2002年国民春闘共闘情報
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第22号・回答第2号 2002年03月29日

加重平均6,962円へ。上昇中

統一行動で回答引出し・上積みすすむ

3月中、下旬段階の回答について

2002年3月29日●2002年国民春闘回答集計センター

産業別・単産別総括表

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1万円以上の回答

1.春闘回答集計センターは3月28日、2002年国民春闘共闘委員会(全労連、純中立労組懇など)各単産より3月中・下旬の回答を中心とする第2回目の報告を受けた。第1回(3月14日)以降、全農協労連、全労連繊維、化学一般労連紙パ、建交労鉄道、全倉運、通信労組、全労連全国一般、全信労、広告労協から初めての報告があり、JMIU、化学一般労連、建交労運輸、生協労連、全印総連、出版労連、民放労連、日本医労連、地方マスコミなどの各組合が新規と上積み回答を引き出しつつある。これまでに登録している33単産・部会中の21組織が回答を引き出した。

2.これまでの回答+妥結状況は総括表のとおりで、特徴はつぎの諸点である。

 
(1) 登録組合数 961組合      
(2) 回答組合数 257組合 うち38組合が上積み 引出し率 26.7%
(3) 単純平均 257組合 6,068円 同率 1.92%
  前年同期 325組合 6,876円 同率 2.23%
  前年同期比   −  808円   −0.31P
  加重平均 7.4万人 6,962円 同率 2.03%
  前年同期 9.6万人 7,893円 同率 2.33%
  前年同期比   −  931円   −0.30P

(4)全体の傾向について
 1) 「ベアゼロ・賃下げ」相場や、JCなど大手組合の「ベアゼロ」収拾を睨んで、春闘共闘各組合にも同水準の回答=定昇込みで5000〜8000円台の第1次回答が出されている。とくに、中小では深刻な消費不況、デフレのなかでの売上げ減、親会社や金融機関からの経営圧力が強く、「業績不振」「赤字転落」などを理由とした「ベアゼロ(定昇のみ)」が圧倒的で、一部には賃下げ回答も見られる。定昇制度のない企業では「回答延期」が多く、あっても2000〜5000円台が多数を占めている。中堅・大手企業でも財界の「ベアゼロ・賃下げ」方針の影響から「ベアゼロ(定昇のみ)」の回答ながら、その水準は賃上げ率にして2%程度(6000〜7000円)になっている。
 2) こうして、新規の超低額回答と一部先行組合の上積み回答が同時に報告され、単純平均は6068円(1.92%)、加重平均は6962円(2.03%)になった。2週間前の第1回集計と比較して単純平均は微減。加重平均は増加傾向を示した。単産ごとの前年同期比ではほとんどがマイナス傾向のなか、全農協労連、全信労、広告労協がプラス傾向。通信労組が同額。建交労鉄道、生協労連が微減でがんばっている。


46組合が「前年実績額にプラス」の回答引き出す

 3) 3・14第1次全国統一行動をたたかった国民春闘共闘参加組合は、3月26日から28日にかけて、14単産がスト含む統一行動などを集中し、回答引出し・上積みを求めてたたかってきた。その結果、JMIU、化学一般労連、建交労運輸、地方マスコミなどの38組合が第2次〜第3次の上積みをかちとっており、ここでは単純平均の上昇機運が高まりつつある。
 4) この間「1万円以上」の回答が22組合報告されている(登録外は除く)。これまでの最高は広告労協の組合で1万7800円である。前年実績額との比較では46組合がプラス(同額4組合含む)をかちとり、最高は出版労連の組合で前年比プラス9250円である。回答次数ではJMIU、建交労、地方マスコミを中心に8組合が第3次回答をかちとって全体水準の引上げに貢献している。

3.パート賃上げ・企業内最賃改定など制度的要求の獲得状況について

 パートの賃上げ、企業内最低賃金の改定や雇用保障、労働時間短縮など職場要求の前進もすすんでいる。3月22日現在、5単産からのべ145組合(前年並)の制度的要求前進の報告が寄せられた。
 生協労連では、35組合がパート労働者の時間賃金を4円から10円(平均5.59円)引上げ、ひきつづき奮闘している。このほか、建交労1組合、出版労連3組合、日本医労連3組合とJMIUなど(集約中)でパート・アルバイト等の賃金・労働条件改善をかちとっている。
 企業内最賃は、建交労・運輸部会が主要都市の業種別集団交渉で「18歳最賃」を15万6000円(福岡)〜17万5000円(首都圏)で改定し、年齢別最低保障賃金などの各種最低賃金・最低保障をのべ45支部分会が改定、引上げさせている。全印総連では企業内最賃を15万円以上に、出版労連も15万8000円以上に、各々単組からの改定報告が日を追って増えている。
 このほか、建交労では雇用保障・退職金増額で5支部分会が成果をあげ、日本医労連では、増員、月8日以内の夜勤協定や完全週休2日制の要求について8組合が成果をあげている。(個別組合の獲得状況は、本紙3月22日付「第20号」に紹介した)

4.他団体の賃上げ集計結果について
1) 3月22日現在、連合の第1回集計の回答+妥結状況は以下のとおり。

  妥結組合数 加重平均 単純平均
集計方式 組合数 人数(万) 金 額 率(%) 昨 年 率(%) 金 額 率(%) 昨 年 率(%)
平均賃上げ 228 90.4 5,565 1.78 6,144 1.97 5,203 1.77 5,731 1.97
35歳P 14 5.7         5,331 1.79 6,220 2.12
30歳P 27 6.9         7,099 2.58 6,953 2.58


2) 3月20日現在、日経連労政部調べの回答+妥結状況は以下のとおり。

  回答+妥結 加重平均 単純平均
集計方式 社 数 人 数(万) 金 額 率(%) 昨 年 率(%) 金 額 率(%) 昨 年 率(%)
大手企業 66 - 5,600 1.75 6,199 1.95 5,336 1.74 5,916 1.95


4月段階で闘争強化、4・12国民ストの成功へ

5.今後の闘争計画について
 国民春闘共闘に結集する各単産は、新賃金の3月決着をめざして、「賃下げ」や「ベアゼロ」、回答延期の流れを変えようと、3月下旬のスト含む統一行動などで奮闘してきた。しかしながら経営側のガードは例年以上に固く、個別の中小企業で解決をはかる状況にない実態もあり、多くの中小労組のたたかいは4月段階へすすもうとしている。
 この間、各単産では戦術委員会、代表者会議などをひらき、国民春闘共闘第4回常任幹事会の「02春闘の到達点と今後のたたかい」の確認事項をうけて、賃上げ、パート賃上げや企業内最賃、雇用確保などの実現にむけて、改めて労働者の生活悪化と切実な要求に立ち返り、「納得のできる解決」を追求しながら粘り強くたたかう決意を固めあっている。とくに、今春闘で目立つ定期昇給の「凍結」「見直し」回答については、東京法律事務所・上条弁護士の「定期昇給凍結の違法性について」の見解を含め、産別独自の統一行動をかまえて撤回を迫ることが重要になっている。
 また、今春闘で重視しているパートの賃上げや底上げ要求では、具体的な時間給引上げ、企業内最賃改定の成果が報告され、これから本格化する地域春闘のなかで「医療改悪反対」「働くルール確立」署名とともに大きな運動展開が期待されている。各単産、地方春闘共闘はいま「4・12国民総行動・統一スト」の成功にむけて国民的な総反撃を大きく盛り上げようとしている。

(以 上)