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【談話】目安を上回る大幅引き上げに向けて奮闘し、全国一律最低賃金制度を確立させよう

2021年7月16日
全国労働組合総連合
事務局長 黒澤 幸一

 中央最低賃金審議会は7月16日、2021年度最低賃金について、全てのランクで「28円」の引き上げを厚生労働相に答申した。答申された目安額は、私たちが求めてきた「全国一律1500円以上」には程遠く、目安の一律28円の引き上げでは現状の221円もの地域格差も放置されたままであり、極めて遺憾である。

 経営者側の「最低賃金の引上げによって、企業の人件費を増やした結果、倒産、廃業や雇用調整を招く懸念があり、そのトリガーを引くことになることは避けなければならない」と、労働者にその責任を負わせ、最低賃金を抑え込むべきとの主張は全くの的外れなだけでなく、今後の地域経済の発展にも背を向ける近視眼的な姿勢であり認められない。本来、コロナ禍のもとで経済活動にストップをかけているのは国であり、そのもとで必要な支援は国に求めるべきである。

 全労連と地方組織は、全国で「最低生計費試算調査」を取り組み、その結果から「8時間働けば人間らしく暮らせる」には、全国どこでも月額24万円(時給1500円)以上必要であることを明らかにしてきた。5月には「全国一律最低賃金制度の実現を求める署名」16万筆を国会に提出し、党派を超えた110名もの国会議員が紹介議員となった。
 地方では、今年だけでも島根県や岩手県、北九州市や京都府などで全国一律最低賃金制度や最低賃金の引き上げと格差の是正、中小企業に対する支援の強化を求める意見書を採択するなど、最低賃金の引き上げと地域間格差の是正を求める声は着実に広がっている。

 現局面の経済悪化は、コロナ禍以前からの賃金低下、消費税の引き上げなどによる個人消費の落ち込みなどが主な要因である。コロナ禍にあっても2020年度の税収は過去最高となり、中でも法人税の伸びが顕著で、大企業の内部留保も膨らみ続けている。それらを活用した公正な取引の実現と中小企業への支援を強化すれば、最低賃金の大幅な引き上げや全国一律制度の確立は十分に可能であり、そのことが、コロナ禍の経済悪化から脱して、地域循環型経済をつくるベースになると確信する。
 最低賃金はすべての労働者の賃金と生活にかかわり、日本経済の行方を左右する時の政府の重要な施策である。コロナ禍でその重要性がいっそう高まっている。政府に対し、最低賃金の引き上げが可能となる中小企業支援策をいますぐ具体的に明らかにするよう求める。

 いよいよ最低賃金の決定に向けた審議が地方最低賃金審議会で始められる。地方では昨年、目安が示されなかったなかでも41県で最低賃金の引き上げを実現している。
 全労連は、当事者の声を前面にかかげ、組合員の総力をあげて、目安額を上回る大幅な引き上げで、賃金の引き上げ、地域間格差の是正などに全力をあげる。同時に、全国一律最低賃金制度の確立に向けていっそう奮闘する決意である。

以上

 
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