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【談話】中央最低賃金審議会労働者委員の偏向任命に抗議する

2023年5月31日
全国労働組合総連合(全労連)
事務局長 黒澤 幸一

 政府・厚生労働省は、5月27日に2023年度中央最低賃金審議会委員を発表した。全労連は6名の委員候補を推薦したが、労働者委員全員が連合及び加盟組合推薦の委員となった。中央最低賃金審議会から、全労連を排除し続けている政府・厚生労働省に対し、強く抗議する。

 中央最低賃金審議会は、最低賃金法第20条により設置され、公労使三者による6名ずつの合計18名の委員で構成され、厚生労働大臣が任命している。
 最低賃金審議会制度は、「賃金の最低額を保障することにより、労働条件の改善を図り、もつて労働者の生活の安定、労働力の質的向上及び事業の公正な競争の確保に資する」(最低賃金法第1条)という目的を達成するために、中央・地方に設置されたものである。詳細を規定している最低賃金審議会令には「委員の定数」の規定はあるが、任命に関わる基準は示されていない。そうであるならば、労働行政にかかわる審議会委員の任命にあたっては、労働団体を選出母体とする任命に係る基準として用いられてきた「労働省54号通牒」を準用し、さらには「労働省基発545号通達」(昭和36年6月15日付)を遵守すべきである。同通牒・通達では、労働組合のさまざまな潮流(現在では連合、全労連、全労協)に配慮すべきと示している。ILO結社の自由委員会も、日本政府の連合独占の偏向任命に対し「政府が特定の一組織に特別待遇を与えること」は「ILO87号条約が定めた結社の自由原則違反である」との勧告(02年6月)を発し改善を要請している。こうした批判を念頭に、労働審判制度における労働審判員は、各労働団体から比例配分で任命されている。
 中央最低賃金審議会の労働者委員を任命する担当大臣が、特定の系統の労働組合から委員を任命し続けることは、それ以外の委員候補を推薦する労働組合に対し差別的取扱いをするに等しく、労働組合法が禁ずる「支配介入」を行政機関が侵すことにつながるものである。

 全労連は、労働組合の組織率が低下を続ける中、加盟する単産のほとんどがユニオンショップ制をとっていないにもかかわらず、現時点においても100万人近くの組合員を組織している。同時に、最低賃金の影響を強く受ける非正規で働く労働者など多様な労働者を組織しており、推薦した候補は、いずれも最低賃金近傍で働く労働者の実態に詳しい人物であり、中央最低賃金審議会委員として厚生労働大臣が任命する資格を必要かつ十分に有していると考えている。
 厚生労働省に対し、中央最低賃金審議会の偏向任命を行わず、全労連からも委員を任命するよう強く求める。同時に、中央最低賃金審議会にむけ、物価高騰で苦しむ最低賃金近傍で働く労働者の実態と全国一律1500円以上の実現を求める声をあげる取り組みを強めていくものである。


以 上

 

 
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