのかということを考えている。2つ言いたい。
 1つは、青年の雇用の問題。7月1日に来春卒業予定の就職内定率が発表されるが、内定取消が多発している。就職氷河期の再来は許さないとりくみが求められている。厚労省調査でも、「新卒しかとらない」という企業が5〜6割に達している。4割しか中途採用しない。これでは「青年総非正規化」となる危険すらある。これ以上格差と貧困を拡大させないとりくみが必要だ。

 2つは、派遣切りとのたたかいに青年が立ち上がったことだ。名古屋北部青年ユニオンのとりくみで、東芝デジタル・メディアエンジニアリングで働いていた派遣労働者が正社員化を勝ち取った。団交を申し入れても拒否、是正勧告も無視、金銭解決する気もないという姿勢だったのが、「正社員とします」と言い、年休も派遣期間を通算するという。全国一般や愛知のみなさんが青年を支えてきたことと、この間国民春闘共闘が広げてきた「派遣切りを許さない」という世論が突き動かしたものとしか思えない。トステム、日本トムソン、ニチユ、東海ロジテムでも正社員化を勝ち取っているが、それに続いて、これまで以上の成果を上げたということが、全国は1つとしてがんばってきたとりくみの上にあるということを強く感じている。数字的には確かに厳しいが、ここに素晴らしい経験と教訓がたくさんあるということに確信をもって、夏季闘争をがんばっていきたい。


東京・柴田常任幹事 都内30カ所で相談会を実施。雇用を守る国民共同を

 昨年来、国民共同のたたかいを重視してきた。それが東京における民間産別のたたかいに元気を与えたと思う。8ページに「雇用・失業闘争の通年的たたかいが必要」とある。年越し派遣村以降、東京でも30カ所を超える相談会が取り組まれてきた。職を失うことが、イコール命を失うことになりかねないことが明らかになった。これが画期的な国民共同のたたかいへと発展するのではないか。失業した人を多くの国民が一緒になって支えるというとりくみが広がった。これを労働組合が、どのように次のステップへ進めていくのか、失業者を引き続き雇用労働者に転換するための政策的たたかいが必要だ。

 失業者の雇用保険では、受給しているのは全体の2割程度。若干適用基準が緩和されたが、6ヵ月掛けないと失業保険すら受けられない。全労働の試算によれば、基本手当は日額で生保水準以下だ。たとえば45歳・月収40万円・4人家族(妻=専業主婦、子ども2人)の人が失業した場合、ひと月で19万9980円にしかならない。生保基準は23万円余であり、安心して次の仕事を探せる状況ではない。現在の雇用情勢からみて、最低でも受給日数は180日ないと厳しいといわれている。雇用のミスマッチがあるのであれば、職業訓練のあり方についても、たたかいの中で提言していく必要がある。


自交総連・池田書記次長 国会でタクシー規制緩和是正法案が成立

 タクシーの職場は、大変厳しい現状だ。その中で、いい話が2つある。1つは佐野南海交通における2001年3月からの争議が、全面解決・和解した。悪名高い第一交通が会社を買ったことから問題が発生した。8年と2ヵ月、当該単組、地域、産別が支え、あきらめずにたたかった結果、勝利が勝ち取れたと思う。ご支援に感謝する。

 もう1つは、タクシー業界において2002年2月から規制緩和が行われたが、この負の部分を是正しようという新しい法律が、参院で可決成立した(6/19)。施行期日はまだ決まっていないが、業界誌によると10/1からか。これが施行されると、増車や極端に低い運賃の設定が勝手にできなくなる。地域ごとに協議会をつくり、利用者・住民も含め、事業者・労働者で協議した合意をもとに解決していくという内容だ。この規制緩和を是正する動きは、単に自交総連だけでとりくんで実現したものではない。やはり春闘共闘の運動で、人間らしく働くルールを求める継続したとりくみが、この動きにつながった。法律施行後も、労働組合がしっかり前に出ていかなければならない。タクシー産業も含め、国民春闘の前進に向けて、全力でとりくんでいきたい。

不況下でのたたかい、どう継承するか?

セーフティネット所得水準のあり方論議を

●討論のまとめ ― 小田川事務局長

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 熱心な討論、ありがとうございます。
発言に合わせて何点かにわたってまとめ、ひきつづき各単産・地方での議論を呼びかけます。

1.年金者組合の発言に関わる高齢労働者の貧困について
 地域でのたたかいを進めていくうえで、高齢労働者の貧困問題が大きい。90年代以降、非正規労働者の増大のなかで最も数が伸びているのは65歳以上だ。かつ、最賃法の適用除外になっているし、低い年金とも関わって高齢労働者の貧困につながっている。社会保障の改悪も集中している。一方で政府の政策は、高齢者、女性、外国人労働者の問題で、これを少子化の日本社会にどう受け入れていくかが基本政策になっている。地域における春闘のあり方との関係で、幸い春闘共闘には強力な年金者組合が存在する。ここでの連携が必要だと思う。

2.働くルール署名(大阪の発言)の課題について。
 署名の到達状況は、目標(100万筆)の3割に到達していない。署名の項目は、地域や正規・非正規、官民の実態や運動を考えると、あの文面になる。しかしながら、前進しない。地域春闘のあり方とも関わってくるが、こういう署名のあり方が良いかどうかを含めて議論を深めたい。運動を統一的にすすめ、発展させていくためには共通する取り組みが必要で、その課題を何に求めるかを追求していきたい。

3.教育費の問題(全教)と貧困・格差について
 子ども貧困、格差の世襲ともいう。大きな問題として教育費負担があって、これが労働者の貧困をより深刻にしている。そして次の世代の貧困を招いている。運動化ははからなければならない課題になりつつある。秋にむけて議論を深めたい。

4.不況下での倒産・経営危機のもとでのたたかい(化学一般労連)について
 JMIUでも不況下、倒産が想定されるもとでのたたかい、リストラ「合理化」とのたたかいをどう強めていくのか。90年代に先輩たちは経験しているが、これをいかに継承していくか。夏から秋、来春にかけて避けられない課題であり、各産別の努力と同時に、全体としてもリストラ「合理化」とのたたかいをどう強めていくかについての議論が必要だ。

5.労働者派遣法の抜本改正と非正規雇用の制限について
 3野党案のなかにも、派遣先労働組合への通知という問題が含まれている。派遣先労働組合の責任はもっと議論しなければならない課題で、具体化が必要だ。連合傘下の単産では、非正規労働者の割合を何%以下にするという協定をしているところもある。そういう分野の議論が春闘共闘でも必要と考える。

6.セーフティネット(東京、大阪)の所得水準について
 生活保護から見ていくと、それを下回る制度がいくつもある。指摘された最低賃金も生活保護基準を下回っている。JMIUの光陽シーリングテクノでも、就労期間中の生活保護の申請が認められている。雇用保険給付も生活保護の基準を下回る可能性がある。この問題は、「就労を促進するためにそうなっている」と説明されるが、今の時代にマッチしているかどうか。年金の支給額が生活保護以下で、これでいいのか、などなど。改めてセーフティネットの所得水準のあり方を議論すべき、課題とすべき時に来ていると考える。運動化を含めて議論しあいたい。

7.(自交総連の発言)タクシーなどの規制強化へ
 つぎにトラックの規制強化の議論も動いていると思うが、運輸とかいくつかの分野の規制緩和を突破口に「規制改革・緩和」が一気に進んできたところだが、これを契機にこれまでとは逆の流れをつくりだしたい。

8.全体の討論をまとめるに当たって
 昨年の秋に、労働総研が「正の循環」「負の循環」という表をつくった。労働時間を短縮して雇用を増やせば、内需を拡大して…こう回る。その逆に、今の社会は負のスパイラルで回っていると指摘して逆の表をだした。同じように、労働運動の分野でも「正の循環」「負の循環」があることを改めて思った。全体の運動、日常活動が停滞すると、春闘にも影響してあまり良い結果にはならない。それがまた、職場の組合運動の停滞に繋がっていく。この負のスパイラルをどう止めるか。そうではなくて「正のスパイラル」にどう変えていくか。そのために、それぞれの努力とともに、全体の共同や支援や、共通の課題、統一行動というものをどう発展させていくのか、ひきつづき皆さんと議論したい。当面する夏季闘争を、そういう意味で前に向けての展開になるような奮闘をお互いにしたいと申し上げて、まとめにしたい。


 


 
 貧困・生活危機突破の大運動で、変えるぞ大企業中心社会 




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