2009国民春闘共闘情報
全労連HP

第42号・回答第7号(確定版)  2009年06月23日

産業別・単産別総括表  妥結組合 産業別・単産別総括表  個別回答状況一覧 

 

最終平均は5,926円、1.94%

 定昇分を確保  減額のなか、中小が善戦

最終集計結果の特徴について

2009年6月23日 国民春闘回答集計センター

 1.春闘回答集計センターは6月19日、国民春闘共闘委員会(全労連、純中立労組懇など)の各単産と地方より09春闘賃上げ回答状況の最終・第7回目の報告を受けた。今回は、登録31単産部会中の28単産部会・8地方から報告が寄せられたが、一部、報告漏れがある。

 2.回答+妥結状況は各々集計表のとおりで、その特徴はつぎのような諸点である。

 
(1) 登録組合数 805組合 回答組織数は 28単産・部会と8地方  
(2) 回答組合数 538組合   回答引出し率 66.8%
  うち金額・率回答 387組合 ほか151組合は 「定昇のみ」などで未計算  
  うち上積み回答 96組合   回答上積み率 24.8%
  うち前年実績以上 128組合   有額回答数の 33.1%
  妥結組合数312組合 有額262 +他50 解決率 38.8%
(3) 単純平均 387組合 5,304円 同率 1.77%
  前年同期 398組合 5,788円 同率 1.93%
  前年同期比   − 484円   − 0.16P
  加重平均 8.7万人 5,926円 同率 1.94%
  前年同期 9.4万人 6,720円 同率 2.08%
  前年同期比   − 794円   −0.14P


 4) 回答状況と産業別の特徴について
 09春闘の賃上げ回答状況は、この1カ月の間に建設関連労連、全労連全国一般、全証労協、映演労連などの組合が新たな回答を引き出してきた。多くの組合は夏季一時金の回答引き出しとともに奮闘しているが、有額回答数は387組合で、このほか「ベアゼロ」「定昇のみ」や「回答延期」など数字にならない日本語回答が151組合(前年は104組合)に見られ、計538組合の実質的な回答引出し率は67%になる。3分の1の組合がいまだ回答に値するものを引き出せない状況である。

 経済危機の進行のもとでたたかわれた09春闘の最終的な特徴は、@組合員ひとり当りの加重平均が5,926円、1.94%となり定期昇給分(2%弱)をほぼ確保できたこと、A1組合当りの単純平均では前年同期比で484円減、引上げ率では0.16ポイントのマイナスとなり、5年ぶりに減額を押し付けられたこと、B計96組合(25%)が第2次、第3次と回答を上積みさせてきたこと、C128組合(33%)が前年実績以上をかちとったことなどである。

 産業別にみると、前年実績を金額・率ともに超えているのは(比較可能な24単産部会中)、建交労・製造と建交労・運輸の2つで、金額のみ超えているのは建交労・建設と日本医労連の2組織、また引き上げ率のみプラスになっているのは建設関連労連、繊維産労、全労連全国一般、映演労連の4組織である。これらの単産では、同様に厳しい状況のなかで奮闘した結果が数値に表れたといえる。

 5) 最高額を獲得したのは建交労・建設の組合の1万6750円。最高率は日本医労連の組合の6.14%、最高回答次数は地方マスコミ(新聞)の組合が第6次回答、JMIUと化学一般労連・紙パ、全国一般製造の各1組合が第5次の上積み回答を引き出した。「1万円以上」の回答は計26組合(08年は30組合)になった。


 3.妥結組合の状況について
 1)妥結数は312組合(有額262+その他50)で前年に比べ13組合増えた。それでもなお全体では39%の低水準である。解決がすすんでいるのはJMIU、化学、繊維などの製造業と、鉄道、検数、倉庫などの交通運輸業、出版、映演などのマスコミ関係業、日本医労連などで、逆に未解決が多いのは「人勧準拠」を含め農協、建設、運輸、卸売・小売業と金融業の各単産、私学関係、特殊法人の単産など。未解決組合の多くは夏季一時金とセットで解決をはかるものと思われる。また、前年同期比マイナスの額・率は、「回答」組合が「妥結」に転じるに従い順次軽減される。

(2) [妥結・妥結方向]数 賃上げ額 同率 前年同期比(額) (率)
単純平均 262組合 5,379円 1.72% −636円 −0.23P
加重平均 5.7万人 5,834円 1.81% −1459円 −0.30P

 4.各団体の賃上げ最終集計の結果は、以下のとおりである。
1) 連合の妥結状況(7月03日現在。第6回最終集計)

  妥結組合数 加重平均 単純平均
集計方式 組合数 人数(万) 金 額 率(%) 昨 年 率(%) 金 額 率(%) 昨 年 率(%)
平均賃上げ 3993 191.5 4,848 1.67 5,523 1.88 3,470 1.37 4,212 1.68
35歳P 84 7.1         6,092 2.21 5,988 2.22
30歳P 57 2.5         6,804 2.72 6,631 2.72
09中小共闘 2688 25.9 3,590 1.45 4,255 1.73 3,353 1.38 4,029 1.67

2) 日本経団連調べの妥結状況(7月31日現在。最終集計)

  回答+妥結 加重平均 単純平均
集計方式 社 数 人 数(万) 金 額 率(%) 昨 年 率(%) 金 額 率(%) 昨 年 率(%)
大手企業 110 - 5,758 1.81 6,271 1.95 5,339 1.76 5,617 1.84
中小企業 566 - 3,486 1.38 4,184 1.66 3,234 1.31 3,957 1.60

3) 厚生労働省調べの妥結状況(9月10日発表)

 加重平均   主要308社   5,630円  1.83%  前年比▲519円  ▲0.16P



 5.09春闘・賃上げ闘争をふりかえって
 09春闘をふりかえってみると、第一に、経済危機で業績が急激に悪化した自動車、電機などの大企業が4年ぶりに賃上げゼロ、電機では定期昇給の実施を凍結する企業もあり、加えて、夏冬の一時金を大幅(30万円前後)に削減するなど、労働者の期待を裏切る低額を押し付けて決着したことである。第二の特徴は、春闘共闘の先行組合が日程を前倒しして相場形成を図ろうとしたものの、中小企業の経営はいっそうきびしく、低額回答の壁がかつてなく厚かったことである。第三は、それでもなお、春闘共闘の各組合が「3・12」「3・23〜26」「4・21〜23」「4・28」など、3月、4月の統一行動(ゾーン)を背景に、上積みをめざして粘り強くたたかってきたことである。
 第四の特徴はこうしたなか、とりわけ重視してきたパート・非常勤の賃上げをはじめ、企業内最賃の改定・協定化や子育て支援、均等待遇、正社員化など、すべての労働者を視野に切実な要求の実現をめざして前年に迫る成果を収めてきた。
 国民春闘共闘は来る6月26日、第2回単産・地方代表者会議をひらき、09春闘中間総括案について討議し、改めて賃金闘争の再構築をめざす。また、当面する夏季一時金の増額、最低賃金時給1000円以上、公務員労働者の賃金底上げと改善や、国会における労働者派遣法の抜本改正など夏季闘争強化のために奮闘するものである。

(以 上)


 
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