2005国民春闘共闘情報
全労連HP

第 17 号  2006年3月24日

 

単純平均5,814円、1.93%に

産業別統一行動で11単産が前年比プラス

 3月第1次回答などの特徴について 

2006年3月24日 国民春闘回答集計センター

産業別・単産別総括表  個別回答一覧  非正規賃上げ総括表

 1.春闘回答集計センターは3月23日、国民春闘共闘委員会(全労連、純中立労組懇など)各単産より3月中〜下旬に引き出した各単産の第1次回答を中心とする第2回目の報告(先行組合の2次〜3次回答を含む)を受けた。これには、18単産部会から196組合の報告が寄せられた。

 2.これまでの回答+妥結状況は総括表のとおりで、特徴はつぎの諸点である。

 
(1)登録組合数874組合33単産・部会中18単産が引き出す 
(2)回答組合数196組合引出し率22.4% 
 うち2次回答以上33組合上積み率16.8% 
 うち前年実績額以上104組合回答数の53.1% 
(3)単純平均額196組合5,814円同率1.93%
 前年同期170組合5,371円同率1.80%
 前年同期比 +  443円 +0.13P
 加重平均額4.3万人5,957円同率1.87%
 前年同期3.6万人5,997円同率1.95%
 前年同期比 −   40円 −0.08P

 (注)前年同期は賃上げ集計を行っていないため、05年3月17日と対比した。


33組合が回答上積み、104組合が前年実績プラス

 4) 全体の傾向について
 1) 第1回集計(3月16日)以降、回答指定日を迎えた単産もあり、1週間の取りくみで回答引き出し数が53組合増えた。この間、新たに回答を引き出した単産は、化学一般労連、同・紙パ、合同繊維、建交労・鉄道、外銀連の5単産部会で、引出し数が増えてきたのはJMIU、全国一般・製造、全印総連、出版労連、民放労連、地方マスコミ(新聞)などである。

 2) 今回は、新規の超低額回答と先行した組合の上積み回答が同時に報告され、単純平均は5814円(1.93%)、一人当たりの加重平均は5957円(1.87%)になった。前年同期(3/17)との比較では単純平均が443円増加したのに対して、加重平均は60円の減額となった。これは、単産ごとの前年同期比で比較可能な14単産・部会中プラスが11組織であるのに対して、マイナスが3組織もあることとも連動している。前年同期比でプラスになっているのは、製造業、マスコミ関係の各単産と建交労の運輸、鉄道などである。

 3) 06春闘は、大企業が好調な海外輸出と設備投資、リストラ効果などを背景に過去最高益を記録しているもとで、労働者の期待を裏切る「500円〜1000円のベア」または「ベアゼロ」を押し付け、業績向上分は一時金に上乗せして決着している。こうした回答傾向が中堅中小にも浸透しつつあるなか、春闘共闘各組合は統一行動を背景に、回答引き出し、上積みをめざして奮闘してきた。
 その結果、第1次回答の水準は、前年同期を上回っているものの、定昇相当分が多く、一部にプラスアルファが見られる程度で4000〜8000円台に集中している。定昇制度のない企業では1000〜5000円台が多数を占めている。とくに、中小では原油高、素材・鋼材価格の高騰を価格に転嫁できず、取引先からのコスト削減圧力もあって、業績回復に至らないことが超定額回答として表面化している。商業・サービス分野では引き続く消費不況下の業績不振、医療分野では診療報酬の引き下げなどを理由とした不当回答が見られ、これらの単産を中心に「ベアゼロ」「回答延期」「有額回答なし」など金額提示のない回答は50組合を数える。こうしたことから、賃上げ額を前年同期比で見ると、産業別にも産業内でもプラスとマイナスの二極化の様相を呈しているのが特徴である。

 4) 3・16全国統一行動をたたかった国民春闘共闘参加組合は、3月20日の週にも集中団交や統一行動などを配置し、回答引出し・上積みを求めてたたかってきた。その結果、JMIU、化学一般労連、建交労運輸、地方マスコミなどの33組合が第2次〜第4次の上積みをかちとり、全体水準の引上げに貢献している。

 5) この間「1万円以上」の回答が16組合報告されている(登録外は除く)。これまでの最高は出版労連の組合で1万5600円である。前年実績額との比較では104組合がプラス(同額23組合含む)をかちとり、最高は建設関連労連の組合で前年比プラス4400円の1万3000円。回答次数ではJMIUの組合が第4次回答を引き出している。


 3.パート等の賃上げ、企業内最賃の回答状況について
 1) パート・アルバイト等の賃上げも回答引出しがすすんでいる。3月23日現在、生協労連をはじめ、建交労、JMIU、全労連全国一般、出版労連、日本医労連などの48組合が時間額や日額の引き上げ回答を引き出した。今のところ、パートの時間額アップは5円、10円の報告が多く、JMIUや日本医労連の技術職・専門職では40円、50円も見られる。一方、生協労連のなかには「定昇のみ」や「マイナス」というのもある。これまでの平均引き上げ額は44組合平均6.8円である。

 2) 企業内最賃の協定状況は、建交労・運輸をはじめ、JMIU、生協労連、全労連全国一般、全印総連、出版労連などが月額を中心に日額、時間額を改定し68組合が協定した。うち、金額引き上げは23組合、前年同額44組合で、減額が1組合見られる。今のところ、月額平均ではJMIU15万0926円、建交労・運輸17万3825円、全印総連15万8500円、出版労連16万1357円の水準になっている。

 4.他団体の賃上げ集計結果について
1) 3月23日現在、連合は回答+妥結集計を発表していません。

2) 3月23日現在、日本経団連調べの第1回回答+妥結集計は以下のとおり。

  回答+妥結 加重平均 単純平均
集計方式 社 数 人 数(万) 金 額 率(%) 昨 年 率(%) 金 額 率(%) 昨 年 率(%)
大手企業 55 - 5,798 1.74 5,301 1.59 5,010 1.60 4,833 1.54



3月決着。「生活改善へ」回答引き出し・上積みを

 5.国民春闘共闘に結集する各単産は、今年こそ本格的な賃金闘争をと呼びかけ、すべての労働者の賃金底上げと「純ベア獲得」をめざし、「3・16」と3月下旬の産業別統一行動などで奮闘してきた。3月末決着をめざすたたかいも計画されている。しかしながら、引き続ききびしい経営環境におかれている中小企業では賃上げに対するガードが固く、個別労使では解決できない実態もあり、多くの中小労組のたたかいは予断を許さない状況にある。
 この間、国民春闘共闘委員会は第4回常任幹事会(3/17)をひらき、春闘後半戦にむけて「生活改善につながる賃上げ」をかちとるための意思統一をはかってきた。また、全労連も23-24日開催の第12回幹事会で「春闘後半戦の闘争強化」を確認し、4・14全国統一行動を集中してたたかうことに加え、決着をはかる4・26統一行動の配置を決めた。これらを受けて、各単産でも戦術委員会や執行委員会を開催し、改めて日本経団連の「春闘個別化」「低額押さえ込み」攻撃を乗り越えて、定率減税の縮小廃止など新たな負担増のもとで、生活改善できる賃上げをめざし、執念をもって回答上積みと諸要求実現にむけ、粘り強くたたかう決意を固め合おうとしている。

(以 上)






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