2008国民春闘共闘情報
全労連HP

第 31 号  2008年05月08日

 

 第3回 08春闘進ちょく状況調査

回答引出し38%、妥結は15%

決着つかず。連休明けに交渉本格化

 国民春闘回答集計センターは2日、全単組を対象とした春闘進ちょく状況の第3回調査を実施した。「4・23全国統一行動」や4月末決着をめざす統一行動直後の段階で25単産から4028組合(前年同期は26単産4039組合)の報告があった。その特徴は、要求提出の割合が70%(昨年は65%)、回答引出しが38%(同35%)、妥結・妥結方向が14.9%(同13.2%)で、スト実施が17%(同16%)などとなった。前年と比べて、要求提出、回答引き出し、賃上げ額・率など殆どの項目が改善されているものの、なお未解決が多く、5月闘争の強化が求められる。

(別表参照)


要求提出組合は70%に改善。なお指導中

[調査組合数、要求提出数]

 調査組合数の報告計は4028組合(25単産)で、ほとんどが中小労組である。組合数が多いところは建交労の792組合、福祉保育労540組合、日本医労連436組合、全労連全国一般380組合、自交総連329組合、JMIU311組合、全農協労連283組合など。なお、現時点で回答の出ていない全国私教連(約310組合)は調査対象からはずしている。今回の特徴点は以下のとおり。
 要求提出は、計2830組合で全体の70%(前年同期65%)となり、一昨年の水準まで回復した。単一組織の検数労連、通信労組、全損保、郵産労のほかに、化学一般労連、繊維産労、合同繊維、特殊法人労連の8単産が100%で、全倉運93%、出版労連90%、金融労連と全証労協の89%、民放労連83%、などが高率である。歴史的に「決算・予算待ち」「地域相場待ち」などの実情で要求提出数の低い単産では各々「4月中の提出」を指導中で、一定の改善が期待される。


回答引出しはいまだ38%。平均5110円

[回答引出し、妥結数]

 回答引出しは計1541組合で、「4・23第2次全国統一行動」「4月末決着をめざす統一行動」を経て、ようやく38%(同35%)の水準に達した。遅れている要因は、景気減速のもと中小企業を中心に「業績不振」「先行き不安」という現実や、それを悪用した回答延期、地域や業界の相場待ち、決算・予算待ち、さらに大手企業の回答を睨んで「成果は一時金で」という傾向が指摘されている。こうしたなかで、回答内容を問わなければ繊維産労と合同繊維、検数労連、通信労組、郵産労、特殊法人労連の6単産が100%で、化学一般労連の90%、出版労連82%、全倉運72%、民放労連71%、JMIU69%などが高率である。なお、全農協労連・単協労、建交労・建設、建設関連労連、自交総連、全労連全国一般、映演労連や金融、私学関係の回答引出しは連休明けから本格化する。

 回答内容では、「ベア獲得」が327組合で、回答のあった1541組合中の21%に過ぎない。こうしたなかで、検数労連は2組合で100%、建交労は175組合で77%、出版労連は71組合で70%、合同繊維は4組合で67%などと、高い率でベアを獲得している。但し、これらの単産の定期昇給分は数百円から2000円、3000円の水準である(出版労連を除く)。5000円以上一定額の定期昇給制度を堅持している単産では、出版労連に加え、日本医労連の18組合が8%、民放労連の12組合が12%に当たり、多くの組合が「ベア獲得」を目標になお奮闘している。

 不誠実回答では、「定昇あり・ベアゼロ」が相変わらず405組合と多く、「定昇カットなど」が10組合ほど見られる。また、「定昇なし・ベアゼロ」は124組合、「定昇なし・賃下げ」も15組合と急増している。こうした低額・不当回答は計554組合(昨年は532組合)に達している。なかでも、通信労組が100%、全倉運が65%、民放労連が63%と高率で、日本医労連45%、合同繊維33%などとなっている。このほか、全証労協や生協労連にも多い模様である。各単産はここにきて、「未解決組合対策」などを打ち出し、「ベア獲得」に執着しつつ納得できる解決をめざしている。


[平均賃上げ額・率]

 賃上げ額または引き上げ率が明確な1147組合の単純平均について、賃上げ額は5110円、引き上げ率は2.04%(前年は4855円、1.99%)となった。前年同期比で金額が255円、引き上げ率で0.05ポイント上回っている。額・率とも全体平均を上回って善戦しているのは、建設関連労連、JMIU、化学一般労連、金融労連、民放労連、映演労連、日本医労連などである。また、産別平均が前年同期の水準を上回っているのは、映演労連の+2037円、金融労連の+2003円をはじめ、民放労連+677円、全労連全国一般+365円、検数労連+326円、建交労+268円、化学一般労連+228円、JMIU+129円などである。

 うち妥結または妥結方向に達しているのは599組合・14.9%で、前年比(534組合・13.2%)で微増ながら低水準である。妥結しているのは「純ベア確保」「前年実績以上の回答」や「定期昇給分を確保」した組合が中心。「妥結・妥結方向」に達しているは繊維産労、合同繊維、検数労連と郵産労の100%、「全体としてほぼ集約方向」(60%以上)に向かっているのは見当たらず、比較的高率(30%以上)なのは化学一般労連の59%、JMIUの42%、全倉運の33%、出版労連の31%である。このほかの単産では、前述のようなきびしい回答内容のために未解決が多くなっている。


スト権の確立は57%に。実施は17%と低調

[スト権確立、実施数]

 スト権を確立したのは1806組合で、調査計の実質で57%(昨年は55%)にとどまっている。1カ月前の3月末時点の49%から見れば改善されてきたが、相変わらず低水準の要因は、確立数が30%に満たない単産がいくつかあるように、産業別にバラツキが見られることである。高率で確立したのは、検数労連、通信労組、全損保と繊維産労でともに100%。特殊法人労連が89%、合同繊維83%、JMIU77%、建交労75%などが高率であった。
 うち、ストライキ実施組合数(指名スト含む。2回実施は2ポイント)は計528組合・17%で、昨年(521組合・16%)とほぼ同水準である。集中回答翌日の「3・13第1次全国統一行動」と3月末の産業別統一行動までで422組合の報告があり、その後、4月上旬の産業別統一行動、「4・23第2次全国統一行動」などで106組合増えた。これまでのところ、JMIUが「3・5リレースト」と「3・13統一スト」を中心にのべ170組合・55%、通信労組は全支部が「3・13統一スト」に結集して100%、検数労連も100%。このほかでは全印総連27%、映演労連22%、日本医労連20%などが比較的高率でストライキを決行し奮闘している。


5月闘争で特別対策を。最賃・人観闘争とも結合して

 以上の数値と各単産からの報告を総合すると、春闘の進ちょく状況は「要求提出」をはじめ「回答引き出し」「平均賃上げ額・率」などが連動して改善されるなどの前進面が顕著になってきた。また、「スト権確立」も微増となったが、実施は相変わらず低調傾向のまま推移している。同時に、登録組合の回答水準でも単純平均がプラス、加重平均がマイナス(中堅労組の伸び悩み)という状況で推移し、パート賃上げ、企業内最賃でも善戦しているものの飛躍的な前進には至っていない。各単産は要求提出の徹底を含む4月末決着の産業別闘争を経て、連休明けの5月闘争強化や未解決の特別対策を確立しつつあり、地方・地域も支援・連帯の輪を広げることが改めて重要である。
 最賃・人勧闘争も本格化しつつあり、産別本部は夏季闘争の準備に入っていく。国会における後期高齢者医療制度の撤廃、労働者派遣法の抜本改正などを求める取りくみとも結合しながら精一杯奮闘しあいましょう。





08春 闘 第3回 進 ち ょ く 状 況

2008年5月07日現在 ●国民春闘共闘委員会

単産名 調査組合数 スト権 春闘要求 回答引出し 平均賃上げ スト実施組合 妥結・妥結方向
確立数 提出数 組合数
全農協労連 283 調査中   155 55% 90 32% 20 3430 0 0% 23 8%
建交労 792 592 75% 592 75% 226 29% 226 3129 126 16% 131 17%
建設関連労連 45 4 9% 18 40% 6 13% 6 8009 0 0% 4 9%
JMIU 311 239 77% 239 77% 216 69% 216 5733 170 55% 132 42%
化学一般労連 96 38 40% 96 100% 86 90% 74 5454 3 3% 57 59%
繊維産労 1 1 100% 1 100% 1 100% 1 5727 0 0% 1 100%
合同繊維 6 5 83% 6 100% 6 100% 6 3798 0 0% 6 100%
自交総連 329 213 65% 239 73% 67 20%     4 1% 19 6%
検数労連 2 2 100% 2 100% 2 100% 2 3395 2 100% 2 100%
通信労組 44 44 100% 44 100% 44 100%     44 100% 0 0%
全倉運 43 7 16% 40 93% 31 72% 31 4920 0 0% 14 33%
生協労連 173 20 12% 93 54% 71 41% 35 3512 1 1% 4 2%
全国一般 380 260 68% 260 68% 94 25% 64 4890 0 0% 27 7%
金融労連 81 23 28% 72 89% 7 9% 6 6624 0 0% 0 0%
全損保 13 13 100% 13 100% 2 15%     0 0% 1 8%
全証労協 18 13 72% 16 89% 7 39%     3 17% 5 28%
外銀連 11 調査中   5 45% 0 0%     0 0% 0 0%
全印総連 135 33 24% 80 59% 67 50% 61 4608 36 27% 18 13%
民放労連 136 48 35% 113 83% 97 71% 97 7243 24 18% 40 29%
出版労連 125 47 38% 113 90% 102 82% 83 6366 23 11% 71 31%
映演労連 18 13 72% 9 50% 4 22% 4 8078 4 22% 0 0%
日本医労連 436 182 42% 331 76% 214 49% 214 5521 88 20% 23 5%
福祉保育労 540 調査中   283 52% 91 17%     0 0% 20 4%
郵産労 1 1 100% 1 100% 1 100% 1 5653 0 0% 1 100%
特殊法人労連 9 8 89% 9 100% 9 100%            
報告計・25単産 4028 1806 57% 2830 70% 1541 38% 1147 5110 528 17% 599 14.9%
前年5/08 計・26単産 4039 1750 55% 2620 65% 1417 35% 1097 4855 521 16% 534 13.2%


注、報告計欄の平均賃上げ額は組合数の報告があった金額の平均(1組合あたり)です。




 
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