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【談話】物価高騰から暮らしを守るためにも地方最賃審議会では目安を大幅に上回る引き上げを勝ちとろう

2023年7月29日
全国労働組合総連合
事務局長  黒澤 幸一

 中央最低賃金審議会は7月28日、2023年度の最低賃金について、加重平均で1002円、41円(4.3%)の引き上げとなる目安を厚生労働大臣に答申した。引き上げ幅は、ランク別にA「41円」、B「40円」、C「39円」とした。従来の引き上げ幅にとどまり、さらに地域間格差を広げる目安に抗議する。
  審議の中で「昨年10月から今年6月までの消費者物価指数の対前年同期比は4.3%と、昨年度の全国加重平均の最低賃金の引き上げ率(3.3%)を上回る高い伸び率であったことも踏まえ」「今年度の各ランクの引き上げ額の目安を検討するにあたっては4.3%(公益委員見解)」を重視したとした。、しかし、これでは物価高騰を後追いするだけで、最賃近傍で働く労働者の生活改善にも、経済の活性化にもつながらない目安と言わなければならない。
 さらに、今回は、ランク数が4から3へ変更され、地域間格差の是正につながる目安が期待されたが、目安どおりだと、最高額が1113円、最低額が892円となり、地域間格差は221円と昨年から2円広がることになる。データをふまえ「最低賃金に近い賃金水準の労働者の生活は苦しくなっている」としながら、「地域別最低賃金が相対的に低い地域における負担増にも一定の配慮が必要であることから、Aランク、Bランク、C ランクの目安額の差は1円とする」としている。「支払い能力」に忖度するもので、企業努力を促さない目安と言わなければならない。
 全労連と地方組織は、全国28の都道府県で「最低生計費試算調査」を取り組み、その結果から「8時間働けば人間らしく暮らせる」には、全国どこでも月額24万円(時給1500円)以上必要であることを明らかにしてきた。物価高騰は低所得者ほど重荷になることを考えると、地域間格差を広げる今回の目安は根拠も不明確であり、最賃法の目的に反し、看過することはできない。
 政府は、この夏以降、平均1000円達成後の最低賃金引き上げの方針についても議論を行うとしている。全労連は政府に対し、全国一律制1500円以上の最低賃金制度へ転換することへの決断を求める。少なくとも5年以内に地域間格差の解消と1500円以上にする合意を中央最低賃金審議会は行うべきである。「価格転嫁の遅れ」を指摘するならば、全国一斉に大幅引き上げ、価格転嫁を促すべきだ。
 答申された目安どおりなら、加重平均の1002円を下回るのは40道県にも及ぶ。地域間格差が広がっている地方の実態は深刻であり、改善要望は切実である。2020年度から2022年度に223の自治体で最低賃金の引き上げと格差の是正、中小企業に対する支援の強化を求める意見書が採択され、その声は年々広がってきている。
 世界に目を向けると、物価高騰のもとで最低賃金が大幅に引き上げられている。すでにオーストラリアで約2161円、米ワシントン州約2084円となっているのをはじめ、フランスでは5月から約1608円、ドイツでは2024年1月から約1732円となる。日本の最低賃金の水準は世界の水準に届いていない。韓国の2024年の最低賃金は約1080円に決まった(いずれも22年平均為替レート)。
 最低賃金の決定に向けた審議が地方最低賃金審議会で始まっている。地方では昨年、地域間の格差是正を求める奮闘と運動の広がりで、46.8%の道県が目安を上回る改定額を実現させてきた。
 全労連は、当事者の声を前面にかかげ、組合員の総力をあげて、目安額を上回る大幅な引き上げで、地域間格差の是正に全力をあげる。同時に、全国一律最低賃金制度の確立に向けていっそう奮闘する決意である。

以上

 
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