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【談話】大飯原発3、4号機の原発設置変更許可取り消し
大阪地裁判決に対する国の控訴に抗議する

2020年12月21日
全国労働組合総連合
事務局長 黒澤幸一

 関西電力大飯原発3、4号機の設置変更許可処分の取り消しを求めた訴訟で、大阪地裁は12 月4日、原子力規制委員会の判断には不合理な点があるとして、設置変更許可を取り消す判決を言い渡した。国が、この大阪地裁判決を不服として12月17日に大阪高裁に控訴したことに断固抗議する。
 判決は、大飯原発で想定される最大の地震の揺れについて、原子力規制委員会の調査審議および判断過程には「看過しがたい過誤、欠落がある」として、設置を許可した処分は違法と断じた。基準地震動の策定にあたって、原子力規制委員会は「基準地震動及び耐震設計方針に係る審査ガイド」で「経験式は平均値としての地震規模を与えるものであるから、経験式が有するばらつきも考慮されている必要がある」と定めている。この地震動ガイドの規定にもかかわらず、関西電力が、実際に発生する地震モーメントが平均値より大きい方向に乖離する可能性を考慮して地震モーメントを設定する等しなかったのに、国がそのことを検討することなく、上記審査ガイドに適合するとした審議・判断過程には、看過しがたい過誤・欠落があると判示したものである。
 大飯原発で想定される地震の揺れの評価については、2016年に専門家から「不確かさを考慮すべきだ」との意見がだされ、地震動の計算方法をつくる政府の地震調査委員会内でも疑問視する声が上がっていたにもかかわらず、原子力規制委員会がこれを無視していたことが報じられている(東京新聞12月4日付)。
 判決は、政府が「世界一厳しい」としてきた新規制基準そのものに不備があることを指摘した。新規制基準の下で原発設置許可を取り消す初めての司法判断であり、大飯原発3、4号機の再稼働は認められない。同時に、新規制基準のもとで適合とされた国内の9原発16基の設置許可も不合理であり、再稼働は中止するよう求める。
 従来から専門家や市民団体は、地震大国の日本での原発立地に関する危険性を指摘してきた。「脱炭素化社会の実現」を掲げる菅政権のもとで、原発の危険性や安全対策の問題に目をつむり、CO2削減を理由に女川、美浜、高浜原発の再稼働や、日本原燃のMOX燃料加工工場(青森県六カ所村)を動かそうとしているが断じて認められない。
 国は、大阪地裁の大飯原発設置許可取り消し判断を受け止め、控訴を撤回すべきである。同時に、すべての原発を廃止し、再生可能エネルギーへの転換を実現するため、原発ゼロ基本法を直ちに制定するよう強く求める。

以上

 
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