2005国民春闘共闘情報
全労連HP

第 35 号・総会特集(確定版)  2005年07月09日

 

春闘変質打ち破り、くらしと平和を追求

ベア、パート賃上げの成果を確認

 国民春闘共闘  第2回代表者会議で春闘総括

 国民春闘共闘委員会は7日、東京・ラパスホールで第2回単産・地方代表者会議をひらき、「05春闘の経過と到達点および今後の課題(案)」について討議、確認しました。50年の節目の春闘として、ベアの追求、パート賃上げでの成果を確認し、日本経団連の「春闘終えん」論、大企業労使の一時金シフトのもとで、くらしと平和を守る「国民春闘路線」を評価。ひきつづく夏季闘争では最低賃金の大幅引上げ、公務員賃金(人勧)の改悪阻止とともに、郵政民営化法案を阻止する大運動を確認しました。




4年ぶりの前年比増額を評価。郵政法案阻止へ全力で

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 総会には19単産・団体・5地方の代表ら55人が参加。代表幹事あいさつで老田弘道氏は、(1) 05春闘の要求提出組合が全体の77%に達し前年比4ポイント改善されたこと、(2) 平均賃上げ額が6298円・1.99%になり4年ぶりに前年実績を432円上回ったこと、(3) パート賃上げ169組合の報告では金額回答の平均が11.0円になったことなどを紹介し、「“賃上げなど論外だ”という攻撃のなかで私たちが要求を出さなかったら、こうした成果は得られなかったことに確信を持とう」とあいさつ(写真。あいさつ要旨は別掲)。今後の課題について、みんなが参加する組合運動づくり、中央・地方春闘共闘の役割の再検討を指摘しました。当面する運動では、郵政民営化法案阻止、平和憲法を守るたたかいに全力をあげるとともに、最低賃金・人勧闘争への結集を呼びかけました。
 岩田幸雄事務局長が「05春闘の経過と到達点および今後の課題(案)」を提案。賃金闘争の到達点では、別添の「国民春闘情報」を紹介しながら、(1) 要求提出、スト権確立、回答・妥結状況の到達点、(2) パート時間額の引上げと均等待遇の前進、(3) 企業内最賃・地域最賃の取りくみ状況、(4) 公契約・公務員賃金の取りくみ、(5) 各単産の産業別重点課題の前進、(6) 成果・業績主義賃金制度への取りくみについて、到達点と課題を明らかにしました。
 リストラ反対、働くルール確立の闘いでは、CSR(企業の社会的責任)確立の課題で「企業通信簿チェックリスト」のアンケートはがきが有名大企業の労働者などから542通も返送されていることや、1・20日本経団連包囲行動をはじめ、2・11トヨタ総行動、2・23地域総行動などで、大企業の社会的責任を追求してきた実績を紹介し、国鉄・NTT闘争と郵政民営化反対の闘いをひきつづき追求することを呼びかけました。社会保障・消費税など国民的運動、憲法改悪反対・核兵器廃絶の課題では、この間の署名活動の前進、職場・地域からの共同の広がりなどを紹介し、ひきつづきくらしと平和を守る運動の強化を強調しました。統一行動の配置と課題では、日本経団連や大企業申入れの実現、地域総行動の波状的な設定(5月にも)、要求アンケートの抜本的な改善・強化、集中回答指定日への結集のバラツキ解消、4月の統一行動での力の集中などをあげ、06春闘にむけて議論を深めるよう要請しました。

官民一体で7・14&7・26最賃・人勧闘争の成功へ

 岩田事務局長は最後に、05夏季闘争における具体的取りくみを提案。憲法・教育基本法改悪反対の取りくみとして、7月30日の「9条の会・有明1万人集会」への結集、公務員賃金・最低賃金闘争の強化として、7月14日の第3次最賃デー・厚労省前665分ハンスト(のべ1000人規模)、7月26日の第4次最賃デー・厚労省前座り込み&人事院等への要求行動(6500人規模)、8月第1週の人事院前&地方事務局前座り込み行動を官民一体で成功させる、「郵政国会」への結集と「労働契約法制の大改悪」に反対する緊急FAX要請の取りくみ、NTT・国鉄闘争・野村證券など大企業の社会的責任の追求として、7月22日の朝日火災争議をかたせる7・22総行動(トワイライト行動)への大規模参加などを呼びかけました。なお、国民春闘共闘の06年度総会は10月26日に開催する予定です。




 

中小企業の春闘、大企業のCSR追求

パート賃上げ・地域春闘・公務員の賃金闘争…

 官民・地方の14名が発言し方針補強

 討論には全損保・朝日火災争議団をはじめ14単産・地方の代表が発言に立ち、中小企業における賃金闘争、大企業のCSR追求、パートの賃上げ、地域春闘、最賃闘争と05人勧にむけた公務員の賃金闘争などをめぐって、到達点と課題、要望意見をのべ方針を補強しました。以下は発言要旨です。

 民間・中小企業における賃金闘争については、建交労、JMIU、民放労連、化学一般の代表が発言しました。建交労は、「要求アンケートを重視しているが、回収数は年々下がってきている。これは大変なことで、職場に新しい力、幹部を生み出さないといけない。アンケートは本人と家族が参加できるし、要求の多数派になれる。経営実態アンケートは大幅に増え、重大事故の背景をえぐる結果が出た。マスコミを通じて荷主の横暴、規制緩和が原因であることが判明し、下請二法の適用、独占禁止法の特殊指定につながった」と報告。また、東京、静岡、大阪、福岡での集団交渉・対角線交渉で企業内最賃や定年延長などの制度的要求が前進していること、大企業のCSRを追求する運動で大手ゼネコン20社との中央集団交渉が実現したこと、あわせて自治体のCSR追求でも清掃労働者の雇用を守ることができたことを紹介しました。
 JMIUは、「“すべての仲間の賃上げを”のスローガンでたたかい、80%に当たる221組合が平均で5234円、1.87%の賃上げを勝ちとった。青年の賃金を改善することを意識的に取りくみ、青年部の活性化に繋がった。非正規の仲間に視野をひろげ、企業内最賃、均等待遇を要求して交渉が本格化しはじめた」と報告。組織拡大では2年連続して現勢の実増をかちとっていること、職場の憲法闘争が進まないので8月に東西で「憲法道場」を開催することを紹介しました。
 民放労連は、「春闘・賃金闘争の柱に“ベアゼロの打破”をかかげ、ベア獲得組合が03年に7組合、04年に12組合、05年には19組合に増え、今年は全組合数の2割が勝ちとった。構内最賃として日額1万円、年収300万円以上を要求した。企業内最賃というより公契約に近い運動だ。管理職にも改めて派遣・請負・契約などの低さを知ってもらい、某キー局では全労働者のデータベース化に動き、監督署も協力的だ」と報告。国や地方自治体が指定する放送局の指定公共機関問題については、経営側が「戦争協力」という問題意識を持たないなか、3分の2の組合が統一スト権を確立し、労組として問題提起した結果、局として回答を保留したり、拒否するケースも出てきた。憲法改悪の動きも含めメディアの役割は大きい。ひきつづき注視していきたいと述べました。
 化学一般は、「定昇制度が不十分な中堅・中小で、平均5500円程度の賃上げを勝ちとってきたが、賃金水準は年々低下しているのが実態だ。04年6月時点で平均年齢39歳の労働者の賃金水準は32万4700円、03年より2900円減、03年は02年より1700円減であった。賃金カーブを維持するのに、いくらの賃上げが必要かの調査が不十分であった。実際に調べたら、5200円から7000円の賃上げが必要となった。ある職場では5500円で妥結したが、実際には6800円が必要であった。152組合の平均は5379円の賃上げで、昨年を若干下回った。うち8組合がベア獲得、37組合が現状維持、52組合が現状を下回る結果となった」と報告しました。今後の課題として、(1) 「生活向上は一時金でなく、賃金で」という方向の重視、(2) 統一回答指定日は中小に見合う日程を、(3) 中高年雇用安定法にもとづき「希望者全員の雇用延長」を勝ちとる方向性を示してほしいと要望しました。

 生協・農協での春闘について。生協労連は、流通業界・大型店グループの浮沈状況にふれながら「生協は『2010年ビジョン』を発表し、人件費の構造改革を主張して定昇と一時金のカットが行われてきた。成果主義が入ったことによって、考課基準の不透明さや考課者の資質が問われている。その結果、賃上げ集計では『定昇のみ』が増えて平均金額の集計ができない。統一闘争は地域生協と大学生協で日程が合わなくなっている」と問題点を指摘。一方でパート・臨時労組連の春闘について、パート賃上げとともに「慶弔休暇の実現」など均等待遇に一歩前進が見られたと報告しました。
 全農協労連は、「春闘の到達点は、単協労で270組合中155組合が回答を引き出し、平均額は4000円台の後半になる。連合会では7割の組合が要求提出し、回答平均は5800円、2%の水準だ」「全国連を含め『定昇』が多く、金額確認ができない。目標管理の導入によって、昇格しないと次の等級に上がらないので仕事に縛られベア闘争にならない」と報告。そのうえで、成果主義の運用に歯止めをかける必要性を強調しました。「山口ではストを打って成果主義の導入を阻止、北海道では1円でも給与表を書き換えようと、1円のベアを勝ちとった。ハードルは高いがそれが春闘だ」と述べました。BSE問題・食の安全・自給率向上を求め40万署名を国会に提出した運動や、アメリカ調査団派遣の取りくみを紹介しました。

 今春闘で重視したCSR・大企業包囲のたたかいでは、全損保・朝日火災争議団、通信労組、化学一般の代表が発言しました。全損保・朝日火災争議団は、「かたせる会」の発足と、中央・地方での野村包囲行動への協力に感謝。6・28野村ホールディング株主総会会場(ホテルオークラ)前での宣伝行動と、総会で全損保・吉田委員長が争議を放置する経営陣の責任を追求したのに対し、経営陣が「朝日火災は関係ないので総会の議題になじまない。…社長のことは知っている。…経営には不介入を貫く」などとウソと混乱の答弁を紹介しました。そのうえで、中労委が解決に向けて次回の9月5日に「和解案を示せるよう努力したい」と強い意思を表明していることを報告し、当面7月22日のトワイライト行動へ各単産の協力を要請しました。
 通信労組は、「11万人合理化に反対するたたかいで、不当広域配転の4名を職場に戻し、奥村さんの過労死裁判勝利を受けてさらに13名を元の職場に戻させた。組織拡大では定期大会以降27名を拡大、契約社員11名の組織化もすすみ、大阪では組合加入を発表したとたんに雇い止めを撤回させた」と報告。また「企業年金の減額を許さないたたかいでは、NTTがいまだに減額申請をできない状況に追い込んでいる。6/13参議院・厚生労働委員会で吉川春子議員が追及し、減額するような財務状況にないこと、OBに対する同意取り付けが乱暴で個人情報保護を踏みにじるものであることが明らかになるなど、各分野でたたかいが前進している」と報告しました。
 化学一般労連よりフジカラー労組の事業所閉鎖・全員解雇反対のたたかいの現状について。東京高裁で「控訴棄却」の不当判決をうけ、16名の争議団は中労委での和解交渉に臨んでおり、ひきつづき闘争支援が要請されました。

 地域春闘については、大阪、神奈川の代表が発言しました。大阪春闘共闘は「労働者は必要な決起の提起を待っているのではないか。JR西日本の事故のあとの全駅頭宣伝には参加者が多く、はがき付チラシを配布し300通以上戻ってきた。明日から郵政民営化反対でも宣伝カーを府下に走らせ、参議院要請も強めたい」と述べ、全労連・春闘共闘に指導性を求めました。また、社会世論と結びついた要求闘争は前進しているとし、「パート賃金の底上げで20組合ほどが要求前進をかちとった。均等待遇の世論づくり、実態アンケートのなかで、経営側も同意せざるを得ない状況になっている。公正・民主的な流れは止められない」としたうえで、正規の底上げ1万円は前進していないと指摘。今後の課題では「男女共同参画社会の法改正に合わせた運動、女性の要求に着目した運動づくりを、労働者全体の要求として取りくむことが大事ではないか」と述べました。
 神奈川春闘共闘は、大企業の社会的責任を追求するCSR春闘として、「2・23地域総行動、3・16回答指定日の職場激励行動をはじめ、大企業門前でのティッシュ配布、大企業との懇談、トヨタ総行動などを取りくみ、中小企業の経営者を激励してきた」と報告。賃金闘争では「民間9単産中7単産が昨年を上回る回答を引き出した。しかしゼロ回答の職場が23.8%もある。賃下げ攻撃は底をついているが、軽油価格や大手との公正取引問題では業界団体要請も行ってきた」「公契約との関係では業界・経営者団体に生活保護を上回る賃金を求めて懇談してきた。中小企業家は『労働力確保のためには1000円くらい支払う必要がある』と言う。均等待遇、底上げの課題も重視してきた。パート・派遣・下請労働者の賃上げ・均等待遇の要求を16組合で取りくみ、6組合が具体的成果をあげた」と紹介しました。統一行動の問題点について、「2・23地域総行動で“見える春闘”をつくりたいが、中央単産の行動が入り組んで調整が難しい。全労連・春闘共闘でも十分検討してほしい」と要望しました。

 山場をむかえる最賃闘争と公務員の賃金闘争については、公務労組連絡会、全教、全労連の代表が発言しました。全労連からは、最賃と人勧を結合した7月山場の闘いへ公務民間一体の大結集が呼びかけられました。公務員の賃下げ問題では、「公務員の賃金に労働者分断の査定が入ることにより、公務員組合の弱体化が狙われる。これは民間組合としても他人事ではない。賃金の波及効果から考えてみても、03年にマイナス勧告を受けたとき、04春闘での民間賃金交渉や、中央・地方の最賃審議会の場で多くの悪影響が生まれた。成果主義導入についても、民間で悪評高く一部で撤回されているもとで、公務に導入されれば民間にも再び悪影響がはね返ってくる」と指摘。次に最低賃金法ついて、「06年通常国会での法案改定に向けて準備がはじまっている。『生計費原則』は最賃法に明記されながら無視されてきたが、この間の我々の運動で、生活保護基準との逆転現象を是正すべしとの見解が労働側、公益を含めて主流になり、地域最賃の水準引き上げが課題となっている。一方で産別最賃の廃止が目論まれている。当面7・14最賃デーでは665分のハンストを決行する。全日程が大変なところは、朝・昼・夕どこかの場面への参加を含め官民全単産の結集を」と要請しました。
 公務労組連絡会は、人事院が狙う公務員賃金の大改悪について「(1) 給与表の昇給カーブのフラット化で、若年層は据え置きだが35歳以上は最大7%以上の賃下げになる。査定昇給を入れると、上位の級にいかないと昇給効果が薄いので、出世に走る傾向が強くなる。号俸の4分割細分化をいれたところでは、かつての国鉄のように活動家差別、組合弱体化に利用される可能性がある、(2) 地域給の導入で全体を5%下げて3〜18%の6種類の地域手当を導入し、格差拡大になる、(3) 本省手当の導入で優遇手当を積むというもの。これで様々な格差が生まれる」と問題点を指摘しました。その背景について、「2007年、衆参の選挙がある年に、財政問題では“入口”の消費税増税と定率減税の廃止、“出口”の公務員減らしと賃金引下げ、さらに憲法・教育基本法の改悪が狙われている。反対勢力を弱体化し、自民の政権を維持しつつこれらの政策を実行しようとしている」と指摘し、夏季闘争に全力でたたかう決意を表明。「この闘いは小泉構造改革とのたたかいであり、民間のみなさんといっしょにがんばりたい」と述べました。
 全教は、重点で取りくんだ憲法・教育基本法の改悪法案について、「いまだ国会提出を阻止している」と報告。賃金問題では「国立大学の独立行政法人化で、全国一律の賃金でなくなった。地方格差が出るので、『標準的な教員給与表をつくれ』と要求してきたが、全人連が外部に委託してつくることになった」ことを紹介。次に教職員の新しい評価制度導入の問題について「調査・研究がはじまったが、中身は目標管理制度で、能力・業績を賃金・処遇にリンクさせようとするものだ。目標管理が学校の職場でできるのだろうか?校長・教頭が個々の教職員と面談するというが、100人以上の教職員との面談は事実上不可能だ。東京都と香川県がこの評価制度を入れたが、この二つが『30人学級』を頑なに拒んでいる。この制度は子どもと教育のことを考える制度ではない。しかし、教職員に対する父母・国民からの批判や意見は受け止めており、“子ども中心の学校づくり”を対峙してがんばっている」と述べました。

 労働契約法制の大改悪をめぐる問題では、全労連の井筒常任幹事が次のように特別発言しました。
 4/13・労働法制あり方研究会より「中間取りまとめ」が出され、6/20までパブリックコメントの募集があり577件の意見が寄せられた。経営側を含め反対意見がほとんどだった。にもかかわらず研究会は7月末にも最終報告の第1次案を、9月には最終報告を出すという流れだ。反対意見の反映は保障されていない。そこで、「緊急FAX要請」を直ちに取りくむことと厚労省交渉を実施することになった。労働契約法制は就労の入口から出口までを規定するもので、厚労省は労働者保護に資するものでなくてはならないのに、内容は改悪そのものだ。「解雇の金銭解決」は03年の労基法改悪の時に出されて潰されたものだが再び出してきた。「ホワイトカラーエグゼンプション」はかねてから財界が要望していたことをこの機に盛り込んできたもので、犯罪的だ。いま、研究会に対する働きかけが重要で、「緊急FAX要請」をはじめ漫画のパンフもつくって反対運動を強めていきたい。この夏が勝負だ。秋には労働政策審議会(政・労・使)に移っていく。事務方の改悪案を通そうとするだろうし、使用者側は良いところ取りをすると思われる。労働側(連合委員)は苦戦を強いられる。連合のシンポでは明確に反対の態度だ。すべての労働界、法曹界あわせて反対運動を強めることが重要。とくに、いまのうちに体制と運動をつくり、法案になる前に潰してしまうことが必要だ。春闘共闘の各組織が学習をつよめ、運動に立ち上がってほしい。




 

●代表幹事・開会あいさつ … 老田弘道代表幹事

要求し闘ったからこそ。昨年上回る成果を確信に

郵政法案阻止!最賃・人勧闘争に全力で

 昨年10月に05年度総会を開催してから今日まで、中央・地方で05春闘を全力でたたかってきたことに対して、常任幹事会を代表して心からお礼申し上げます。
 既に、各単産・共闘では05春闘を総括して来年度の運動方針を確定していく時期にきており、本日の会議は組織内で協議している内容を紹介し反映していただきたい。  我々の集約によれば、6/28現在で今春闘の要求提出率は77%、前年を4ポイント上回ることができた。登録組合の回答平均は加重で6298円、1.99%で、昨年を432円、013ポイント上回ることになった。また、パートの賃金引上げ・均等待遇、リストラ反対・働くルールの確立や、初めて企業通信簿活動を展開する、また教育基本法や憲法改悪に反対する取りくみ等、様々な課題を展開してきた。

 これらの回答等について、もし、我々が初めから“厳しいんだからガマンしようや”“今の時代に賃上げなんか論外だ”といわれ、もし、それにくじけて要求を出さない、闘わないということになっていたら、こういう成果を勝ちとることはできなかったと思う。400万円以下で生活する世帯が4分の1を占めるという状況のなかで、賃上げ要求し、団結して闘ったからこそ、こういう厳しいなかでも昨年を上回る結果を勝ち得たのではないか。我々はここに確信を持つ必要があると思う。
 同時に、課題も見えてきた。とくに、職場や地域で労働組合のたたかう力が前進しているのだろうか。組合員みんなでたたかいを組織する、組合員みんなで日常の組合運動を前進させていく、そういう力が前進しているのかどうかということが、今日の中心的な課題であると思う。
 その上にたって、国民春闘共闘や各県の春闘共闘が、要求基準、統一行動、あるいわ様々な課題における旗振りの役割として、今日、どういうことが求められてきているのか、ということについても率直なご意見をいただきたい。
 私は全体として、大変きびしい春闘ではあったけれども、切実な要求の実現ということから見れば、負けないで昨年を上回る成果を勝ちとったことに、大きな確信をみなさんとともに持ちたいと思う。

 さて、郵政民営化法案が、わずか5票差で衆議院を通過した。この法案には我々も反対してきたが、どのような側面から見ても道理、大儀がない法案だ。採決の状況はそのことを表わしたものだ。これから参議院での審議、採決になってくるが、我々は国民の立場でこの問題を国会外の闘争として、山場に向かっておおいに運動を盛り上げ、そして必ずこの法案を廃案に追い込むことが必要である。また選挙か!ということになるかも知れないが、我々の奮闘がおおいに求められている。
 また、サラリーマン大増税の問題も浮上してきている。各種控除の廃止などによって、政府税調によれば、500万年収・4人世帯で年間42万円もの負担増を押し付けようというものだ。こういう問題も国民春闘共闘として全力をあげなければならない。憲法の問題でもおおきな取りくみが準備されている。そして現在たたかわれている夏季闘争、最賃目安も出てくる。そして、公務員賃金の獲得。今年の人勧は8月の5日ないし9日に出されるといわれているが、地域別賃金の問題を含めて非常に大きな問題になる。そういう意味で、これらに対するたたかいも提起されている。

 昨年、国民春闘共闘は運営要綱を変え、毎年解散・発足するのでなく、年次総会として年間を通してたたかいを展開していくように衣替えしたところだ。そういう点を生かして、夏から秋に向けてのたたかいをみなさんと一緒に全力をあげてたたかっていきたいということを申し上げ、冒頭にあたっての挨拶といたします。
 議長団につきましては、民間は銀行労連の村上(幹事)さん、公務は自治労連の川俣(副委員長)さんにお願いします。




 

●答弁と討論のまとめ … 岩田幸雄事務局長

運動の到達点、貴重な意見を06春闘へ

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 1.05春闘の多岐にわたるたたかい、様々な苦労が語られた。14名の発言は06年春闘に向けたヒントと改革の方向を示すものであった。
 日本経団連の「春闘終えん論」のなかで、14名の発言は国民春闘共闘の健闘ぶり、健在を示したことを確信にしたい。小泉「構造改革」の規制緩和、民営化路線に対して正面から立ち向かってたたかった様々な取りくみ、社会保障、増税、最近の郵政民営化反対などは国民的な共感を得て広がり、小泉政権を追い詰めているのが05春闘の大きな到達点だ。

 2.具体的な問題は、各単産の大会や全労連評議員会などでも深めていただきたい。  1) 要求アンケートの問題は多くの方から指摘があったとおり、運動として大きな到達点を築いてきたし、経営者や当局に迫るときにインパクトあるものであった。したがって、提案した内容を含め06春闘にむけて改善していくために、各組織でも議論を深めていただきたいし、意思統一をお願いしたい。
 2) 民放労連で19組合、化学一般で8組合がベアをかちとり、全農協労連でもベアを追求してきた。全体でもベアを要求してがんばってきたが十分な成果ではなかった。個別企業の中では限界があるということで、建交労やJMIUからは集団交渉、産別団交での成果も報告されたが、産別、地方組織とともに春闘共闘の役割も重要であると思う。ひきつづきベアへのこだわりを掘り下げていきたい。
 3) 成果主義賃金の問題は、官民を問わず様々な形で表面化しており、交流と研究が必要である。9月15日の「賃金闘争交流会」の一つの大きなテーマとして深めていく。
 4) 公務員賃金の問題では、公務の賃金が下がることが、民間労働者には「関係ない」と思っていた方もいたが、その分が民間に上積みされる訳ではなく、次には民間がさらに引き下がるという悪循環が広がっていくということが共通の認識になっており、官民一体の反対闘争に結びついてきている。この到達点を大事にしていきたい。改めて公務員賃金闘争が山場をむかえるので、民間労働者が一体となって立ち上がることを訴えたい。
 5) 労働契約法制の大改悪についても特別発言があった。漫画入りパンフで「エイリアンがやってくる」というタイトルのようだ。研究会報告のとおりにやられるとなると、いまでさえ大変な労働者の雇用、権利がいっそう悪化する。それだけではなくて、労働者がバラバラにされ、労働組合の活動が弱体化するという重大な問題を含んでいる。ぜひ、緊急のFAX運動に取りくんでほしい。学習運動を職場から、職場の権利、点検と合わせて強めていただきたい。今日のJR西の事故に象徴される労働強化と、法律によって労働者がバラバラにさせられることとは表裏一体だという点では、国民的視点からも大いに運動を盛り上げていきたい。
 6) 郵政民営化反対闘争の強化について。衆参の76議員が紹介議員になっている。大阪からも発言があったが、各地方では地元選出の参議院議員に対する要請行動であるし、中央では国会前座り込み行動を7月20日と26日を予定している。中央・地方の反対闘争を強めて廃案に追い込もう。
 7) CSR(企業の社会的責任)問題でも各単産で取りくまれ成果が生まれた。同時に今年は1年目ということでいくつかの問題もあり、改善すべき点も出てきた。

 3.具体的な意見・要望として、
 1) 民放の「指定公共機関」問題への対応が出された。一単産の課題ではなく、マスコミ全体、公務単産を含め国民春闘共闘全体の問題として位置づけるよう方針上も補強する必要がある。
 2) 化学一般から高齢者雇用安定法の改正に伴う高齢者雇用問題の運動交流も、各単産の到達点などを掴んだうえで必要な時期に具体化していきたい。フジカラー争議の支援についても春闘共闘として全面的に支援に取りくむ。

 以上、14名の発言はいずれも重要な内容、意見を含んでおり、欠席した組織にもお知らせすることをお約束し、答弁とまとめと致します。

(以 上)



 
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